朝日新聞(6月3日)
今朝の朝日新聞は、東日本大震災の復興予算が雇用対策事業でも流用されていることを一面トップで報じた。
「雇用対策事業でも」というのは、昨年秋に復興予算17兆円のうち2兆円規模の予算が復興とは関係のない事業に使われていたことがすでに発覚しているからだ。例えば沖縄県内の国道の工事や国立競技場の補修費、反捕鯨団体シー・シェパードの対策費などに復興予算が充てられていると報道されたことはまだ記憶に新しい。
今回明らかになったのは、雇用対策事業ということで、金額は前回よりは少なく約1000億円だが、被災地以外の38都道府県で雇用された約6万5千人のうち、被災者は約3%。都道府県によっては被災者ゼロというケースもあるとのこと。
前回は民主党政権下、今回は自公政権下である。
復興予算のうち10.5兆円は復興増税でまかなわれる。今年1月から25年間、所得税に所得税額の2.1%が増額される。
さらに復興財源確保のためとして国家公務員の給与が7.8%削減されており、さらに多くの自治体はこの6月議会で国からの地方交付税削減という圧力の中、来年3月までの地方公務員の給与削減の条例を提案する予定だ。
ちなみに珠洲市はラスパイレス指数102.8ということで国家公務員を上まわる2.8分を削減予定(国家公務員の100の根拠も疑問だが)。県職員や県費負担教職員の給与はさらに大きく削減されようとしている。
民間の春闘に介入して経営者側に賃上げを要請した安倍首相だが、はっきり言って珠洲のような地方では春闘で賃金が決まる民間の組織労働者はごくわずかである。むしろ都市部と異なり、全労働者に占める地方公務員の割合は高く、公務員給与の削減が地域経済に与える影響は大きい。景気回復に明らかに逆行する。
もちろん被災地にはまだまだ復興に必要な予算が行き届いてはいないのは事実だ。財源確保は重要な課題だが、公務員だけに負担を特化させるやり方はあきらかにおかしい。
さらに、交付税削減をちらつかせて自治体がそれぞれ独自に決めるべき地方公務員の給与にまで介入しておきながら、このような杜撰な事業チェックが繰り返されている。
矛盾に矛盾を何重にも積み重ねた政治が繰り返されてる。
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