北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

一般質問に対する答弁

2013-06-19 | 珠洲市議会
 私の一般質問に対する答弁です。
 ※正式な議事録ではありませんから引用はくれぐれも慎重にお願いします。

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1.憲法教育について

 日本国憲法の基本をなす立憲主義をめぐって、国民各界、各層で大きな議論が展開されている。学校教育における憲法教育の実態、特に立憲主義はどのように教えられているのか聞く。

<教育長>
本市の小中学校では、各教科ごとに年間指導計画を立てて授業をおこない、学習指導要領の目標達成に努めている。小学校6年生の学習指導要領では、現在の我が国の民主政治は日本国憲法の基本的な考えに基づいていることを考えるようにすると明記されており、基本的人権の尊重、国民主権、平和主義の三原則について、自分の生活との関わりから年間7時間程度をかけて学習をしている。
また、中学校3年生の学習指導要領には公民分野で我が国の政治が日本国憲法に基づいておこなわれることの意義について考えさせると明記されており、三原則の理解を深めながら法律に基づく政治の大切さについて身近な生活を踏まえて、年間16時間程度学習をしている。立憲主義については、憲法は政府の権力を制限して、国民の人権を保障するという立憲主義の思想に基づいて、政治権力の乱用を防いで国民の自由や権利を守りますと教科書に記載されており、学習指導要領に則った指導がおこなわれている。


2.歴史認識について

 安倍政権や一部の政治家による過去の侵略と植民地支配の歴史や従軍慰安婦をめぐる問題についての発言、いわゆる歴史認識について、韓国や中国のみならず米国からも疑問が投げかけられている。今後、近隣諸国はじめ海外の要人との交流の機会が増えると思われる珠洲市の市長としても、歴史認識は重要な問題であり、基本的な認識を聞く。

<市長>
私の歴史認識については、平成7年8月15日のいわゆる村山談話を支持するものである。


3.職員給与の引き下げについて
(1)地方交付税削減を盾にしての事実上の削減強要に対して「承服しがたい」との発言もあったが、結果的に給与に加え、県内のほとんどの自治体が踏み込まなかった一時金の削減までおこなう方針を示した。ラスパイレスと関係のない期末手当削減にまで踏み込んだ理由を聞く。

<市長>
職員給与の引き下げについては、総務大臣から震災復興財源をねん出するための国家公務員の臨時的削減措置に準じ、地方公務員の給与等を削減するよう要請されているところである。国家公務員の臨時的削減措置では給料のみならず、管理職手当、期末勤勉手当の減額も含まれている。そのいずれにおいても国の水準を上回る部分の減額を要請されていることから、本市において本年7月から平成26年3月までの9か月間、給料月額を2.8%、本年12月の期末勤勉手当を3.95%減額することとしている。なお管理職手当については国の水準を下回っているので減額する必要はない。
今回の給与の引き下げについては、地方固有の財源である地方交付税を給与削減の政策誘導手段として用いることは承服しがたいという思いに変りはない。
しかしながら、これまでの5年間の人件費総額の削減努力を地域の元気づくり事業費に反映していただけることになり、また、そもそもこの引き下げ要請が東日本大震災を踏まえ、防災減災事業費に充てることを目的としており、本市においても現在、消防庁舎の移転新築を進めていることから、要請にそって職員給与等の引き下げを実施し、これによる削減額約4000万円を消防庁舎の移転新築に充てるとともに、国の防災減災事業債の制度を積極的に活用していくことした。


(2)今回の給与削減は、職員にとって職員数削減による業務の増加、手当などの見直し、退職金の引き下げというこの間の労働条件の悪化にさらに追い打ちをかける所得の減少であり、加えて国に対する地方自治体の敗北を見る思いでもある。自治の最前線を担う職員にとって2重の意味でモチベーションを低下させるのではないかと危惧するが市長の認識を問う。

<市長>
今回の給与引き下げは短期間であるが、職員のモチベーションを低下させることのないよう、引き下げの趣旨を職員に十分に理解していただくとともに、このことが本市の将来のためになるという前向きな思いをもってがんばっていただくよう努めていきたい。


4.教育行政について

(1)教育振興基本計画に盛り込まれた教育委員会の活性化、教育行政の透明性の確保と情報発信について、取り組みに向けたスケジュールを聞く。 

<教育長>
本年3月に策定した珠洲市教育振興基本計画では、教育委員会の活性化の取り組みとして、教育委員自らが積極的に学校や生涯教育の現場に出向くことによって施設や現場の状況を把握し、委員自らの政策提案の一助とするとしている。現在、本市教育委員会では教育委員会の定例会の他、定例の学校訪問、研究発表会、学校行事などの機会に学校訪問をする他、市議会教育民生常任委員会や市PTA連合会、校長会など教育関係団体と意見交換など活発な活動をおこなっている。今後もこうした様々な機会を捉え、現状を把握しながら本市の教育行政に生かしてまいりたい。
また教育行政の透明性を図るために本年5月の教育委員会より日程や会議結果についてHPで公表しているほか、地方教育行政の組織および運営に関する法律第27条の規定に基づく「平成24年度教育に関する事務の管理および執行の状況の点検および評価」について、事務局でまとめたものについて、先般、教育に関し学識経験を有する方々のご意見を拝聴したので、次回の教育委員会で議論したのち、議会へ報告書を提出するべく現在準備を進めている。


(2)全国学力・学習状況調査の結果について、文科省は自治体による学校別成績の公表を実施要領で禁止してきたが、一部の自治体からの公表を求める声を受け、市町村長らに意見を聴く方針を示している。市長および教育長に、成績公表の是非についての見解を聞く。

<教育長>
文部科学省が示している実施要領では市町村教育委員会が保護者や地域住民に対して説明責任を果たすため、当該市町村における公立学校全体の結果を公表することについてはそれぞれの判断に委ねること、また学校が保護者や地域住民に対して説明責任を果たすため、自校の結果を公表することについてはそれぞれの判断に委ねることとされている。本市ではこの趣旨に基づき、第一回目の平成19年の調査から市内の学校ごとの調査の結果は公表していない。しかし、学校みずからは自校の児童生徒および保護者に学校の説明責任を果たすため、自校の結果と併せて学力を保障する学校の取り組み状況や取り組み方針伝えるよう、それぞれ学校長の判断で公表している。市全体の結果については、校長会等で公表しており、各学校では自校の成績と併せて示すことがある。本市としては、今後もこの方針で臨みたいと考えている。


5.交流人口の拡大について

 のと里山海道効果によるゴールデンウィーク中の観光客の大幅な入込増は大方の予想を上回ったと思われる。夏の観光シーズンや2年後の北陸新幹線金沢開業に向けて、ここで満足することなく、これまでの市内の受入態勢について、反省点や新たな課題がなかったか検証していくことが重要である。入込数1.7倍の中で見えてきた行政と民間、それぞれの課題を聞く。 

<市長>
GW期間中の施設等の入込数は、昨年比で168.9%、宿泊は120.3%となり、3月31日正午をもって無料化されたのと里山海道の効果もあり、大幅に増加した。今後、平成27年春の北陸新幹線金沢開業や能越自動車道の全線開通などを見据え、こうした追い風を経済効果にしっかりつなげることがなにより重要と考えている。
 こうした中で課題となるのは、民間の宿泊施設の老朽化と収容人数の減少である。民間の宿泊施設の改修については平成24年度から宿泊施設改修事業を実施しており、これまで12施設がこの事業を活用し、施設のリニューアルを図っている。また、行政としても木ノ浦で観光交流拠点施設の整備や能登路荘の改修など宿泊施設の充実を図ってまいりたい。
 また、物販施設についても民間の株式会社やNPO、地域の団体などと連携し、道の駅すずなりや狼煙、寄り道パーキング寺家などを整備してきた。今後は道の駅すず塩田村の拡張や新たな寄り道パーキングの整備を進めてまいりたい。
 この他、ヘルスツーリズムの推進による新たな観光誘客の推進、ボランティアガイドおらかた案内人の取り組みなど、関係の皆様とともに市をあげて交流人口の拡大に努めてまいりたい。


6.世界農業遺産について

(1)国内外の認定地域からの報告や交流を通じて、能登の里山里海の特徴や保全・活用の意義がより鮮明になったのではないかと思うが、会議に参加しての市長の感想を聞く。

<市長>
 さる5月29日から6月1日にかけて七尾市和倉を主会場に開催された世界農業遺産国際会議は、日本で初めての開催となったが、会議期間中は私も各国各認定サイトの政策担当者が集まるハイレベルセッションや石川県主催の記念シンポジウム等に参加し、世界各地の食糧農業を取り巻く現状や、各認定サイトの状況について理解を深めることができた。
 また初日である5月29日に開催された認定11か国19サイトの代表が集まる分科会では、私も第2分科会において能登地域GIAHS推進協議会の会長として認定を受けてからの能登の里山里海の取り組みについて発表したが、こうした機会を通して能登の里山里海、そして世界農業遺産そのものを強く国内外にアピールすることができたと感じている。
 今回の国際会議を踏まえて今後とも生物多様性をはじめとした地域資源の活用や保全に取り組むとともに、能登サイト全体が国内のみならず世界的にも一層評価されるよう、さらなる付加価値の向上に努めてまいりたい。


(2)J‐GIAHSネットワーク会議の発足時期の見通しと、その中で珠洲市に求められている役割について聞く。

<企画財政課長>
さる5月29日から6月1日にかけまして七尾市和倉温泉で開催された世界農業遺産国際会議の3日目となった5月31日に、新たに認定を受けられた熊本、大分、静岡の各県で事務局を担う担当者の方々、および能登サイトの4市5町、石川県、北陸農政局の企画担当者が一堂に会し、国内認定地域間における市町村の連携組織の立ち上げに向けて意見交換を実施した。
その結果、国内の認定地域間相互の情報交換や保全・活用の推進、認知度の向上などを目的とした国内世界農業遺産認定地域連携会議略称J-GIAHSネットワーク会議の設立に向けて取り組むことで合意した。
なお、今後は各サイトにおいて具体的にそれぞれの構成市町村のJ-GIAHSネットワーク会議への参加に関わる協議、検討を進めていくことになるが、その設立総会を含む第一回目の会合については、現在のところ、今年度内に能登サイトで開催することが検討されていることから、当面は能登サイトの事務局である本市がJ-GIAHSネットワークの事務局を併せて担当することとなっている。
今回の国際会議での議論などにおいても、各認定サイトでは構成市町村レベルによる取り組みを進めることが非常に重要であると感じたところである。本市としては、本市独自の取り組みを進めていくことはもとより、今後、国内の各認定サイトがJ-GIAHSネットワーク会議を通してしっかりと連携を図り、お互いの取り組みなどを情報交換し、積極的にその情報を発信していくことで国内外の世界農業遺産の認知度向上につながるよう、事務局としてネットワーク会議設立に向けた準備作業を円滑に進めてまいりたい。


7.「幸せリーグ」への参加について

(1)呼びかけた荒川区は、個人の幸福追求権は基本的人権の要として憲法13条で保障されており、国家とともに地方自治体も幸福追求の権利保障を担保しなければいけないという考え方に基づいて幸福実感の向上に取り組んできた。市長の思いも同様と理解してよいか。

<市長>
私はこれまでいきいきと安心して暮らせる珠洲市、住みよい珠洲市、活力ある豊かな珠洲市をめざし様々な取り組みを進めてきた。そのことを端的に示す理念こそが日本一幸せを感じられる自治体を目指すことであると考えている。


(2)市長の言う「日本一幸せを感じられる自治体を目指して」の「日本一」は全自治体が同じ指標で調査をすることを前提にしなければありえず、選挙のスローガン以上の意味は持たない。行政が市民の幸福という極めて個人の内面的な問題を指標化し、政策に結びつけていこうとするならば、慎重かつ科学的、客観的手法が不可欠だと思うが、平成28年度からの市総合指針に幸福指標を盛り込むにあたっての基本的な認識を聞く。

<市長>
 市民の皆様が感じられる幸せの度合いをいかに計測し、行政がおこなう施策に反映させるかが重要な課題の一つであると考えている。市民の皆様の多様な幸せの感じ方を客観的かつ定量的に計測するには、設定する項目や指標そのものの普遍性を確保するなど慎重に取り組むべきことが多く、十分な検討をおこなう必要があると考えており、今回の幸せリーグへの参加するによって荒川区をはじめとした先進自治体の例を参考に具体的な検討を進めてまいりたい。


8.原子力防災対策について

(1)市民の被ばくに備えてヨウ素剤が総合病院に備蓄されているが、必要なときに必要とする市民のもとに迅速に届かなければ意味がない。原子力防災計画を策定し、配布・服用の手順を定めるべきではないか。

<市長>
 基本的には国の原子力災害対策本部からの連絡を受けて判断することになるが、情報の伝達が著しく混乱した際には事故の規模やSPEEDI、風向きなどに基づき、状況に応じて臨機応変に判断したいと考えており、今後、具体的な配布、服用の手順を定める必要があると認識している。


(2)穴水町からの避難者の受入について、国が策定した原子力災害対策指針では避難基準となる放射線量が高いため、被ばくした住民が避難してくることを想定しなければならない。対応する珠洲市の職員は避難所の開設や住民の受入業務だけでなく、スクリーニング検査や除染、診断などで県や関係機関との連携が求められる。防護資機材も配備しなければならない。現在の地域防災計画で対応できるとは思えない。避難者受入についても同様に原子力防災計画が必要ではないか。

<市長>
本市が志賀原子力発電所から半径30キロメートル圏外であることから原子力防災計画を策定する義務はない。また穴水町からの避難者の受入については、すでに昨年6月に輪島市で実施された原子力防災訓練に本市として参加しており、今年の秋にも関係市町で訓練が予定されており、こうした訓練を通して今後県や関係機関と協議しながら防護資機材も含め受入態勢の強化を図ってまいりたい。


(3)県の退避計画要綱では、福島原発事故の教訓から高齢者や障害者ら災害弱者に必要な支援ができる福祉避難所を避難先市町が開設、運営することになっている。対応は可能か。

<市長> 
 長寿会、厚生福祉会、珠洲市社会福祉協議会の三法人と協定を締結しているが、市外からの避難者の受入につきましても、今後これらの法人と対応について協議してまいりたい。


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