北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

海老名市(神奈川県)から鶴ヶ島市(埼玉県)へ ―視察2日目の報告―

2015-10-08 | 珠洲市議会


総務委員会視察2日目。
午前中は神奈川県の海老名市へ。前日の町田市からは近い。

視察のテーマは窓口業務の民間委託。
エッ!と思われる方も多いかもしれない。
実は最近、首都圏や関西の自治体を中心に、行財政改革の一環として市民課の窓口業務を民間委託する自治体が増えている。
私は珠洲市に導入すべきだとは思わないが、行政の様々な事務をなぜ自治体職員が直接おこなわなければならないのか、自治体の職員が直接おこなった方が本当にいいのか、自治体業務の在り方を考えるいい機会となった。
海老名市は市民課に加え、初めて福祉課の窓口業務まで民間に委託したとのこと(福祉の相談業務は市職員が対応)。
窓口業務は、接客と実務の研修を受けた委託会社の20代の女性社員が対応する。
しばらくフロアで見させてもらったが、挨拶から笑顔、丁寧で落ち着いた話しぶりで、市民の評価が高いのもうなずける。
極々まれにミス対応があっても、そこは改善策、善後策をすばやく提示してくるとのこと。
ミスに対しては、職員同士の「これからは気をつけようね(^-^;)」といった対応とは確実に異なる。

一番の問題は、今後、市民課、福祉課の窓口業務を経験しない職員ばかりになること。
何年かすると、窓口の現場を知らない職員が市民課長や福祉課長となる。
現場の課題の把握や改善策など業者任せにならないか、質疑でもこの関連で様々な懸念の声が出された。
守秘義務については、違反に対して法的罰則力はないが、逆に公務員なら大丈夫というのも実は甘い幻想。
委託業者のセキュリティ対応もかなりのレベルで、行政も学ぶべき点が多々あるのでは?

セキュリティという点では、珠洲市でも総合病院の窓口業務は民間委託しているが、病院窓口も重要な個人情報を扱う。
いずれにしても、視点を変えて自治体業務を考え直す貴重な視察となった。



午後は東京都を縦断して埼玉県の鶴ヶ島市へ。
視察のテーマはふるさと納税である。
鶴ヶ島市は昨年9月からふるさと納税制度に本格的に取り組みはじめ、7カ月で1億3500万円の寄付金の実績があった。埼玉県内の自治体では断トツでトップ。
今年度は2億5000万円を見込む。
いわゆる「返礼品」の選定や業者との協力体制、寄付金の使用方法、職員の態勢など、なるほどという説明が随所に。

私はふるさと納税制度については、この間のブログや先の9月議会での一般質問を通じて制度自体のおかしさ、自治を歪め、むしろ弱体させる問題点などを指摘し、もはや「ふるさと」納税制度ではなく、全国の都市も田舎も入り乱れれての「地方税の奪い合い競争」だと批判してきた。
埼玉県と言えば高度成長期に全国の田舎から多くの人が出てきて人口が急増したところ。
つまり「ふるさと」に納税するならむしろ税収が減ってしまう自治体が多いのではないか。
そういう意味では安倍政権の地方創生を前に、大きな危機感を持っている。
今日の鶴ヶ島市も人口は依然増加傾向にあり、地方交付税への依存は今年度予算でわずか6.7%。そこが地方税をふるさと納税制度の下で吸収していくのである。
石川県で言うなら金沢市が本格参入したら大変な脅威である。

寄付者も実質2000円の負担で多額の返礼品を手に入れられる。自治体も、地元企業も得をする。
これだけみればまさに「Win Win Win」の関係だが、これによって地方税の税収がダウンする「負け」自治体もあるのである。
また、日本の地方税トータルで見れば、本来の自治体の貴重な自主財源が、ふるさと納税に姿を変えればその何割か(5割近いか?)は「返礼品の購入費+ふるさと納税の事務費」として支出されることになる。
地域の産業支援という面を差し引いても、冷静に考えれば地方創生に全く逆行した制度だ。
しかしなんとも悩ましいのは、参加しない自治体が馬鹿をみる制度だということ。

今回の視察、珠洲市が参入するにあたっての課題について多々勉強させてもらったが、制度の欠陥もより鮮明に確信をもつことができた。 





両自治体とも、視察テーマの学習後、議場など議会内も視察させてもらった。
今日の二つの議場、傍聴席に高さが実に対照的。

ちなみに高い傍聴席は海老名市で、傍聴席から議員は見えない。
建設当時、議員は傍聴人(市民)から選ばれた代表でありいわば仲間、執行部だけしっかり見えれば十分との発想があったのかも・・とのこと。
今では議員も(を?)チェックしたい傍聴人も少なからずおり、市民からは不評とのこと。



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