ブログ仙岩

各紙のコラムや報道番組、読書の感想、カメラ自然探索など。

大石邦子の「その名はパンチ」を読んで

2017-07-06 08:46:01 | エッセイ
ハイ!みんぽう7月号、大石邦子のエッセイ「その名はパンチ」で、優しい心憎いばかりの気配りに感謝したエッセイである。75才の大石さんは出光の通勤途中交通事故にあい、22歳で半身不随の車いす生活に、「海賊とよばれた男」のモデル出光佐三氏が見まいに来て、自分の苦労から優しい言葉をかけて頂いたり、歌会始に出席したりの人生。

30年前毎週、ラジオ福島で「大石邦子のラジオエッセイ」でおしゃべりをしていたときのリスナーの友人が15,6年ぶりで来訪、今回来てくれた夫妻も、リスナー同士の一組で、妻のヨッちゃんはリュウマチを病み重い障害を持っていた。その彼女に心寄せていた青年がパンチと呼んでいたがその名の由来は分からない。

誰にでも心配りの出来る静かな芸術性にも長けた優しい青年が、彼女が寝込むとパンチが痩せてしまうと札幌から来た友と共に笑い、おしゃべりしている間に、ただ一人の男性パンチが消えてしまった。

気配はするが、彼は帰りの時間まで遂に姿を現さなかった。

みんな帰った後、台所に入った私は息を呑んだ。流し場がピカピカに磨かれ、食器類は整然と並び、床は光り、ゴミまで無くなっていた。パンチはここで台所を磨いてくれていたのだ。涙が出そうだった。

ありがとうパンチ、いつまでも元気で、二人仲良く頑張ってね。

宮城登米で、妻と我が子3人をライターで火をつけて殺す夫がいる世の中、パンチのような人がいることで、日本もまだまだ大丈夫と。