ブログ仙岩

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悠久自然の草野心平記念文学館

2017-07-26 08:09:08 | 問題
1997年竣工した小玉ダム建設事務所跡地に、翌年の1998年心平の故郷である福島県いわき市小川町に開館した。どうしてあんな山奥に、心平の生家近くにと思っていたのでがっかりした。

訪れてみると、まず屋根が見当たらないが石柱に芝生の屋根を渡したアプローチを、横穴入り口の玄関から中へ入ると、アトリウムロビー正面から一望できる二箭山が窓の額に収まる。

心平が16歳まで暮らした故郷の情景だ。館内には常設展示室をはじめ、企画展示室、アートパフォーミングスペース、文学プラザ、小講堂等があり、現在「いわむらかずお絵本原画展」が開かれている。

敷地面積 約25,858.51㎡、延床面積 2,194.03㎡ の中庭に蛙の置物が見える。

文化勲章受章者でいわき市の名誉市民でもある詩人・草野心平(1903〜1988)の業績を末永く顕彰するものとして、また、小玉ダム建設で失われた自然を再生する陽田秀夫設計の狙いから生まれたと知って、納得した。

蛙の詩を合唱しながら「第百階級」的なものに惹かれつつも、何か得体の知れぬわだかまりを感じて「農民のうた」を書くように吉野せいに勧めたのは草野心平だった。

二箭山登山入口の「上小川根本」を心平が読んだ詩・・・左うぐいす。右うぐいす。おきなぐさやきんぽうげ咲く。細い橇道。左うぐいす。右うぐいす。行く手にあおぐ。花崗岩。きょう三世の親子再会し。いまのぼりゆくこの道をそよそよゆらぐひかりのまぶしさ。甘い切なさ。左うぐいす。右うぐいす。