ブログ仙岩

各紙のコラムや報道番組、読書の感想、カメラ自然探索など。

宮沢賢治「農業芸術概論綱要」

2016-07-23 08:50:05 | エッセイ
序論 われらはいっしょにこれから何を論ずるか

おれたちはみな農民である ずゐぶん忙がしく仕事もつらい もっと明るく生き生きと生活をする道を見付けたい われらの古い師父たちの中にはさういふ人も応々あった 近代科学の実証と求道者たちの実験とわれらの直観の一致に於て論じたい

世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない

自我の意識は個人から集団社会宇宙と次第に進化する この方向は古い聖者の踏みまた教へた道ではないか 新たな時代は世界が一の意識になり生物となる方向にある 正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである われらは世界のまことの幸福を索ねよう 求道すでに道

そして、興隆、本論、分野、主義、製作、生産、批評、総合、結論で論じ、美や四次元の銀河のユートピアが描かれている。

宮沢賢治は、1896年岩手花巻に生まれ、盛岡高等農林学校卒業、家業に従事、日蓮宗信者、「春と修羅」詩集、「注文の多い料理店」童話集を自費出版、凶作と不況にあえぐ農民に稲作指導しつつ詩才を育てたが、37才肋膜炎で夭折、没後草野心平に発掘され、その豊かな空想性とユーモア、宗教性、土着性、科学性など交錯する世界が注目を浴び国民的作家となった。

銀河鉄道の夜、雨ニモマケズなど代表作で、記念館に入るとバイオリンが目につき、音楽そして絵画にも関心があったことに思いをはせる。


「心の肖像画を描く」日本画家アラン・ウエスト

2016-07-21 09:44:52 | エッセイ
21日今朝「明日へのことば」で、アラン・ウエスト氏のトークを途中から聞いた。

司会者が、アランさんはワシントンDC出身というと、ワシントンDCは自然がそのまま残ったところで、親につれいていかれ原風景を楽しんだ。8歳のころから絵を描き始め、高校までだいぶ絵の作品ができた。

カーネギーメロン大学芸術学部は、50倍の競争で、50の作品を審査して合格が決まるという。数多くの作品があったから、いいもの50を選んで持参した。が、他の人たちは、数点の作品しかないのが普通、50も持って行ったから驚かれたと。

絵を描いているうち、出来合いの絵具でなく、絵の具を作って描くことに心を寄せたとき、その技法は日本にあるよという情報から、日本に派遣され、絵の具を石から作ることを目にして、卒業後、東京芸大日本画科を受験、実技試験で加山先生の聴講生に、そして好きな女性ができ、翌年受験して合格した。モデルを絵にするとき、休憩で戻ると、友は白い紙が、私は4時間も1枚の絵に集中していた。

絵具を作る技法で、ウサギから匂いが臭く、鹿のニカワは臭くなく、先生はお腹がすいて、ニカワ食べたかったが、我慢して描いたと、話しながらアランさんは涙ぐんでいた。

台東区谷中に繪所アランウエスト画廊&アトリエで、日本画、屏風絵、掛軸など手掛け、特に、美術の杜上野の下町で美術のイベントを開いている。

私も、1984年4月、加山又造展をいわき近代美術館で見た。入館すると、左の「黒の裸婦」、奥の「鶴舞」の屏風絵や猫がチョウを見ている「凝」などが今でも印象に残っている。素晴らしい天才先生に師事したアランさんは幸せ者です。

知者楽水 仁者楽山

2016-07-20 09:59:07 | 問題
論語、6雍也に、知者楽水、仁者楽山、知者動、仁者静、知者楽、仁者寿。

知者はどちらかといえば水が好き、仁者はどちらかといえば山が好きだ。一方は動であり、他方は静である。そのため知者は自分に満足できるし、仁者は長寿を得る。

私たちはややもすれば人間を超えた存在に頼る気を起こしがちだ。しかし、人間としてやらねばならないことは何かと考えることが知だ。また、人間として正しいことは、たとい労多くして功少なしと知っていても、あえて実践する態度、それが仁なのだ。

今テレビなどで、芸能人や大学出身とのバトル物知りクイズなどやっているが、知識の豊富な人は変化革新の動を好み、人間として素晴らしい徳を積んだ人はムヒカ氏のように破壊せず土に根差した自然の生活静を好むと思う。

ハルジオン(春紫苑)

2016-07-19 08:17:47 | エッセイ
春紫苑(ハルシオンが正しいが、ドラック名にあるので、ハルジオンと)は大正時代に園芸植物として、アメリカから導入された「ピンク・フリーベイン」の名前で、当時は大変花屋の店先で人気があったろうと思う。

しかし、いつしかハルジオンは見捨てられ、雑草としてハルジオンはヒメジョオンと共に、道端でよく見かける植物へと化してしまった。一部の地域では「貧乏草」と呼ばれ、「折ったり、摘んだりすると貧乏になってしまう」と言われている。花言葉は「追想の愛」と。

5月に花が咲き、雑草として今の時期は殆んど見えなくなったが、もともと北アメリカ・フィラデルフィアの大地に咲く野の花であった。忌み嫌われたハルジオンは除草剤にも負けない突然変異体が現れた。

植物に限らず、外来生物は、ブラックバスのように生態系を壊すため忌み嫌われるが、しかし、彼らには罪はない。無理やり連れてこられ、懸命に生きているのである。生態系を壊すのは彼らではなく、被害者ズラをしているいる私たち人間こそが生態系を壊している。ハルジオンをもっと可愛がりましょう。

これから秋にかけて、姫女苑(ヒメジョン)が咲きだします。よく似ており区別がつきませんが、花が下を向くハルジオンに対して、小さく背が高く、茎を折ると空洞がないからわかります。また、葉の付き方も抱きかかえていません。