生命哲学/生物哲学/生活哲学ブログ

《生命/生物、生活》を、システム的かつ体系的に、分析し総合し統合する。射程域:哲学、美術音楽詩、政治経済社会、秘教

想念形体と抽象絵画

2013年07月11日 11時29分34秒 | 美術/絵画原論、絵画理論、絵画技法
2013年7月11日-2
想念形体と抽象絵画

 カンディンスキーとモンドリアンは、抽象絵画の創始者または先駆者である。両者は、神智学の影響を受けていると言われる。

 「1908年、カンディンスキーはシュタイナーと出会っている」(遠藤真理「カンディンスキ ーとシュタイナー」http://www.eonet.ne.jp/~kimichr/contributions/agatha2.html[2013年7月11日閲覧)。

 「神智学が当時の芸術家にインスピレーションを与えた方法は、オカルト的な思考内容だった。モンドリアン、スクリャービン、ストラヴィンスキー、シェーンベルク、モルゲンシュタイン等々がその影響をうけ、カンディンスキーも例外ではなかった。自筆の書きこみの入ったいくつかの本?ブラヴァツキー『神智学への鍵』、シュレー『偉大なる秘儀参入者たち』、シュタイナー『神智学』、ベサントとリードビーター『思念=形態』?が彼が熱心にこれらの世界への糸口を探ろうとしていたことを物語っている。」(遠藤真理「カンディンスキーと シュタイナー」http://www.eonet.ne.jp/~kimichr/contributions/agatha2.html[2013年7月11日閲覧)。

 Besant & Leadbeater の『Thought-Forms』は、(故)田中恵美子氏による翻訳(1983年5月第一刷発行)があるが、1999年発行の『Thought-Forms』にある、John Algeo 氏による「FOREWARD TO THE 1999 EDITION」(pp. xi - xxvi)は、当然ながら訳出されていない。そのなかの一節に、「THOUGHT FORMS AND MODERN ART」(xxiii - xxv)というのがある。次に訳出する。

  「    想念形体〔形態 forms〕と近代〔現代〕芸術

 心的〔メンタル〕物質における形体、つまり「透視 clear sight」能力のある人々によって知覚することができる形体、としての想念という見方 view は、20世紀初期の芸術家たちに大きな影響を与えた。ベサントとリードビーターの『想念形体』は、1901年の初版であるが、その影響の主要な源であった。
 ピエト モンドリアンは、オランダの象徴主義者で、後に抽象主義者となったが、神智学協会の一員でもあった。彼は、1908年に「献身 Devotion」と呼ばれる絵画 picture を描いた。それは、若い少女を描写しており、頭はわずかに上方に傾き、額の前の幽霊のような〔 spectral〕花を見つめている。それと、モンドリアンの他のお化けのような花々の一連の絵画は、H.P. ブラヴァツキー による観察を反映している。すなわち、

 一つの花が咲き、それからしおれ、死ぬ。それは、後ろに芳香を残す。もろい花びらは小さなちりにすぎなくなっても長く後にも、香りは空中になお留まる。わたしたちの物質的感覚はそれを認識しないかもしれないが、しかしそれはやはり存在するのである。[『覆いを取られた〔脱いだ〕イシス神 Isis Unveiled』 1: 114]


 モンドリアンの塗絵 painting における少女は、一つの花の想念形体を見ている。それは、花自体が色褪せ〔しおれ fade〕消滅した後も長く存在する。
 芸術とベサントとリードビーターの『想念形体』との間により直接的な繋がりのある、他の例は、ワシリー カンディンスキーの作品である。Sixten Ringbomは、彼の専門的研究論文である『鳴り響く宇宙 The Sounding Cosmos』で、カンディンスキーの抽象芸術の基礎となっている霊的理論を研究した。すなわち、

 カンディンスキーの神智学的源泉の最も重要なものの一つは、ベサントとリードビーターの著書である『想念形体』であり、その本のドイツ語訳は1908年に出た。この翻訳、『思考形体 Gedankenformen 』は、〔フランスの〕ヌイイ-シュル-セーヌにあるカンディンスキー図書館にあり、20世紀の初期でも、カンディンスキーはそれに言及していた。[〔Ringbom『鳴り響く宇宙』:〕62頁]

 ベサントとリードビーターは、想念形体を色、形、そして輪郭の明確さ〔明瞭さ distinctness〕によって分析している。これら三つの特質すべてが、想念形体の意味に対して意義を持つ。想念の情緒的〔感情的 emotional〕特質は、その色彩を決める。そして、集中の程度は、想念の輪郭の明確さを決める。Sixten Ringbomが説得的に示しているように、カンディンスキーは第一次世界大戦前の10 年間から行なった塗絵において、これらの特徴を取り上げ〔took up those characteristics〕使用した。
 カンディンスキーの第一次世界大戦前の塗絵において、ベサントとリードビーターの本における特定の想念形体の挿絵と同一の形を認めることはたやすい。たとえば、いくつかの漠然とした 〔vague〕曇りのある〔ぼんやりとした cloudy〕形は、図版8と9〔訳本では48頁の次にある図版8と9〕の模倣である〔echo〕。つかむような、あるいはかぎ状の形は、図版13、20、28、そして29の形を繰り返している。カンディンスキーの様々な理論的着想は「神智学から直接に来た」(〔『鳴り響く宇宙』:〕121頁)ことを明瞭にすることに加えて、Ringbomは、カンディンスキーが彼の塗絵に『想念形体』からの挿絵を取り入れたことを示している。Ringbomは、カンディンスキーの塗絵と、ベサントとリードビーターの本からの挿絵を並べている(Ringbomの図版121-133)。それによって、カンディンスキーの作品〔仕事〕へのベサントとリードビーターの影響を視覚的に〔ありありと、図表を用いて graphically〕示している。」(Algeo 1999: xxiii-xxv;20130711試訳)。

  

 なるほど、初期のカンディンスキー作品が暗くて汚いわけだ。後のいわゆる幾何的な整理された作品の色はまあまあ奇麗である。
 




 
[A]
Algeo, John. 1999. Thought forms and modern art. In, Besant & Leadbeater "Thought-Forms": xi-xxvi. Theosophical Publishing House.

[B]
Besant, Annie & Leadbeater, C.W. 1999. Thought-Forms. xxvi + 77 pp. Theosophical Publishing House (Quest Books). [B20000901、$10.40+39.00/20]

[へ]
ベサント,アニー & リードビーター,C.W.1925.(田中恵美子 訳,1983.5)思いは生きている?想念形体?].98頁 + 図版30頁.竜王文庫.[2600円+税][B19840514、2500円][19850314読了]






風間虹樹:〈生命火花?? a rose violet devas〉の展示/勝毎サロン/藤丸7階(帯広)

2013年07月11日 08時39分55秒 | 美術/絵画
2013年7月11日-1
風間虹樹:〈生命火花?? a rose violet devas〉の展示/勝毎サロン/藤丸7階(帯広)



風間 虹樹
生命火花?? a rose violet devas
F20縦(727×606 mm)
亜麻画布 linen canvas に、ジェッソ、墨、(水色はおそらく水干絵具)、油絵具、白墨液
2007年10月製作

が、下記にて6日間、展示されます。

□ 形象のはざまに・・・ □
会期:2013年7月11日(木)~16日(火)
時間:午前10時~午後6時まで(最終日は午後4時まで)
場所:勝毎サロン(藤丸7階)
   帯広市西2条南8丁目 藤丸
主催:NPO十勝文化会議
展示内容:抽象画・版画等

【移動展】 (※ 移動展の日程は若干変更になる場合があります)

会期:2013年7月17日(水)~7月22日(月)
会場:大樹町生涯学習センター

会期:2013年9月11日(水)~9月29日(日)
会場:豊頃町えるむ館はるにれギャラリー


 
狙い:一体的deva生命体たちを創造し存在させる。
技法:面相筆による振り出し叩きつけ法(細線喰い込み付着法)、滴下法、絵画表面流し法、表面体削り穴法、
見どころ:
  ・いのちが花火のように燃焼する状態で自然的に存在しているところ。
  ・生命体の環境の繊細なあり方。
  ・墨線生命体の繊細かつ粘りつく力強さ。
  ・墨線生命の身体が一部で弾ける、いのちの活動。
  ・水性の力、たとえば滲み的有り様の展開。
  ・全体としての有機的広がり。
  ・水(という五大 five elements のうちの一つの)の流れるやわらかな生氣。
  ・火(という五大 five elements のうちの一つの)のはじける硬質の生氣。
  ・統合として、繊細かつ大胆。

rose violet 薔薇菫(色)
a devas 一つのdevaたち、または、一体であるdevaたち
deva 梵天、天使、精霊、神々、などと訳される、肉眼では不可視の存在者


 喰い込むような細線は、面相筆に(おそらくさらに膠を加えた)墨を含ませて、ジェッソを塗布した生乾きの絵画表面に叩きつけるように振り出して作った。
 水分含有量や環境湿度などに結果が微妙に左右されるので、喰い込むような鋭利な細線の再現はかなり困難である。墨の着地点で火花のように散っているのは、表面がちょうど良い加減の水分のジェッソ層となっているからである。



 
















 墨を面相筆につけての一振りで、一瞬的に生命花火を作りました。線香花火のような部分は墨の着地点です。喰い込むような細線は、墨の着地に続く振り下ろしの部分です。なんと美しい、細い曲線。なんと美しい、花火的ないのちの散らばり。なんと美しい、墨の濃淡の分布。下図も参照。