2010年12月21日-1
国鱒の(認識的)復活/絶滅確認の困難
昨日いただいた、京都大学総合博物館「展示ミニガイド」の15頁に、中坊徹次「絶滅種クニマス九個体の標本」という記事があった。
先日のテレビで放送されたが、さかなくんが取り寄せた山梨県の西湖からの魚のうちのいくつかに、中坊徹次氏によってクニマスとして確認された。これまでは、「世界中で秋田県田沢湖にしかいなかった」(15頁)ことになっていたのである。
クニマスは、ベニザケの陸封型であるヒメマスの亜種だと考えられていたが、中坊氏は文献調査から「クニマスは湖の深い所で生息し、水深40-50mで産卵」(15頁)するのに対して、「他のサケ・マス類は散乱のために川を遡上、あるいは湖岸で産卵をする」というように、「全く異なった生態をして」いるので、独立種だと言う。
ともあれ、絶滅種(または絶滅亜種)ではないことになったようである。生息場所habitatの分類カテゴリーがわかると、稀だったものがどんどん発見されるようになるということがある。たとえば、チョウが産卵する草の種類がわかると、産卵後の時期にその種の草を探せば、高い頻度で卵を見つけられる。生息密度はともかくとして、その道の事にとっては、稀なものではなくなる。てなわけで、絶滅種とされていても、或る種speciesに属する生物体が(生きて)存在していないということを言うことは、(同定が正しいとして)生物体を一個体でも発見すればそのまま生息(存在)していることを根拠立てできるのに対して、どういうわけか(どういうわけだろう?)、難しい。
国鱒の(認識的)復活/絶滅確認の困難
昨日いただいた、京都大学総合博物館「展示ミニガイド」の15頁に、中坊徹次「絶滅種クニマス九個体の標本」という記事があった。
先日のテレビで放送されたが、さかなくんが取り寄せた山梨県の西湖からの魚のうちのいくつかに、中坊徹次氏によってクニマスとして確認された。これまでは、「世界中で秋田県田沢湖にしかいなかった」(15頁)ことになっていたのである。
クニマスは、ベニザケの陸封型であるヒメマスの亜種だと考えられていたが、中坊氏は文献調査から「クニマスは湖の深い所で生息し、水深40-50mで産卵」(15頁)するのに対して、「他のサケ・マス類は散乱のために川を遡上、あるいは湖岸で産卵をする」というように、「全く異なった生態をして」いるので、独立種だと言う。
ともあれ、絶滅種(または絶滅亜種)ではないことになったようである。生息場所habitatの分類カテゴリーがわかると、稀だったものがどんどん発見されるようになるということがある。たとえば、チョウが産卵する草の種類がわかると、産卵後の時期にその種の草を探せば、高い頻度で卵を見つけられる。生息密度はともかくとして、その道の事にとっては、稀なものではなくなる。てなわけで、絶滅種とされていても、或る種speciesに属する生物体が(生きて)存在していないということを言うことは、(同定が正しいとして)生物体を一個体でも発見すればそのまま生息(存在)していることを根拠立てできるのに対して、どういうわけか(どういうわけだろう?)、難しい。