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ビデオも使われ、話も大変分かりやすくて面白く、熊大の医学生さん達も、いい講義を受けられて幸せだなあと思った。
以下、(メモをしっかりと取っていた訳でもないので、若干食い違いがあるかも知れないが)その内容。
産婦人科が如何に魅力的な科であるかをまず、話された。産婦人科は、「婦人科腫瘍学」やお産に関する「周産期学」だけでなく、(今や年間生まれてくる赤ちゃんの内の18000人、65人に1人が体外受精を受けていることから分かる様に)「生殖内分泌学」を扱い、又、「更年期学」や「老年期学」などと一生を通じて扱う学問であり、とても魅力に溢れた科である。
お産に関しては、紀元前14世紀のエジプトの記録で、既にエジプト王が出生する時のお産のシーンが画かれ、更には、ポンペイ遺跡から(ナポリ国立博物館の資料としてあるのだが)、分娩時に今でも通用する様な道具が多数発掘されている。
子宮の大きさは、鶏卵大、卵巣の大きさは、妊娠可能な時には、精巣とほぼ同じ大きさの親指大であるが、次第に小さくなって小指大になって行く。
生殖器に関して言えば、男性が閉じた感じ(クローズ)になっているのに対して、女性の場合は、開いた感じ(オープン)になっている。つまり、女性の場合、精子と卵子が、体の内と外で通じた関係感じになっていて、鉛筆の芯の大きさしかない卵管の中の膨大部と言う所でドッキングして、太古の昔からヒトの生まれることになる。しかし、不妊の原因として一番多いこの卵管の障害でも、今では、体外受精などのクルーズの状態でも誕生することが出来る様になっている。
婦人科健診の推進で、子宮頚ガンは、確実に減少してきている。しかし、この20年間で、様相は一変した。50代や60代で多かった子宮頸部ガンが、今や、30代が一番多くなっているのである。
なしか?!
それは、若い女性の性ライフの変化である。多くのガンの原因がはっきりと示されてない中で、子宮頚ガンに関しては、明快である。ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染がきっけになって子宮頸ガンになるのである(HPVの中にも、細かく分かけるとかなりの種類があり、HPV以外でも、頻度的には少ないが、子宮頚ガンのきっかけの原因になりうる)。
アメリカの社会運動として、子宮頚部ガンを防ぐ為には、出来る人は禁欲(セックスをしない)を、出来ない人は、貞操(相手を一人にする)を守り、更には、男性にコンドーム使用をとの三段階を提唱している。
つまり、若い時から、多くの男性と性交渉の経験のある女性ほど、子宮頚部がんになる可能性が高いし、クラミディアなどの性病に罹患している女性ほど、子宮頚ガンになり易いと言うはっきとしてデータが出ている。(イスラム社会では、はっきりと少ない。何故なら、そこでは、女性の貞操が重んじられ、初めにセックスした男性と結婚することが普通になっているからである)
先生は、実際のビデオを見せてくれた。ある例では、20代で8カ月の若い女性が帝王切開され、子宮が全て摘出されていた。子どもも救いたい、親もガンから救いたい、その選択が、8カ月での帝切後の子宮摘出となったのである。又、ある例では、妊婦の命を救う為に、妊娠4カ月の胎児が子宮ごとに摘出されていた。
子どもを今から生もうとしている若い女性が子宮頸ガンに罹患して進行している場合は、深刻である。子宮頸ガンの初期では、症状がないだけに、(恥ずかしいでしょうけど、1回でも性交渉のある場合は)(20代後半になれば、必ず)子宮頸部ガン健診を受けられることを勧めます。
データ的にそれで、確実に手術する件数が減少しているからして、出来れば、年に2回、少なくとも、1(~2)年に1回の健診を。もちろん、心配になれば、20歳前でもいいですヨ。一度でも、その可能性はありますから。
*今は、アメリカでは、ヒトパピローマウイルスのワクチンを多くの人が利用している様ですね。日本も、時間の問題でしょう(が、日本の厚生労働省の対応が遅いので、そうなるまでにかなり年限が掛かるかも知れませんが)。