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勇者よ進め

2015-03-05 19:12:34 | ニュース
<トヨタ 初の外国人副社長、女性常務 グループ大手から役員登用も>SankeiBiz 2015/3/5 08:15より一部引用
トヨタ自動車は4日、トヨタグループの部品大手デンソーとアイシン精機からの役員登用や初の外国人副社長就任などを盛り込んだ新体制を発表した。役員にグループ企業の生え抜きを抜擢(ばってき)するのは初めて。同社は2014年度を持続的成長に向けた基盤固めの年と位置付け、事業再編による生産の効率化などに取り組んできた。新体制でグループの結束を再強化し、世界販売1000万台超の領域で新たな飛躍に挑む。
トヨタは14年度を将来に向けた事業基盤を固める「意志ある踊り場」(豊田章男社長)と位置付け、グループ内で重複した事業の再編や研究開発の強化に取り組んできた。再編を通じてグループ各社は国際競争力がある得意技術を強化し、トヨタは将来的にエンジンや燃料電池など中核技術の開発に集中する考え。


さすが世界のトヨタというべきか、このニュースはロイターでも伝えている。

<トヨタに初の外国人副社長と女性役員、グループ企業からも役員>ロイター 2015/3/4 15:54より一部引用
現在6人いるトヨタの副社長は経営上の意思決定において大きな役割を果たしているが、外国人が副社長に就くのは初めて。女性の役員も同社として初となる。事業のグローバル化とともに顧客の多様化が進む中、役員にも多様な人材を積極的に登用することが必要と判断した。




2009年から2010年にかけてのトヨタの大規模リコール問題は、豊田社長が米議会の公聴会で謝罪するという事態にまで発展し、自分としてはかなり衝撃を受けていた。
これは結局、米運輸省高速道路交通安全局(NASA)による最終報告で、「トヨタ車に器械的な不具合はあったものの、電子制御装置に欠陥はなく、急発進事故のほとんどが運転手のミス」 と発表され決着がついたのだが、事態収拾にこれほどまで手間取った理由として当時、
「トヨタの体質がある」と言われた。
それは、役員全員が日本人で問題は全て本社決済。
出向役員も女性役員も不在であったため、現地の情報は届きにくく、細やかな消費者への対応も後手に回ったと。

あれから5年。
政府が、「すべての女性が輝く社会づくり」本部をつくったり、移民政策を議論したりする時流も相俟って、
ついにトヨタに外国人副社長と女性役員が誕生する。

トヨタというべきか自動車業界の厳しさを書いて有名な作品に、「勇者は語らず」(城山三郎)がある。

日本車が世界に伸していく過程は、『自動車業界は今や競争じゃなくて戦争になっている。戦争だから、何だって起こる』 と表現されるほど凄まじいものだった。
下請けにはジャストインタイム方式や 『(下請け業者をタオルにたとえ)絞れるだけ絞れ、乾いたタオルでさえ、なお絞れる。湿度の高い日本ではそれが可能だ』という論理を押し付け、海外勤務の者は家族の生活まで犠牲にし、日本車を必死になって売った結果の経済摩擦。
作中、『こいつらが、俺達から仕事を奪った。憎らしいこいつに、今から死刑を執行する』と言いながらアメリカ人がハンマーで日本車を破壊するシーンがあるが、それは当時ニュースでも頻繁に流れていた。

そんな過酷な状況で現地で働く企業戦士がつぶやく言葉が、
『勇者は語らず、さ』 である。

語りたくとも語れない苦悩を抱えたままに黙々と仕事を続け、現在3年連続世界首位の座を守っている。

そのトヨタが、現在を「意志ある踊り場」(豊田章男社長)と位置付けたうえで、初の外国人副社長と女性役員を起用して、さらなる競争力の強化に取り組むという。


『沈黙は日本人に似合うんだ。帝國海軍もサイレント・ネイビーといっていたじゃないか』とは作中の言葉だが、黙ってばかりでは世界競争という海では沈没してしまうのかもしれない。
時代に即した変化を柔軟に取り入れながら、根本を守っていく重要性は、企業にとっても伝統文化にとっても同じであり、それを見極める人間の度量が試される時なのかもしれない。

勇者よ進め



ところで、現在、皇室の御料車は先代の日産「プリンスロイヤル」から引き継ぎ、トヨタの「センチュリーロイヤル」だ。

納入から間もない車が、電気系統のトラブルで公務の途中で停止してしまうという事態が2007年10月にはあったが、ともかく皇太子御一家が乗られる車は(確認できる限り)トヨタだと思われる。

雅子妃殿下が御成婚時にトヨタの「カローラⅡ」に乗られていたのは話題となり、後には「カローラⅡにのって~」という歌も流行ったが、
妃殿下の妹節子さんは、バイク好きなことから東大卒業後はホンダにお勤めであった。


蛇足ながら、トヨタトヨタと書いてきたが、エンジン音とステアリングの個人的趣味から、 自分はトヨタ一辺倒というわけではない。