何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

ずぶの素人orナチュラリスト 比較

2017-03-12 22:28:10 | 自然
「ずぶずぶの素人 その壱」 「ずぶの素人改めダメな素人」 「ダメ素人のアルペン踊り」より

槍ケ岳は、遠くから見れば鋭角に尖っているし、ガイドブックを読めば長い梯子と鎖場があると書かれているので、難易度が高そうだが、実際に登ってみると、足場が取りやすいという点で北穂高よりも安定感があるし、落石の危険性が低いという点で奥穂高よりも不安感が少なかった。
槍ケ岳頂上直下の有名なあの長い梯子を登りきった先に広がる景色は、今思い出しても、心が浮き立ってくるものがある。
写真左下の茶色の物体↑が、梯子の最上段の手すりである。

ここから一歩先に広がる世界が、下の写真。

この日は、とにかく登山者が多く、梯子を登る人数と頂上に立つ人数を規制し、頂上にいられる時間は一人10分という暗黙のルールができていたが、皆でこの素晴らしい景色と感動を共有したいという思いが強いのだろう、誰も文句を言う人はおらず、束の間の天空散歩を楽しんだ後、大満足感のうちに下山し、槍ケ岳山荘の談話室(食堂?)で余韻に浸っていた・・・・・

・・・と、その時、殺生分岐のあたりからヘタリ込む山Pを気遣い(おそらく)同道してくれていたのであろうイギリス人男性の視線を感じた。「ずぶの素人改めダメな素人」

「頂上まで登った」という私の返事に、片方の眉をグイッと吊り上げ、両手を広げて肩をすくめてみせたイギリス人によると、本格的な登山家は格別、ヨーロッパの一般的ナチュラリストは頂上に立つことに拘らないという。彼らは自然の中で過すことそのものを楽しむのが目的なので、天気や体調次第では、何日でも山小屋やテントでザックに忍ばせてある本を読んで過すのだという。

このイギリス人が語ることが全てではないにしても、日本人とヨーロッパ人の休暇や自然との向き合い方の違いの一つの例ではないだろうか。
’’なるほど、これが我ら日本人がエコノミック・アニマルと云わる由縁か’’などと少しだけ反省はしたものの、翌朝、槍ケ岳の向こうから昇る朝日を見た時には、きれいサッパリお小言は忘れていた。そのあたりの反省については次回へつづく