何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

速報 祝号外

2015-03-22 12:03:17 | 自然
睡蓮鉢の底にわずかに残った泥水をたよりに、睡蓮の根に守られ、メダカが生きていてくれた。

ただ今、汲み置きの水に放して、復活充電中。

ブラボー


歩兵

2015-03-22 00:22:26 | 自然
この二日ばかり祇園精舎の鐘の音が耳に響いて、沈んでいた。

原因は、メダカ。

大きな睡蓮鉢には2013年3月から一匹のメダカが、小さな睡蓮鉢には2012年9月から金魚すくいの金魚が二匹暮らしている。

金魚にも色々ドラマがあるのだが、ともかく今はメダカの話。

2013年3月末はじめて10匹のメダカを睡蓮鉢に放した時には、仲良く楽しそうに見えたのだが、さすがに「メダカの学校」といわれるだけのことはある。
すぐに派閥ができて、抗争が始まり数が減り、数が減っているのに仲間はずれをし、結局残ったのは一匹。
一匹では寂しかろうと又8匹ほど睡蓮鉢に加えたが、派閥ができ抗争が始まり仲間はずれをし、残ったのは一匹。

あと2回ほど同じことを繰り返し、ついに、このメダカは一匹で生きていく運命なんだろうと思い、2013年5月以降は大きな睡蓮鉢で一匹で暮らすのを見守ってきた。
何故いつも一匹生き残るメダカが、同じものだと分かるのか?
他に何匹いようとも、いつも一匹で隅で固まっているそのメダカには、エラから背びれにかけて黒いブチ模様があるので、きれいなヒメダカの中では、一目でそれと分かったのだ。

睡蓮鉢の底に堆積した泥と同じ色のメダカは、泥にもぐって昨冬を越したが、この冬は何度も水面が凍結する厳しい寒さで、3月水がぬるんでも日向ぼっこに現れないので、諦めかけていたところ、19日の朝水面を泳ぐメダカを見付けて人知れず感動を覚えていたのだ。
よくぞ、あの寒さを泥にもぐって一人で耐えたと。

これを家人に伝えておくべきだったが、忙しない朝のこと、そのまま出掛けて夜帰宅すると、睡蓮鉢の水が抜かれて睡蓮の根が埋まるだけの泥が残っているのみ。

生き物を喪った泥水が温み傷む前に「奇麗にしておこう」という家人の気持ちは分かるし、メダカが越冬してくれたことを伝え損なった自分の手落ちもあったので、誰も責められないまま、沈んでいた。

他とは違うみにくいブチ模様をもち、最初から誰とも交わることなく一人で過し、寒い冬を泥にまみれてやり過ごし、やっと温かい春が来ようとしているのに、突然水が抜かれて生きていけなくなった一人ボッチだったメダカ。

なぜだか卒業式の日の担任の先生の言葉が浮かんだ。

人生は自分一人で頑張らなければどうにもならない時があるが、自分一人で頑張ってもどうしようもない時がある。
人間は将棋の駒のようなもので、直進しようか斜めにかわそうか自分で決めているようで、その実は上から誰かが勝手に動かしているとしかいえない時がある。
逆らっても仕方がないものには逆らわず、連れて行かれたところで頑張るのも、次を切り開く良い一手だ、と。


長い人間生活を送るなか、この言葉をかみしめる経験は一再ならずしてきたが、日差しのきつい夏も水が凍結するほどの厳しい冬も一匹で頑張っていたメダカの最期が、いつも水面を上から覘いていた人間の手によるものだという事に、言い知れぬ侘しさを覚えて、沈んでいる。

今日は踏ん切りがつかなかったが、「よそうはうそよ」(2/18)によると明日も晴れだというので、お彼岸らしく西方を拝んでから、睡蓮鉢の底に残る泥を取り除いて睡蓮を植えなおそうと思っている。

時代に即した祈り

2015-03-19 19:45:37 | ひとりごと
<でっかくなっちゃった!!新潟で「58グラム」の巨大イチゴ収穫>
2015年3月18日 18時17分 東京バーゲンマニアより一部引用
いちごカンパニー(新潟県胎内市)は2015年3月18日、58グラムのイチゴを収穫したと発表しました。これはLEDを使った植物工場で世界最大となるイチゴです。
いちごカンパニーの植物工場で収穫されたイチゴは、大きさと甘さ、香りが両立。すでに「とろける香りいちご」の名前で販売されています。季節や天候に左右されず、化学農薬に頼らない栽培法だとか。


このニュースを見て、「ブラックボックス」(篠田節子)「黙示」(真山仁)「GMO」(服部真澄)を思い出したと書いたら、生産者から抗議を受けるのだろうか。

生産過程として一番近いのは、「ブラックボックス」
この本のテーマの一つに、「無農薬野菜を計画的安定的に生産できれば、農業で生計を立てられるか?」があり、計画的生産の手段として、野菜を土ではなく培養液で栽培し、太陽光ではなく人工光を照射する様子が描かれている。
この小説では、スーパーなどで売られるカット野菜を出荷する「工場」の衛生管理や、外国人労働者の問題も書かれていて、内容は盛りだくさんだが、一言でいえば、「食の安全」を人工的に管理することへの警告の書だと思う。

「食の安全」と「計画的安定的生産による農業従事者の生活の安定」

「ブラックボックス」が安全面での警告的要素を強く打ち出しているとすれば、「黙示」 は必要悪を一概に切り捨てただけでは解決しない現状問題を投げかけてくる。

それは「黙示」の中のこんな言葉にも現れている。
『物事を二極化して対立構造で考えるのは愚考だよ。そもそも反対や否定からは、何も生まれないだろう。』

農薬の空中散布中の事故で子供たちが被害に遭うが、その被害者のなかに農薬開発者(主人公)の子供がいたというシーンで小説が始まる。
農薬の必要性と弊害の狭間で悩む主人公と一緒に消費者である自分も悩むが、「黙示」 は「必要悪」は悪であっても必要(が少し勝る)というスタンス、だと思う。
それでも、この本の冒頭には印象的な言葉がある。
抗議しなければならない時に沈黙してしまえば、自らを臆病者にしてしまう罪を犯すことになる。

「ブラックボックス」と「黙示」のベクトルの向きは違うようだが、どちらの本からも、「食の安全」と「生産者の生活の安定」で揺れる葛藤と、危機に瀕した日本の農業をなんとかせねばという切実な思いも伝わり、考えさせられる。

同じく農薬と食品を扱いながらも、自分としては毛色が違って感じられたのが、農業がアグルビジネスと化した世界を書いた「GMO」(Genetically Modified Organismの略で、日本語では「遺伝子組み換え作物」)
「GMO」でも作者は、人工的に食を管理することに警鐘を鳴らしているのだが、それは必要悪と弊害との葛藤におけるバランス問題に対してではない。
アグリビジネスの世界では「農業」を、人が生きていくのに必要な食糧を操作することは「神の手」がなす業、すなわち究極の権力と捉えている節があり、その傲慢さに対して、警鐘を鳴らしているように感じられるのだ。
今でこそ五穀豊穣を祈る神事は、素直に素朴に民の幸せを願うものだと思うが、その昔、豊作の祈りを神に通じさせることが出来るというのは権力を司ることに繋がったに違いない。

世が移り変わっても、元旦明け方から宮中や日本中の神社で四方拝は変わらず行われ、そこでは国民のため五穀豊穣を祈って下さるのだと思うが、太陽や土を無用とする農業が試みられたり、遺伝子組み換えや農薬漬けの苗や種だと知ると、複雑な思いがする。

「黙示」と「GMO」には図らずも、それぞれ「共生」について語っている箇所がある。

「黙示」
『自分たちは「自然との共生」という言葉を余りにも気安く使いすぎている気がした。
 人間が社会生活を営む限り、常に自然は破壊され、生態系は壊されるのだ。
 地球上の自然サイクルを維持するための最良の選択は、人類がこの星から消える事なのだろう。』 

「GMO」
シンバイオシス(共生)
『接近し、相関関係を持つ生きものは、対立しているように見えるものでも、補完しあってもいると思う。』

皇太子様は「時代に即した公務」を掲げておられる。
もしかすると、それは公務だけにとどまらない課題かもしれない。

ただ、民の口を満足させるだけの収穫があがれば良いという時代では、もはやなくなった。

五穀豊穣を祈る祭祀を司る御立場につかれる皇太子様の祈りは、祈りの真髄を考えるにあたり、「人と環境との共生」「食を分かち合う地球市民としての共生」という現代一番の課題に直面する。

水を通じてさまざまな問題(労働、環境、災害、流通)を考えておられる皇太子様の「時代に即した祈り」が天に通ずる環境が整うように、
静かに静かに国民は見守るべきだと思っている。

龍に立ち向かうには

2015-03-18 14:22:09 | ニュース
<中国主導のアジアインフラ投資銀、英国がG7で初めて参加表明> ロンドン12日 ロイターより一部引用
英国が、中国の主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーへの参加を検討していることが分かった。オズボーン財務相が12日明らかにした。主要7カ国(G7)の中で初めての参加表明となる。


アメリカが関係各国に「AIIBへの参加に慎重であるべき」というメッセージを送っているのは度々ニュースにもなっていたが、イギリスが同盟国アメリカの意向に反してAIIBに参加すると聞いた時には、イギリスと中国の特殊な関係からすれば、仕方ないのかもしれないと思っていた。
しかし、まさかイギリスにつぎドイツ、フランスとイタリアが参加するとは思ってもいなかった。


<仏独伊3か国もアジア投資銀参加か…日米に打撃>  2015年03月17日 17時21分 読売新聞より一部引用
【ロンドン=柳沢亨之】英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は16日、複数の欧州当局者の話として、フランスとドイツ、イタリアの3か国が、中国主導で設立される「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」への参加方針を決めたと報じた。
事実とすれば、英国に続いて主要先進国が相次いで参加することになり、AIIBの拡大を警戒する日米には打撃だ。
AIIBは、アジアにおける鉄道や道路など社会基盤への投資促進を目的に、中国が年内の設立を目指す国際金融機関。融資基準や審査体制が不明確との指摘があるが、英国は12日、先進7か国(G7)で初めてAIIBへの参加方針を発表していた。日米には、アジア太平洋地域でアジア開発銀行(ADB)と融資先が重なるAIIBに対し、警戒感が強まっている。


先月来日されたウィリアム王子は、日本の後に中国を訪問し、「今年中の国家主席の招待」というエリザベス女王の親書を渡している。
中国側も心得たもので、ウィリアム王子が熱心に取り組んでいる「野生動物の保護」に応える政策を発表している。

イギリスと中国は香港をめぐって特殊な関係があるので、この二か国間に限っては他国とは異なる事情があるとは思っていたが、それに続いてドイツ・フランス・イタリアも、つまりG7の欧州国はみなAIIB参加を表明したのには驚いた。

考えてみれば、つい先日に来日したドイツのメルケル首相。
メルケル首相の来日は洞爺湖サミット以来7年ぶりのことだというが、この間に実に7回も中国を訪問していたという。

国際社会の中での日本のプレゼンスの低下が言われて久しいが、天下の回りモノに新たな経路ができれば、それは一層顕著になるのかもしれない。

日本国債の未達がニュースになり「神の見えざる手」(2月9日)を書いた時、雅子妃殿下はこの事態をどうご覧になっているのかと書いが、あれから、たった一月で更なる懸案事項が生じている。

英語のみならずドイツ語フランス語も習得された経済学士の雅子妃殿下は、この流れをどのように御覧になっておられるか。
雅子妃殿下は、「外交官を目指すならば先ず経済を学ぶように」と外交官の父に勧められたという。
以下、雅子妃の御経歴
1985/06 米 ハーバード大学経済学部卒業(専攻は数理経済学)
卒業論文『External Adjsutment to Inport Price Shocks : Oil in Japanese Trade』  
(『輸入価格ショックに対する外的調節:日本の貿易における石油』)         
成績優秀な学生に贈られる「Magne Cum Laude(優等賞)」受賞
1985年の卒業生は、大学全体で1681人。このとき『マグナ・クム・ラウデ』を受賞した学生は、全学年を合わせて55人、妃殿下のいた経済学部ではわずか3名だった。 

雅子妃殿下はハーバード大学で学ばれただけでなく、外交官時代にオックスフォード大学でも学ばれている。
ネット上でとかく色々いわれる修士論文未提出だが、意外な所で、これが書かれているのだ。
「龍の契り」(服部真澄)
先に、中国主導のAIIBにイギリスが参加を表明するのは歴史的経緯から仕方ないかもしれない、と書いた。
そのあたりを、香港返還をめぐる密約や秘密文書を経済問題と絡めてドキュメンタリーのようなタッチで描いたのが、この「龍の契り」だ。
イギリスと中国の特殊な関係と、香港という都市が世界経済のなかで如何に重要かが、よく分かる一冊だ。

この本の最後に、雅子妃殿下とおぼしき女性の消息が書かれている。

将来を嘱望された優秀な女性外交官(主人公の同期)は、日本で一番由緒ある家に嫁ぐため、職を辞したと。
オックスフォードで学んでいた彼女は、修士論文も仕上げていたが、その論文内容に問題ありとして本省から帰国命令が出されたのだと。
修士論文は「日本政府によるアメリカ製航空機の購入」だった。

修士論文を担当したルーカス・チュカリス教授は雅子妃殿下を、こう評する。
「マサコは賢いだけでなく、非常に性格が良く、彼女が私の教え子でなければ『尊敬』という言葉に値する人物だと思います。
 修論は、『日本政府によるアメリカ製航空機の購入』 本省から呼び戻されたため断念したのは、残念でした。」

雅子妃殿下が修論を提出されていようが、いまいが、オックスフード大学が自校で学んだ皇族として認めているのは現時点では
秩父宮殿下と皇太子ご夫妻だけである(オックスフォード大公式ホームページJAPANによる)。


G7の欧州国が中国の経済圏に軸足を置くというニュースがある一方で、こんなニュースもある。

<政府、国産ステルス戦闘機「F3」開発へ 戦後初、エンジン製造にめど> SankeiBiz 3月17日(火)8時15分配信より一部引用
政府は航空自衛隊の戦闘機「F2」の後継機となるステルス戦闘機「F3」(仮称)を開発する方針を固めた。米国との共同開発も視野に入れるものの、戦後70年の歴史で初めて世界有数の性能を持つ純国産戦闘機が誕生する可能性が出てきた。F3開発は数兆円規模を要する巨大事業となり、安全保障だけでなく経済、外交などさまざまな分野に影響が広がりそうだ。


おそらく、戦闘機の購入についての論文が発表されていたら、雅子「妃殿下」の誕生はなかったのだろう。
時折、雅子妃殿下個人としては、どちらの人生の方がお幸せであったか、と思う。

アメリカとイギリスで担当教官を唸らせるほど優秀だった雅子妃殿下が、もし外交の第一線におられたら、日本の外交はどうであったかと、思わずにはいられない。

男子を産めなかったという理由で、心を病むまで追い詰められ、心を病んでなお責め続けられる御姿を見ていると、雅子妃殿下ご自身の努力で培われた能力を活かす道を選ばれた方が、雅子妃殿下にとっても日本外交にとっても良かったのではないかと思えてならない。

先日来日したメルケル首相は物理学者でもあるという。
今日来日したオバマ大統領夫人ミッシェル氏も、ハーバード大学で学んだ弁護士であり、単に男性の隣で笑っているだけの存在ではない。
このような時代にあって、前時代の遺物に押しつぶされてしまっている雅子妃殿下の人生が痛ましく、国家的損失に思えてならない。

雅子妃殿下ご自身が「これで良かった」と思われるような世の中になることが、この国に希望をもたらす方向だと思っている。

ハート草の下の愛の路

2015-03-16 19:00:02 | ひとりごと
この時期は入念に庭の観察をしている。

もうそろそろか、いやもう少し待て。

庭の片隅に、毎年フキノトウが7つ8つ芽を出すところがある。
これを天ぷらにすると、しみじみと堪えられない味である。

もうそろそろ良いだろうと思っていると、ちょうど美味しそうなウドも手に入ったので、昨日は山菜天ぷらを食した。

フキノトウは独特の香りがあり、それが良いのだが、一人連想ゲームの末、あの苦味に人生のそこはかとない苦味を重ね、しみじみ食べるのを常としてきた。

フキノトウの響きは、なぜか「不帰」という字を連想させる。

万葉集山部赤人が詠む 「明日よりは 春菜採まむと 標めし野に  昨日も今日も 雪は降りつつ」 の春菜がフキノトウとは知っていて、
この響きは明るくで良いのだが、この歌が浮かぶと何故か大伯皇女
「うつそみの 人にある我れや 明日よりは 二上山を 弟背と我が見む」が浮かび、これまた物悲しくなってしまう。


もっとも物の哀れを感じさせるのは一時で、春を過ぎれば青々としたハート形の葉が茂り、これと茎を茹でて刻んだものを、味噌とあわせ炒めた蕗味噌もどきは、乙な味である。

そんなことを考えながら、フキノトウを検索していると、なんと、妖精コロボックルはフキの葉の下に住むという。

コロボックルといえば、コロボックルヒュッテ。
皇太子ご夫妻が車山に登られた時に、ご休憩されたことで一躍有名になった小さな山小屋だ。
何年か前に霧ヶ峰や車山を旅した時に、コーヒーを飲みに立ち寄ったことがある。
皇太子ご夫妻のお写真や、お二方が使われたコーヒーカップが飾ってあるのを、居合わせた客が皆嬉しそうに眺めていたのが印象的であった。

コロボックルの「コロ」がフキという意味だそうだで、愛らしい。

蕗の薹の「蕗」の字は、草かんむりに「路」と書くと気づけば、「道(路)」の専門家の皇太子様を連想させて、これまた嬉しい。


ここで一句
うつそみの 食い意地はる我れや 明日よりは ハートの路を 春宮と我が見む