Music For Torching/Billy Holiday
(Verve MV2595, jp.reissue)
ジャズ/ボーカルを語る上では,ビリー・ホリデイ,シナトラ,サッチモあたりはやっぱり一通り聴いていないと、このあたりに詳しい面々とは全く会話になりませんよね。今日は,久々にビリーを聴いたので彼女について少しばかり私見をと思います。ビリー命と思われてるコアなファンの方はこの先は読まないでください。あくまでも私見ですから・・・。聴くことは聴くのですがあの粘り気たっぷりにこねくり回す節回しは、諸手をあげてウェルカムではないのです。コルトレーンと同じで弱ないの自分には疲れを催し,長く聴いていられないのです。特に,最高と言われるコモドアやコロンビア、デッカ時代の録音の悪さは更にこの嫌悪感に拍車をかけてしまいます。
でもっていつもターンテーブルに載る盤はVERVE時代のビリーです。麻薬で声まで美しさを失ったと言う一般的に低評価のビリーのアルバム群です。でも録音だけは絶対勝っているのでその生々しいこねくり回す節回しを堪能出来るので、やっぱりVERVE時代のアルバムを聴くハメになるのです。コモドアもデッカもライブラリーにはあるのですが,食指は全く動かないのは自分だけではないのではと思っているのですが・・・。本日の"Music For Torching"もそんなVERVE中期,ビリー晩年の録音です。サイドメンが素晴らしくHarry Edison, Benny Carter, Jimmy Rowles, Barney Kessel, John Simmons, Larry Bunkerという名手揃いで彼らの伴奏が良い音できけるのもポイントが高いです。不思議とVERVEではこうしたコンボのバッキングが多いのも好みですね。A面の”It Had To Be You", "A Ghost Of A Chance", B面の”A Fine Romance", "I Get A Kick Out Of You"等選曲も見事で暗いビリーの声と絶妙のオブリガートのマッチングが物悲しさを倍増させますね。伴奏陣の好演,このメンバーなら納得です。
所有盤はポリードルが出した国内盤ですが,このあたりのVERVE盤では見られない色刷りバックカバー(上図)も珍しいのではと思います。勿論,表カバーは素晴らしいDSMのイラストです。