望郷 遠きにありて
山口県で勤務しているS氏が発起人となり A高等学校同窓会中国支部が開かれたのは昨年のことであるが 継続したいということでS氏と打ち合わせのために広島の夜に赴いた
広島市内の歓楽街の一角の薬研堀にある洋風居酒屋というのか秋田料理の「 Sugi家 」である
若い女性のお客さんも入っており少しばかりコジャレタ居酒屋の風情か
ここは昨夏に盟友H氏が広島に立ち寄ったときに酌み交わした店なのです
主人がA高等学校の同窓になるのだから云わば3人の同窓会になるのかしら
突出しは秋田の漬物“ 鉈(なた)漬け ”
大根を鉈でザックリと乱切りにして漬け込むことからそう呼ばれているのでしょう
鉈の場合刃の肉厚の分 切り口がささくれ立ち その分漬かり易くより内部まで味が浸み込む と言う先人の知恵なのでしょう 秋田の厳寒期のまぁ家庭料理か
ついで“ 小茄子の漬物 ” これは浅漬けが好物です
茄子は元々は“ なすび(奈須比) ”と呼び 室町時代の女官に“ おなす ”と呼ばれるようになり いつしか“ なす茄子 ”という呼名が一般的になったらしいのだが
“ 生実(なすみ) ” “ 夏味(なつみ) ”が転じたとする説もあるようで茄子と云えども奥深いのだ
いずれにしろ小茄子はひと口サイズで大きくはならない品種である
ついでハタハタの塩焼きです
秋田・山形沿岸で産卵のために押し寄せたものを漁獲するのだ 卵の“ ブリコ ”がぎっしりと入っているのが嬉しい
晩秋から初冬の雷が多く鳴る季節に海岸にやってくるのである
乱獲のせいもあり 近年その漁獲量は激減しているのです
禁漁の年を設けたり 採捕方法の制限などが各県で規制の制定が行われている
そして“ きりたんぽ鍋 ”である
本物の“ 比内鶏 ”の出汁が利いている鍋は久々なのです
ちょうどちょうどの酒量の勢いで 今春第2回目の同窓会支部の懇親会の日取りと会場を決めてしまいました
望郷 それは遠い 郷愁である
いつの時も 現実生活のなかで傷ついて 心が乾き 荒涼たる気分を覚える
その乾いた心を潤してくれるのが郷愁なのだ
Sugi家 鉈着け 小茄子
きりたんぽ鍋