白鑞金’s 湖庵 アルコール・薬物依存/慢性うつ病

二代目タマとともに琵琶湖畔で暮らす。 アルコール・薬物依存症者。慢性うつ病者。日記・コラム。

Blog21・二〇二三年「売れた本」のふたつの傾向

2023年12月24日 | 日記・エッセイ・コラム

土曜日の新聞をちらほら。忙しくて目を通す暇がなかった。「今年売れた本」。武田砂鉄が書いている。

 

第一位:「小学生がたった一日で19✖️19までかんぺきに暗算できる本」(小林拓也・ダイヤモンド社)

 

第十三位:「頭のいい人が話す前に考えていること」(安達裕哉・ダイヤモンド社)

 

第十四位:「人は話し方が9割」(永松茂久・すばる舎)

 

武田砂鉄が書いているように、第十四位:「人は話し方が9割」(永松茂久・すばる舎)は二〇一九年すでに出ていた。

 

思うのだが、あらかた予想できたことがそのまま数字で出たという印象が強い。もっとも、第一位:「小学生がたった一日で19×19までかんぺきに暗算できる本」(小林拓也・ダイヤモンド社)はここ二年ほどでたちまち熱狂的な学歴格差増大社会から子どもを何とかしておきたいという大人の強い意向がダイレクトに反映された結果といえるだろう。

 

ところで、覚えているだろうか。この手の出版物はこれまで日経新聞社が多くを引き受けてきた分野のものである。四十五歳以上の人々は知っているとおもうけれどもさすがの日経にしてもここまで露骨ではなかった。だからといってダイヤモンド社がいけないというわけでは全然ない。そういう話ではないのである。

 

京都にPHPという出版社がある。定期刊行物も出している。日経は主に「ビジネスマン向け」出版物が多数を占めるが、一方PHPはより身近な言葉遣いに気を配っている。「礼に始まり礼に終わる」を日常生活で実践するにあたりどのような方法がいいか、いちいち事例を上げて掲載したりしている。ビジネスというよりその休憩時間や近所付き合いに用いる話題や話題を出してくる際の導入方法が丁寧に解説されている。きわどい喩えを用いれば、日常生活で使えるビジネス作法とでもいえよう。だから一種の人心誘導術のようなところが見られる。どちらも保守性の高い出版社だが日経とPHPとではまた異なるシチュエーションが想定されている。

 

しかしだ、これまではそれらだけで十分間に合っていたと言わねばならない。「頭のいい人が話す前に考えていること」や「人は話し方が9割」に載っている内容なら日経新書が数冊あれば十分だった。特に「頭がいい人」でなくても社会で通用する処世術というのはさほど違わなかったし実をいえば今もほとんど違っていない。にもかかわらず日本社会は生き残るために他人と同じ本を読み、同じ言葉を同じように用い、同じ挨拶を同じように一日に何度も繰り返してなお心配でならない。何もかも同じなら自分も他人もまったく違わない。金太郎飴しか生産できないのなら数があればあるほどかえって邪魔になるという逆説が出てくる。それでも止められない。というのがわかっているのになぜか子どもにもせっつく。せっつき方がすでにDV。もはや病気である。

 

ところが面白いことにもう一方でこんな出版物もベストセラーに上がっている。

 

第三位:「変な家」(雨穴・飛鳥新社)

 

第四位:「変な絵」(雨穴・双葉社)

 

いわゆるミステリ。

 

「ミステリ作品としてはいささか丁寧すぎる内容だが、『間取り』や『絵』で読みやすさを保証していく」と武田砂鉄はいう。今年度の本屋大賞受賞作を上回る売れ行きを記録したことも人口にのぼった。単行本出版時に書店で平積みにされていて、ミステリといっても一気読み必至・徹夜必死の「大どんでん返し」があるかないかもわからないようなあっさりした装丁。だからだろうか、おそらく誰もラストだけ読んだりしないと書店側が判断したのだろう。ビニール包装されていない。そこで実は手にとってささっと目を通した。

 

面白かった。武田砂鉄の言葉はその通りだ。ミステリはそもそも難解である。ところが「『間取り』や『絵』で読みやすさを保証していく」。どこかで目にしたことはないだろうか。とりわけ日本の超有名大学の教壇に立って哲学/思想/政治/経済/文化人類学/言語学/社会学などを教えている人々にとって。いうまでもない、マルクス「資本論」で用いられ世界を仰天させた方法が取られている。


Blog21・日本音楽業界の深い霧

2023年12月24日 | 日記・エッセイ・コラム

昼間にupした「年末恒例そっくりロックソング当てクイズ11」。

 

知っている人は知っているに違いない。(3)映画「八甲田山のテーマ」作曲は芥川也寸志。一方(3’’’)はかなり古いアナログ盤から引いてきた。小学生の頃、子ども向けに広く世界の児童文学を知ってもらおうと世界中から集めた児童文学の吹き込みに音楽を付したレコードがたくさん制作された。芥川也寸志はその音楽担当者だった。

 

立場的にもシューベルトの有名な(3’’’)を知らないわけはない。その同一人物が日露戦争に関連する映画「八甲田山のテーマ」の作曲者でもあるという不可解。謎は今なお深い。


Blog21(番外編)・二代目タマ’s ライフ222

2023年12月24日 | 日記・エッセイ・コラム

二〇二三年十二月二十四日(日)。

 

早朝(午前五時)。ピュリナワン(子猫用)その他の混合適量。

 

朝食(午前八時)。ピュリナワン(子猫用)その他の混合適量。

 

昼食(午後一時)。ピュリナワン(子猫用)その他の混合適量。

 

夕食(午後六時)。ピュリナワン(子猫用)その他の混合適量。

 

どこにいるのか探すとダンボールの空箱の中で居眠っていた。サイズはぴったりというわけではなくまだ余裕がある。成猫になる頃にはちょうどいいくらいのスペースかもしれない。

 

一日四回の食事だが一度ずつすっかり平らげてしまうとも限らない。三分の一程度残すこともある。そのまま置いておくと深夜にはきれいに平らげている。行儀はわるいが食欲は旺盛。

 

黒猫繋がりの楽曲はノン・ジャンルな世界へ。ガイカ。カリブ・フューチャーな印象の今作。ロック色が新しく聞こえる楽曲もある。とはいえ商業ロックとは無縁な音作りが面白い。

後期高齢者が増えてきた日本のプログレ愛好家の年末を締めくくるこの一曲。その18。


Blog21・年末恒例そっくりロックソング当てクイズ11

2023年12月24日 | 日記・エッセイ・コラム

(1)ピンクレディー

(1’)DEEP PURPLE(3:20~、5:46~)

(1’’)帰ってきたウルトラマンのテーマ

(2)真田丸のテーマ

(2’)IRON MAIDEN(3:41~)

(3)八甲田山のテーマ

(3’)高英男&ダークダックス

(3’’)ショパン

(3’’’)シューベルト

(4)SKID ROW

(4’)MOTLEY CRUE

(5)SAMMY HAGAR

(5’)WHITESNAKE

(6)RAINBOW

(6’)ホルスト


Blog21・活字依存α

2023年12月24日 | 日記・エッセイ・コラム

いつ頃から始まったのかよくわからない。思い当たるのは断酒しないといけなくなった一九九〇年代後半。アルコール以外のものへ欲望の対象を置き換えなければならなくなった時期に大きな変動が起こったのではとおもわれる。その意味でいえばそれまで曲がりなりにも読書愛好家だったことが大いに助かったと言えそうだ。次にギターだが中学の頃からやっているのでさほど手間取ることはなかった。しかし読書にしても音楽にしても問題はそのための資金をどう確保するかである。この問題は今なお肩こりの種だ。

 

さらなる問題。

 

若年者のあいだでしばしば見かける。スマートフォンがいけないというわけではない。そうではなくて、スマートフォンで読書中に知らない漢字や外国語に出くわすたびに変換機能を用いるのはなぜだろうと考えてしまうことが多々ある。見ていると何度も用いる。繰り返し用いる。そのたびに読書が停滞する。それでは逆に読書意欲がそがれてしまい、結局読書自体が嫌になるのも速い。

 

嫌ならその日のうちに薬物へ舞い戻ってしまう乱用者は多い。この傾向は若年者に限らない。高齢者も同じだ。ところがこの点できわめて問題になるのは若年者の場合である。若年者には未来があるとかないとかいった話ではなくてほぼ同じ年齢層であるにもかかわらず漢字や外国語が苦にならない人々とそうでない、あるいはそもそもほとんど読めない人々とのあいだに、目を疑わんばかりの格差があることが問題だろうとおもわずにはいられないからである。

 

後者が問題になるのはなぜか。酒井隆史「通天閣」(青土社)の至るところで明確に書かれているように、政治的「クリアランス」の対象にされてしまうのが往々にして後者だからである。巨大イベントが打たれる際には当たり前といえば当たり前。しかしその実際の光景を知らない人々は数多い。「ごみ」を「浄化」する。政治的名目はそうだ。ところが「ごみ」の中に「人間ごみ」と目された人々が視野に入れられていることを知っている若年者がどれくらいいるかとなるとたいそう疑問である。リオ五輪、東京五輪、今度は「大阪万博」を目の前にして「浄化」され、どこへ「消去」されたかわからない行方不明者をどんどん出してきたし出してばかりの巨大イベント。マス-コミはそれを疑うどころか逆に率先してイベントの進行を推し進めているわけだが。

 

そして強制排除された後も生き残った場合、多くは群れをなして合法違法関係なく薬物市場へなだれ込む。悪循環は後を絶たないのだが行政にしてからがその種の暴力、人間「クリアランス」を振りかざしているわけで、行政自体がもはやどうにも打つ手を持ち得ていないのではと暗澹たる気がしてくる。

 

(1)かつてのヒップホップ。

(2)ユーモアセンスたっぷりだった頃のヒップホップ。

(3)空爆後のバルカンは今どうなっているか。