「新装『ミュージアムシアター』を楽しんだ!(中編)」のつづきなんですが、「中編」では「洛中洛外」の「洛」のことを書くうちに疲れてしまい、どこを境に「洛中」と「洛外」に分かれるのかということを書けずに終わってしまいました
「中編」を読む限りでは、平安京の「左京(洛陽)」の領域が「洛中」で、それ以外が「洛外」ととられかねません。まぁ、『左京(洛陽)』の領域のほとんどが『洛中』に該当するのですが、「右京(長安)」でも「洛中」の地区がありますし、、、っつうか、平安京の外だった地区にも「洛中」があります。洛中と洛外を分けているのは、「御土居(おどい)」と呼ばれる土塁でして、京都市のサイトを引用しますと、
御土居は天下統一を成し遂げた豊臣秀吉が,長い戦乱で荒れ果てた京都の都市改造の一環として外敵の来襲に備える防塁と,鴨川の氾濫から市街を守る堤防として,天正19年(1591)に多くの経費と労力を費やして築いた土塁です。
というもので、御土居に囲まれた内側が「洛中」で、その外側が「洛外」になります。
江戸時代以降、御土居は次第に破壊されたそうですが、遺構がいくつか残っていまして、私は一昨年4月の京都旅行(記事はこちら)の際、北野天満宮で現物を見ることができました。
上の写真を見る限り、「ただの庭石」にしか見えませんな
でもこの傍らには、しっかりとした説明板がありました。
左に載っている地図と平安京の条坊を比較すると、京の西側が狭くなっている一方、市域(っつうのか?)が随分と北に広がっていることが判ります。詳しくは、こちらの「御土居マップ」をご参照いただきたいと思いますが、「鴨川の氾濫から市街を守る」ことが目的だったことから、当然ながら鴨川沿い、河原町通より東側は「洛外」の扱いです。
ここでようやく「洛中洛外図屏風(舟木本)」に戻ります。
この屏風絵では、e國寶の説明を借りれば、
右端には豊臣氏の象徴ともいうべき方広寺大仏殿の偉容を大きく描き、左端には徳川氏の二条城を置いて対峙させ、その間に洛中、洛東の町並が広がる。
でして、右隻には前記の方広寺大仏殿の他、清水寺、鴨川左岸の芝居小屋など洛外が、そして左隻には二条城の他、御所、祇園祭、賑わう京の商店街(?)など洛中が、それぞれ賑やかかつ平和に描かれています。
「中編」に載せたフライヤー(裏面)に、
専門家も驚いた!肉眼では見えなかった京の文化と生活模様。
とありますが、まさしく、「洛中洛外図屏風(舟木本)」(リンク先では屏風絵を超拡大して見られますので、是非楽しんでください
)は美術品
であると同時に貴重な史料
だと痛感しました。
程度の差こそあれ、美術品は経年劣化を免れることはできません。現物に勝るものはないにしても、状態が良いうちに高精細でデジタル化しておくのは有意義なことだと思います。
「洛中洛外にぎわい探訪 舟木本屏風を歩く-京のごちそう-」は、「300インチの大画面、4Kの高精細画像」で観ても、くっきり鮮やかで、デジタル化技術の高さもさることながら、「洛中洛外図屏風(舟木本)」の保存状態の良さも際立ちます。
「前編」で、
これで料金がもう200円安ければ
言うことないのに
なんて書きましたが、振り返ってみれば、500円という金額は至極妥当なもの(逆に東博の総合文化展の観覧料600円
が安すぎるのかも…)に思えてきました。
先週半ば頃、「東京国立博物館ニュース」が届きました。この「東京国立博物館ニュース」は、東博に行けば無料でもらえますので、敢えて1,000円/年の手数料を払って郵送してもらう必要もないのですが、そこはまぁ、気分の問題で…
だったのですが、今回の「ニュース」にはとあるものが同封されていました。
この記事のネタになっているミュージアムシアターの2作品のフライヤーと、、、、これ
ありゃまぁ~
あと数日早く届いていれば500円浮いていたぁ~
まぁ、有効期間が2ヶ月弱ありますから、有効に使わせていただきますヨ