2008年8月、私はMISIAを追いかけて台湾遠征を決行しました(こちらの記事をご参照方)。
そして、THE TOUR OF MISIA DISCOTHEQUE ASIA 台湾公演の当日(2008年8月30日)、私はMRTと路線バス
を乗り継いで、台湾が誇る故宮博物院に行ってきました。
この故宮博物院に隣接して、っつうか、附属施設として「人の息吹を感じさせる宋代庭園の景観を再現」したという至然園があります。「至然園(しぜんえん)」でググると、私のブログが一番上に来るのはどうしたことでしょう
それはさておき、至然園の中に、こんなのがありました。
「『羲之書換籠鵝』の像」で、
東晋の書法大家である王羲之の逸話に基づいた塑像です。ガチョウが大好きだった王羲之は、道士が飼っていたガチョウを自分の書法と交換して手に入れたと言われており、文人の個性が充分に表れています。
とのこと。
「文人の個性が充分に表れている」かどうかは別にして、王羲之が「ガチョウが大好き」だというのは気にかかります。ペットとして好き
だったのか、はたまた、食材
として好きだったのか…
Wikipediaの記述にはこの逸話が書かれていまして、
彼は鵞鳥欲しさに張りきって道徳経一巻を書きあげ、それを持参して行って鵞鳥を貰い、ずっと可愛がったという。
だそうですから、ペットとして好きだったということのようです。
至然園には王羲之絡みの趣向がもう一つありました。
一見、ただの中国風の四阿(あずまや)ですが、ちょっとアップ
しますと、
故宮博物院のサイトの説明を引用しましょう。
東晋の永和九年(353年)、王羲之、謝安などの名士が酒を飲みながら詩を詠み、「蘭亭集序」を完成させました。「蘭亭」には円卓と腰掛け、中国式の朱雀銅灯があり、風雅な集いには最適です。
そう、あの「蘭亭序」の「蘭亭」です
ということで、この記事のタイトル、「永和九年…」になるわけでして、きょう、行ってきました、東京国立博物館(東博)で開催中の特別展「書聖 王羲之」
このブログで何度も書いていますように、私、書と茶がイマイチ
でございまして、観て楽しめるのかな?と不安
でした。
その不安が的中
展示されている作品がどうこういうよりもさきに、そもそも観客が作品に密集していて、作品が見えない
作品めがけてズラリと行列が並ぶのは仕方ないにしても、列の進みが極めて遅い 遅すぎる
最前列を歩きながら観る人は皆無で、みんな、作品の前に立ち止まって、ぢぃ~っと見つめています。
人混みの少ないところを観ようとしても、そんな場所は、肝心の王羲之の書(の模本や臨書、拓本)ではなく、その作品を所蔵したり鑑賞したセレブたちが書いた跋文なんですから…
もう、私は会場序盤でくじけそうでした。
一応、最後まで「歩き」ましたが、高揚感とか満足感
とかまったくありません
この展覧会、よほど空いているタイミングを見計らうか、ひたすら根気強く作品の前に立つことを待つしか楽しむ方法はなさそうです。
「『書聖 王羲之』を観に行ってみようかな…」と、ぼんやりとお考えのあなた
心してお出かけした方がよろしいですゾ
【追記】この記事のタイトル「いったい何度『永和九年…』」を観ただろうか」について舌足らずかもしれませんので、下世話ながら追記します。
こちらが王羲之筆の「蘭亭序」(北京・故宮博物院所蔵の模本:「書聖 王羲之」展には出品されていません)。
「書聖 王羲之」展では、この「蘭亭序」の模本・臨本・拓本が20点以上も展示されていて、「第二章 さまざまな蘭亭序」では、ひたすら「永和九年…」だったのでありますよ
眼を持った人が観ればワクワクドキドキ
なんでしょうけれど、門外漢の私には…
でありました。
(2013/02/10 09:25)
つづき:2013/02/10 東博館内では梅が満開