シリーズの途中ですが、割り込みトピックスをお伝えします。
東京国立博物館(東博)で開催中の特別展「書聖 王羲之」を観ようと平成館に入ると、大講堂前のラウンジで何かをやっていました。
どうやらパネル展示のようで、特別展「書聖 王羲之」を観たあと、覗いてみました。
すると、これが、山本作兵衛さんの炭鉱記録画の展示でした。レプリカとはいえ、精巧なもので、「原画です」と言われたらあっさりと信じてしまいそうなものが約30点
山本作兵衛さんの炭鉱記録画は、一昨年の記事「5月25日は『《記憶》の日』かもしれない」で書いたように、日本で初めて世界記憶遺産に登録された作品群です。
そのうち何点かは、教科書や事典、TV
などで見たことがありますが、生で拝見したことは一度もありませんし、レプリカにしても、これほど大量
に観るのは初めてで、かなり興味深く鑑賞できました(撮影
禁止
)。
そして、東博に所蔵・展示されている作品
たちとはまったく縁の無かったに違いない、地の底で働く人々の姿に衝撃を受けました
金または権力にものを言わせて最高の素材・技術・技能
が昇華した美術品や調度や衣類を誂えたり収集した人たちがいた一方で、地底の奥底で真っ黒になりながら命がけの仕事をしていた人たちがいたこと、現在だってそんな人たちがいることを忘れてはならないと思います。
ちなみに、右に載せた写真は、東京・丸ノ内に立つ日本工業倶楽部会館のてっぺんを飾る坑夫と工女の像(小倉右一郎・作)。この建物のオリジナルが建てられた大正年間を代表する二大工業、石炭と紡績を象徴しているのだとか…。
ところで、東博でこんなイベントが行われているなんて、行ってみるまで私は知りませんでした。
私が出かけた2月9日(土)の午後には大講堂でシンポジウムも開催されていた様子(受付ができていた)だったというのに、東博のHPを見ても載っていません
載っていません
ググると、毎日新聞の筑豊版に記事が載っていたようです
記事によれば、
田川市世界記憶遺産活用活性化推進委員会(会長=有馬学・福岡市博物館長)は、ユネスコの世界記憶遺産に国内で初めて登録された山本作兵衛の炭坑記録画展(レプリカ)とシンポジウムを2月に東京都台東区の東京国立博物館で開く。「作兵衛ブーム」を持続させようと、中央で作兵衛を広くPRし、田川への観光客誘致などを図るのが狙い。
シンポは9日午後1時半から。作兵衛の紹介ビデオの上映に続いて、日本ユネスコ国内委員会の青柳正規・記憶遺産選考委員長や有馬館長が、世界記憶遺産の意義などについて講演。同3時10分からは「世界記憶遺産の保存と活用」について、炭鉱労働史に詳しい田中直樹・日大名誉教授や安蘇龍生・田川市石炭・歴史博物館長ら4人の専門家が意見交換する。
会場ロビーでは、シンポに合わせて5~17日にレプリカ約30枚を展示。シンポやレプリカ鑑賞は無料だが、東京国立博物館の入館料(大人600円など)は必要。シンポの聴講希望者は23日までに市石炭・歴史博物館へ申し込む。
だとか。
同じくググってヒットした田川市石炭・歴史博物館のサイトでは、「転居先不明」だし…
それでもキャッシュページを見ると、フライヤーをダウンロードすることができました。
どうしてシンポジウムもレプリカ展も「有名」でないのでしょうかねぇ。私、東博に出かけるたび、フライヤー
はチェックしているはずなのに、このフライヤーにはまったく気づきませんでした
「主催者」には、田川市世界記憶遺産活用活性化推進委員会(長く、くどいお名前…)、田川市石炭・歴史博物館と共に東博だって名前を連ねているのに、この扱いはどうしたことでしょうか
ちなみにこちらのフライヤー
はすかさずgetしてきました。
「東京タワー開業55周年記念」と銘打って、東京タワー1階特設会場にて、3月16日~5月6日、山本作兵衛展が開催される由。
こちらは有料(一般が当日1,200円、前売1,000円)ですが、「秘蔵の原画五十九点」が展示されるようです。
くどくなりますが、今週いっぱい、日曜日(2月17日)までなら、東博・平成館1館でレプリカをご覧になれるはずですよ。
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