自室にて夫が朝から友人と電話。居間に聞こえるほど声が大きい。
友人は寝たきり状態らしい。奥様は私より若いらしい。
共に「妻が元気でよかったよ。」とのたまう。
「同い年の老夫婦の我々は、いつ妻が過労で倒れるかもしれないのよ。」
「あいつの奥さんは若いらしい。」と楽観する。
「年齢など、当てにならないわ。」とどつく。
この世代の男たちは、妻が病気になるとは思っていないらしい。
私が、ここまで生きてきたのは奇跡のようなもの。
満洲からの引揚の時、2歳だった私はドクターに「あと数日遅かったら死んでいた。」
と言われた子供だった。母と私は即入院。
そのころ、野山をかけまわり、傷だらけになっていた元気な少年は君だろう。
それから、父母を看取り、姉を看取り、ここまで生きてきたのに、
「またかよ!」
心がねじれる。
夫の状態は悪化が進んでいる。
このまま「甘ったれ老人」として生きてゆくつもりか。
一度だけ、叫んでみたかった。疲れた。