覚書として、ここに引用しておきます。
『おそらく、真の民族協和とは、異質の民族や文化が、混在しながら衝突や摩擦を引き起こし、そのぶつかり合いが発するスパークスを活力として新たな社会編成や文化を形成してゆくことによってもたらされるはずのものであろう。そうであるとするならば、それは、心に長城を築き、自らを他民族に文明と規律を与える者という高みにおいた日本人、多様性を無秩序と捉える日本人によって達成されるはずもなかったのである。
いや、日本人に限らない。侵略という事態のもとでは、いかに崇高で卓越した民族であれ、民族協和を実現することなどできはしない。また、それができる民族なら、そもそも他民族を侵略し、自らの夢を強制したりはしない、はずである。』
著者、山室信一氏の言葉は熱いです。
(中公新書1138 1993年 中央公論社刊)