生きる気配 髙田昭子
大きな水音をたてて
ざるを洗いながら
コトバもこぼしている
家人の声も聞こえない
窓辺のひかりのなか
引力の届きにくいものが漂っている
たとえば 老天使の抜け毛とか
花の綿毛とか
音とか声とかでもない
様々なざわめきのなかを
生かされているらしい
そのざわめきの一部は
私自身の想念でもあるらしい
日々を生きるとは
気配にすぎない
誰もが
日差しのなかで
月あかりの下で
逃げない影を引きずりながら
生きる気配 髙田昭子
大きな水音をたてて
ざるを洗いながら
コトバもこぼしている
家人の声も聞こえない
窓辺のひかりのなか
引力の届きにくいものが漂っている
たとえば 老天使の抜け毛とか
花の綿毛とか
音とか声とかでもない
様々なざわめきのなかを
生かされているらしい
そのざわめきの一部は
私自身の想念でもあるらしい
日々を生きるとは
気配にすぎない
誰もが
日差しのなかで
月あかりの下で
逃げない影を引きずりながら