ハーロー教授の動物実験。今でしたら、おそらく動物愛護団体が抗議するでしょう。
p.228の下から2行目途中から。
それに、実際、このように実験室で育てられちゃったサル君たちは、ただのサルの親たちに育てられた劣ったサルたちよりも、はるかに健康ですし、技術的なノウハウを教え込むのも、はるかにやりやすくなるんだけれども、終いには、ハーロー教授が「ビョーキ」と呼んだものになっちゃったんですね。その哀れなサル君たちは、座らされて動かず、見るのもボーと見るばかりで、中にはゾッとすることをするサルも出てくる始末。ゾッとするのは、このサル君たちは突っつかれれば、血が出るまで、自分を噛んだり、掻き毟ったり。このサル君たち、「相手」をしてもらった経験がないんですね。このサル君たちは、母親からも、友達からも、子どもからも相手をしてもらったことがありませんし、その上、敵さえ、相手をしてもらった経験がありませんからね。ごくごく少数のメスザルたちが子どもを儲けますが、その子どもの世話をしようとしたメスザルはたった一匹しかいませんでした。それでも、科学は素晴らしいものですね。「ビョーキ」のサル君たちを実験的に作り出すことに成功した現在、私どもが確信していることは、ひどく歪んだ母子関係が、人のビョーキの「原因足り得る」、という理論に、とうとう科学的な支持を得た、ということですね。
どうですか? この「ビョーキ」になったサル君たち。まるで今どきの小学生にソックリでしょ。今どきの小学生は、少なく見積もっても、その半分が「ビョーキ」だからです。「愛着障害」ですよ。ひどく歪んだ母子関係の子どもがあまりにも多いんですね。それはお母さんだけが悪いんじゃあない。1990年代以降の「失われた20年」の間に、いいえ、今もさらに、両親、特にお母さんの労働環境が、非常に「非人間的な環境」になっているからなんですね。自民党の政策的無策のなせる業ですね。それについては別稿を用意いたしますので、ここでは割愛。
まあ、本当に小学生の実にビックリするほどの数と質の子どもたちが、表情に乏しく、自信無げです(回避型の愛着障害、あるいは抑制型の愛着障害)。基本は大人しく、問題行動が「ビョーキ」になるまでありませんから、家庭でも、学校でもホッタラカシです。それに比べたら、落ち着かず、自分が怪我をしやすかったり、お友達にすぐに手や足が出る子どもたち(積極的な愛着障害、あるいは、非抑制型の愛着障害)は、表情に乏しく、問題行動のない子に比べれば、はるかに少ないのですが、大人がほっとかないので、「問題」になりやすい。心理面接に回ってくるケースも、こっちがはるかに多いんですね。でも、より重たいのは、私の経験上、大人しい愛着障害の子どもたちです。詳しくはまたあとでね。こうご期待!
エリクソンは、ブリリアント、皮肉(「科学は素晴らしいものですね」)が効いてます。ハーロー教授は、その研究意図とは裏腹に、「カタワ」のサルを実験的に作りだしてくれたおかげで、母子関係がひどく歪んだ場合、子どもが「ビョーキ」になることを証明して見せてくれたからですね。非常に現代的な実験をしてくれたハーロー教授に「乾杯 🍻 🍻 !?」
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