エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

乱痴気騒ぎで、一体感

2014-04-02 06:40:43 | エーリッヒ・フロムの真まこと(の行い)

 

 分かってくることと、分けることは、表裏一体なようですね。自分が母親とは別なんだと分かると、母親とだけではなくて、自然とも分かれ目を感じて、両者との結び目を探さなくてはならなくなります。

 

 

 

 

 

 相手にされない感じを避けようとする目的を果たす一つの方法は、乱痴気騒ぎです。乱痴気騒ぎは、自己誘発的な一種のトランス状態かもしれませんし、薬の助けを借りることもあります。原始人の儀式には、この種の解決法を鮮やかに絵に描いたものがたくさんあります。トランスした興奮状態では、外なる世界は消え去りますし、外なる世界から相手にされない感じもなくなります。こういった儀式があるのが普通である限りは、集団と融合することも経験することになりますから、それだけ効果的と言えます。この乱痴気騒ぎの状態と密に関係し、混ざっていることが多いのが、セックスです。セックスの興奮状態の絶頂は、うっとりしたトランス状態に似た状態をもたらしますし、あるいは、薬を使った効果に似た状態ももたらします。乱交する乱痴気騒ぎの儀式は、原始的な儀式にはよくあることです。こういった乱痴気騒ぎをした後は、人って、自分が相手にされないことを気にせずに、しばらくは過ごすことができるみたいです。徐々に相手にされない不安が嵩じてくれば、その時には、乱交と乱痴気騒ぎをまたやれば済みますしね。

 

 

 

 

 

 乱痴気騒ぎは、原始時代の専売特許ではありません。ヘビメタのコンサートやサッカーの試合の時の集団的な興奮状態もこれに近いといえるでしょうね。今の日本では、相手のされない不安と、将来に見通しを持てない閉塞感が瀰漫していますから、この種の興奮を求める人は少なくありませんでしょう?

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