エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

魂に根差す謙遜

2014-06-09 05:16:00 | エーリッヒ・フロムの真まこと(の行い)

 

 心理学も突き詰めれば、≪真の関係≫になる。心理学を専門に研究している人は、認めないかもしれませんが、臨床では、当然です。p30第三パラグラフ。

 

 

 

 

 

 ケア、「弱い立場の人を労わること」、レスポンシビリティ、「弱い立場の人の声にならない声にこたえ続けること」、リスペクト、「弱い立場の人を、子どもを、個として認めること」、そして、ノリッジ、「弱い立場の人を、子どもを、良く(善く)見て、忘れないこと」は、お互いに依存しあう関係です。この4つの態度は、大人の人に見出すことができる一連の態度です。すなわち、こういう態度を示すのは、自分自身のいろんな力を建設的に発達させた人であって、その人が望むことと言ったら、自分が働き甲斐を感じるものくらいで、自分がすべてを知り尽くしたり、すべてをコントロールしよう、などとはいたしません。こういう人は、純粋に与えること、だけが、もたらすことのできる魂の強さ、それに根っこのある謙遜を身に着けているものですね。

 

 

 

 

 魂(の強さ)に根差す謙遜。そう言って、まず思い出すのは、以前にも触れました、野村實先生と、マハトマ・まど・みちおさんです。それから、共働学舎を創設された宮嶋眞一郎先生。

 野村先生は、叙勲を内示されたときに、「勲章のような人間を上下に差別するものはいただけない」と言って、辞退されたことを、1986(昭和61)年に朝日福祉賞を受賞されたときに、朝日新聞で知りました。日ごろは、人の話にじっと耳を傾け(補聴器を耳に当てて)、静かにされている。しかし、必要な時には、物事を短い言葉でビシッと話される。

 マハトマ・まど・みちおさんは、国際アンデルセン賞という、児童文学のノーベルを日本人で初めて受賞しているのにもかかわらず、自分のことを「ちっぽけな存在として肝に銘じている」人です。

 宮嶋眞一郎先生は、目がご不自由にもかかわらず、障碍のある人との共同で、しかも平等な生活を50歳を過ぎてから始められました。宮嶋先生も、人の話にじっと耳を傾ける方ですが、同時に、非常に率直です。昔私がまだ学生の頃、父親が自死したときに、自宅に呼んでくださり、マタイによる福音書の第五章3節~10節を暗誦されてから、短く祈ってくださいました。

 どなたの魂に根差す謙遜にも、大いなる≪真の関係≫を感じないわけにはまいりません。どなたも≪真の関係≫に満ち溢れているからこそ、謙遜なのだと思わざるを得ません。

 


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