エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

テンプル・グランディンさんと宝物

2015-06-18 01:24:14 | エリクソンの発達臨床心理

 

 今日、久しぶりにテンプル・グランディンさんが話す姿をTEDで拝見しました。自分のことは棚に上げて、「ずいぶん年取ったなぁ」と感じました。テンプルさんが来日し、講演を聞いたのが、もう20年も前でしたからね。彼女の自伝その他の本もずいぶん読んだものです。カウボーイならぬ、カウガールの恰好は、変わってなかったですけどもね。

 彼女が出した最初の本 Emergence : Labeled Autistic  『自閉症呼ばわりされる子が生まれたよ』(学研から、カニングハム久子先生の翻訳が出ています)を、サンタモニカ、キャリフォルニア、に住んでたいとこを訪ねた時に買ったのが、1994年の夏。真っ赤な本でしたね。いま、Amazon.comで検索しても、この版は、手に入らないよみたい。

 このTEDでの、テンプルさんの話では、ヴィジュアル・シンキング、イメージで考える考え方、について語るところがありましたでしょ。「教会の尖塔」と言われたら、ふつうはあいまいなイメージしか浮かびませんが、私は、目白のカテドラルの尖塔をイメージしますが、テンプルさんは、眼にしたことのある教会の尖塔がいくつもいくつも、イメージされる、という話をしてましたでしょ。自閉症、と言ってもいろいろだから、十把一からげでは言えませんが、イメージで考えることが強いほど、話し言葉が出てきません。テンプルさんも、スピーチ・セラピーをずいぶん受けたみたい。話せないと、なんだか、学校教育では、なかなか評価されにくい。

 そこで、テンプルさんは、TEDのお話のタイトル「The world needs all kinds of minds」を求める訳ですね。The world needs all kinds of mindsとは、自閉症の人たちのように、視覚を始め、いろんな感覚が鋭く、その鋭い感覚を用いて、この世界を理解している、実に様々な人が、世間 the world には、現にいるんですから、その人たちの考え方を、価値あるものと認める関わりが必要だ、という至極全うな、非常に民主主義的な考え方ですね。その方が、この世の中 the world も豊かなはずだ、という確信でもありますね。

 ですから、子どもと関わる大人は、自分の考え方の枠組みを子どもに当てはめ、押し付けるのではなくて、子どもがどのように感じ、考えているのかを、宝物を探すように探りながら、その感じ考え方に、関わる大人の方が合わせていくことが必要です。そして、そのような関わり方が、子どもの感じ方、考え方と、その子どもそのものを価値ある存在、宝物と認めていく関わり方なんですね。

 

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