エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

朗読会が、セラピーにも、礼拝にもなる不思議

2016-05-03 03:29:12 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 
新しい葡萄酒を、古い革袋に入れるなかれ
  ルターは、選考帝に命を守られても、選考帝に媚を売るような真似はしませんでした。 Young Man Luther 『青年ルター』p197の第2パラグラフか...
 

 

 ギリシア悲劇の代表作「アイアース」のリメイク版が、2,500年後のアメリカで、戦争で傷ついた退役軍人が癒されるのに、とっても役立った、というのは、古典の普遍的な力と言うべきでしょう。

 ヴァン・デ・コーク教授のThe body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』の第20章 Finding your voice : communal rhyhtms and theater「自ふんの声を見つけてね:共通のリズムと劇場」p.334、第4パラグラフから。

 

 

 

 

 

 「戦争という名の劇場」の上演は、市役所に引き継がれ、議論形式になりました。私もマサチューセッツ州のケンブリッジ大学で、「アイアース」の朗読会に参加しました。それは、新聞社が過去3年間に戦闘に参加した退役軍人の自殺率が27%上昇したと、公表したすぐ後の事でしたね。訳40人の人は、ベトナム帰還兵、軍人の妻たち、イラクやアフガンの兵役から最近除隊になった男女ですが、マイクの後ろにズラッと並びました。その多くが、「アイアース」の戯曲のセリフを引用して、自分が何日も眠れない日を過ごしてきたこと、薬物依存症になったこと、家族から見放されたことを語りました。その雰囲気たるや、ビリビリと心に響く程電撃的でしたね。その朗読会が終わった後には、聴衆たちはロビーでごった返しまして、ある者は、お互いに抱き合ったり、泣いたりするすれば、また別の者たちは、深い議論をしました。

 

 

 

 

 

 「アイアース」の朗読会が、いかにカタルシスに満ちたものかが、分かりますでしょ。普段は語れない心の深みにある思い、悲しみが語られ、分かち合い、慰めあわれます。他方、深い議論が行われて、深い感情と結びついた話し合いが行われます。これは真の意味で、セラピーであると同時に礼拝です。

 

 

 

 

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