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今宵のエリクソンは、Young man Luther P.263,第2パラグラフからです。昨日と一昨日の間。
偉人の問いは,「赤ちゃんの頃の躾をするのに,赤ちゃんが無防備で,善悪に敏感なことに,どの範囲ならば,付け入らなくてはならないのか,それとも,『僕は,悪い子,いけない子』という痛切な感性を待たざるを得ないほどまで,つけ込む真似などしてはいけないのか,ということです。なぜならば,そのように,『僕は,悪い子,いけない子』と思うほど痛切なな感性は,結局のところ,正義の御旗の下で,コッソリ邪なことをしでかす結果になりかねないからです。もちろん,宗教家たちも,いくら戦っても,「僕は悪い子」という感性によって,自分が支配されていることを知っていますから,「僕は悪い子」という感性が,人間の「本質」に属すものであるだけじゃなくて,神様のご計画,いや,神様が人間に下さってプレゼントであるはずだ,と考える訳です。この仮説に対する答えは,子ども等をしつけるやり方が,根源的な不信感やら,恥やら,自分がいけないのか大人がいけないのか分からないことやら,「僕は悪い子」と思わせることやらに,付け込むやり方と,違ってくることになっただけじゃぁ,ありません。宗教は,別のやり方をしますでしょ。困ったことは,第1に,悪い良心のよって,抑え込まれなければ,本能的な衝動が暴走してしまうんじゃぁ,ないのか,という道徳的な恐れから生じます。第2は,人間の最良のものを,悪いものと見なして,お堅い習慣によって凝り固められてしまうことから生じます。人間の本性の力と悪魔に対する,昔ながら人間すべてが抱く恐怖心は,このような定式化が行われるとき,人の心にある様々な力と,子どもに,投影されてしまいます。そのいろんな心の力と子どもとに眠っているエネルギーが,潜在的に悪いものとみなされてしまうか,すべてが無垢なものと,ロマンチックに空想されてしまう,結果となります。
エリクソンは,人間の不平等の原型は,大人と子どもの不平等だといいます。
そりゃそうでしょ。
子育てやしつけの多くは,この,大人と子どもの不平等を利用します。つまり,子どもの弱みに付け込んで,子育てやしつけの多くがなされている,という訳です。
これではダメだ! というのです。
悪い良心が,「僕は悪い子」という痛切な感性あると,人間の心と子どもを委縮させてしまいます。それでは,人類にとって,大きな損失です。
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