2013-08-27 02:27:55 | エリクソンの発達臨床心理
精神分析(心理療法)は、クライアントに対して他者(権力)から支配されない自由の場を提供することで、クライアントが無意識から支配されない自由を手にすることを支援するのです。自由は、人間にとって根源的に必要不可欠な条件ですし、民主主義の根幹ですから、心理療法は民主主義の基盤を作っているということになります。日本では、まだまだ心理療法がマイナーなのは、日本の自由と民主主義がそれだけマイナーだからです。
心理療法は、実にクリアな意識を持つために、相当役立ちます。権力と無意識と言う、「人間らしい暮らし」を破壊する二大元凶から、自由でいられるために、役立つことは昨日記したとおりです。
フロムの真似ですが、「~からの自由」ではなくて、「~への自由」を考えたいと思います。
フロムは有名な書『自由からの逃走』で、「~からの自由」と「~への自由」について述べています。「~からの自由」は、エスケイプですから、どうしても消極的です。意識的に何かを作り上げる、という姿勢に弱さがあります。それに対して、「~への自由」は、積極的・意識的であるということができると思います。
また、「~からの自由」は、進むべきヴィジョンがないのに対して、「~への自由」は、自分たちが進むべきヴィジョンがあり、そのヴィジョンの実現のために、今ここで具体的な活動をするという、堅い目的意識があることも確かでしよう。
ですから、心理療法で養われた、無意識と権力からの自由を、新たなヴィジョンのもとで、「~への自由」へと進化させていただきたい、と願っています。
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