声の不思議声には不思議な力があります。声は、人を非難する場合もありますが、自分や他者の生きる場での哲学を替える力だってあります。その哲学は物語からできていることが多い。 p350の...
今回のお休みで、旅に出て、あるニュージーランドの人と、仲良くお話をする機会に恵まれました。
洗濯好きの私ですので、旅先 でも、「そうだ、洗濯しておこう」と、単なる思い付き。初めて入ったコインランドリー。勝手が分からずにいると、親切そうな黒人の若者が、機械の扱い方を教えてくれました。私が最初に使おうと思った機械は、コインが上手く入らず故障してましたから、隣の機械にコインを入れて、メデタシメデタシ。洗濯が始まりました。
すると、今度は、初老のご夫婦が洗濯物を袋に入れて、コインランドリーにやってきました。そのご夫婦は、私が使うのを止めた、故障中の機械に洗剤と洗い物を入れてしまいました。「人類皆兄弟」が信条の私です。「あっ、その機械は、故障してますよ、お金が入らないんですよ」と。すると、そのお父さんの方が、ニッコリ笑顔で、「ありがとう」。すると、その奥さんは、入れた洗濯物を別の機械に入れるだけじゃぁなくて、入れた粉洗剤も、寄せ集めて、別の機械に入れてました。やっぱり、女性の方が節約意識が強いのは、世界共通なのかもしれませんね。上の写真の奥に写っているのが、そのお父さんです。
大体、洗濯に30分かかるとかで、椅子は、さっきの黒人の若者らが占領してるので、入り口のコンクリートの上で、本でも読んで暇つぶしをしようと思っていたら、さっきのお父さんも、外に出てきて、向かいのコンクリートに腰かけた。そこで再び「人類皆兄弟」の精神がムズムズしてきて、「今年は雨が多いですね」と私がお父さんに声かけました。するとそのお父さん、待ってましたとばかりに、こちらのコンクリートのところに座席移動。隣にやってきました。お話を伺うと、「おいらは、ニュージーランドで牛をたくさん飼ってんだ」と言う話をし出した。「僕はニュージーランドに行ったことがないけれども、いいとこなんでしょうね」と返しました。でも、そのお父さんの英語が聞き取りにくいったら、お話にならないくらい。お隣のオーストラリアに、小形洋悦さんが留学していた時に、訪ねて行ったことがあって、その時も聞き取りにくいと思ったけれども、今回はその比じゃぁないみたい。コックニーが猛烈に強い。月曜のなマンデイが、マンダイになる以上。まぁ、私の英語も褒められたもんじゃぁ、ありませんから、「お互いさま」だったのが、真実に近いでしょうね。でも、そのお父さんも結構「人類皆兄弟」の精神の持ち主らしく、お互いに話が聴けない割には、相手のことを理解したいという気持ちが、優ってたんでしょうね。
「私は1週間旅に出てますけれども、お父さんは、何日間のヴァケーションなんですか?」と訊いてみました。すると、「26日だよ」と言います。「日本人は労働中毒ですから、1週間休む人さえ、そんなに多くないんですけど、フランス人は5週間まで連続して休めるように法律ができてますね」と私も答えました。それから、また、「お父さんはこのヴァケーションで、何を一番やりたいと思ってんですか?」と訊いてみた。するとその答えが、生かしてましたね。「特にないね」と言って、また、ニッコリ。このお父さんも、ビッグスマイルがお似合いの、陽気で楽しいおじさんです...。私は、良いこと教えてもらったと感じましたよね。やっぱり、海に入りたいだとか、名所旧跡巡りをしたいだとか、言うことじゃない点に、成熟した西欧社会の豊かさを感じましたね。
思いがけず、お話が弾んだところで、お父さんの連れ合いの女性が、「お父さん、洗濯ができたから…」と呼びに来た。乾燥機に掛けなくちゃぁね。乾燥は1時間かかるので、私はそこでいったんホテルに帰って、お父さんとは、お互いに「いい話ができまして、ありがとうございました」と握手をしてさよなら。
いい話を伺えて、ちょっぴり心豊かになった経験をシェアいたしましたよ。
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