すっかり死語になった、と感じていた「台風一過」の青空が戻ってきました。
昔むかし……といっても、いつなのか、明確にはいえませんが、まあ、なんとなく昔むかし……の台風は上陸したり、日本列島をかすめたりすれば、大荒れに荒れはするけれども、過ぎ去ってしまえば、あとにはスッキリとした秋晴れの空を残して行く……。
しかし、最近の台風には台風の矜持、というものがない。
ところにより状況は異なっているのかもしれませんが、上陸前はさほどでもなかったのに、上陸後に強い雨が降ったり、いつまでもぐずついた天気であったりします。
ところが、今回和歌山県田辺市に上陸したとみられる24号は久しぶりに昔ながらの台風らしい台風でした。記録的な暴風をともなって、全国五五地点で最大瞬間風速が観測史上最大を記録したというのに、上陸後は速度を速め、スカッとした青空を残してさっさと退散してくれました。
日課の慶林寺参拝や買い物に行くときに歩く道では、払暁まで吹き荒れた風で、おびただしい数の金木犀の落花がありました。
普段は画像上の日陰になっているところを、右から左へ歩いて行くので、ここに金木犀があるとは気がつきませんでした。
ただ、匂いは馥郁と漂っています。日陰になったところを左へ歩いて行くと、高さ2メートルほどの金木犀があるので、てっきり匂いを振り撒いているのはその樹で、それにしても小さな樹がそこまでやるか、となかば感心しながら、歩いていたものでした。
そうではなかったのだと気づいて眺めてみれば、高さ10メートルはありそうな高木です。
慶林寺に向かう小径にもまだ若い樹のようですが金木犀があって、まばらながらも絨毯が敷かれていました。
好天下の慶林寺。
雲一つない快晴 ― と、いいたいところですが、たまたま観音像の上空には雲がなかっただけで、二つ三つ小さな雲はあったのです。
参道のハナミズキ(花水木)の実が紅く色づいてきました。
台風がくる前、確かもっと葉っぱがあったように思いますが、強風でほとんど剥ぎとられてしまったみたいです。
柿の色づきも少し濃くなりました。
夕暮れにはこんな鱗雲が出ました。