とくに理由はないのですが、ここ数か月の薬師詣では東京二十三区の西部を巡ろうと思います。手始めに杉並区から渋谷区にかけて。
京王線の下高井戸駅で降りました。
駅を出て甲州街道を渡るとすぐ曹洞宗龍泉寺の山門が見えたので、参拝して行きます。
杉並区教育委員会の掲示によると、創建は慶長八年(1603年)、江戸麹町の地であった、と伝えられています。寛永年中(1624年-43年)に、四ツ谷南寺町(現・新宿区須賀町)に移転、さらに明治四十二年、同地の区画整理にともない、現在地へ移転しました。
墓所には残雪が多く見られましたが、南北の参拝路は雪が溶け、歴住の墓所はすぐ見つかったので、参拝できました。
龍泉寺から今日最初の目的地・永昌寺はすぐ。
杉並区教育委員会による境内の掲示によると、開創年代は不明ながら、「続御府内備考」と寺伝によると、寛永元年(1624年)、江戸四ツ谷塩町(現・新宿区愛住町)に建立された、とされています。
明治四十三年には現在の下高井戸二丁目にあった永泉寺を合併しました。永泉寺には玉石薬師と呼ばれる玉石があり、そのいわれは、この玉石が玉川上水永泉寺附近工事の際に、光沢ある玉石として掘り出され、その光沢の中に薬師像が浮き出たことによるといわれます。
昭和二十年五月の戦災で、玉石は本堂とともに焼かれて光沢を失ったものの、いまなお大切に安置されている、とのことです。
この永昌寺も曹洞宗のお寺ですが、墓所の残雪が多く、足を滑らせては元も子もないと考えて、歴住の墓所を訪ねるのは諦めました。
次に目指す永福寺への道すがら、本応寺があったので、お邪魔しました。浄土宗のお寺ですが、手に入れられる資料が何もないので、詳しいことはわかりません。
本應寺から八分で曹洞宗永福寺に着きました。
寺伝によれば、開創は大永二年(1522年)で、永福という地名も、永福町という京王井の頭線の駅名も、この寺名が元となっています。永福寺の名は永禄二年(1559年)に、北条氏康が作成した「小田原衆所領役帳」にも見えるので、開創は寺伝の伝えるころに近いものと思われます。
中興開基は幕府御馬預役加藤重勝という幕臣で、下高井戸村に拝領地を持ち、当寺を菩提寺としました。
例によって歴住の墓所に参拝。
永福寺から京王井の頭線のガード、井ノ頭通りの高架下をくぐり、神田川を渡って歩くこと十五分、真言宗室生寺派の龍光寺に着きました。
開創は承安二年(1172年)とされ、開山は寺伝によれば龍観和尚(明応2年1493年寂)と伝えられています。
龍光という寺号は、寺のすぐ下を流れる神田川の源・井の頭池にすんでいた巨大な竜が、川を下ってきて、この付近で雷鳴を轟かせ、光を放って昇天したことに由来する、と伝えられています。
本尊が薬師如来像であることを示す、本堂前の石塔です。
この如来像は立像で、平安時代末期(十二世紀前半)に造立されたものです。江戸時代には難病にご利益のある薬師如来として信仰篤く、護摩の煙が絶えなかった、といわれています。
龍光寺から明大前駅までは徒歩二十二分。ここから初台まで京王線に乗車します。
初台駅。
初台駅から八分で、この日最後の目的地・真言宗室生寺派荘厳寺に着きました。
「新編武蔵風土記稿」には「新義真言宗、江戸大塚護国寺末光明山真言院と号す。開山宥悦、天文二年(1533年)五月十五日寂。本尊薬師」と記されています。
本堂左後ろに薬師堂がありました。
本尊薬師如来と記された木札。
荘厳寺は薬師如来より不動明王で有名で、幡ヶ谷不動として知られています。
先の「新編武蔵風土記稿」には「木佛立像長三尺三寸、智證大師作。縁起に云、智證大師三井寺開基の時、自此不動を彫刻して彼等の本尊とせしか、天慶二年(939年)平貞盛、藤原秀郷等平将門追討の時、秀郷此不動に新誓をこめ、陣中まで守り行て渇仰怠り無く、果して勝利を得たりしかは、凱陣の後下野国小山の郷に安置せり其後遥星霜を経て、永禄年中武田信玄甲州七覚山邉に移して崇敬せしを、北条氏政奪取て、相州筑井縣地勝院に納む、然るに天正十八年(1590年)北条氏没落の後、東照宮代々の武将崇敬ありし像なる事を聞し召れて、多磨郡宅部郡三光院に移し給ひ、延享四年(1747年)九月霊夢の告ありて当寺に安置すと云ふ」と記されています。
→この日、歩いたところ(明大前から初台は電車利用)。
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