あっという間に終い薬師の日がやってきました。
脊柱管狭窄症は徐々に恢復に向かい、左脚の痛みも随分楽になって、近場なら出かけることができるようになりましたが、あくまでも電動付自転車があってのことです。
そこで今月の薬師詣では、先月行った馬橋の中根寺へまた、というのも芸がない(こういうときに用いる言葉か、と自省しつつ)と思ったので、松戸駅近くの吉祥寺、と考えました。
グーグルマップで検索してみると、自転車なら所要時間は約二十分。実際に走ったことは一度もありませんが、道はほぼ平坦です。行って行けないことはなさそうですが、実際に行くか、と思うとちょっと?。
電車で行くとすれば、当然駅まで行かなければなりませんが、脊柱管狭窄症が発症して治りかけて以来、新松戸駅まで歩いたことは一度もありません。駅までは自転車……とも考えましたが、駅前で駐輪スペースを捜すのも面倒。
で、行きも帰りもエッチラオッチラと歩くことにしました。ちょっと前よりは歩みが少し早くなり、途中で疲れを覚えることもなく、背中は曲がったままですが、腰が痛くなることもなく、なんとか駅に到着することができました。
電車に乗るのは三か月ぶりです。乗ってみると、相変わらずスットコドッコイが多い。いや、背中を曲げたまま、自由には歩けない自分のほうがスットコドッコイなのかもしれません。
すでに十時台でしたが、上り電車なので、それなりの乗客の多さでした。
松戸駅で降り、西口に出ました。お陰さまで今日も好天です。
ちょっと前、車で通りがかったので、なんだかよくわからなかった祠が松戸駅西口公園先にあったのが気に懸かっていました。お薬師さんにお参りする前に足を延ばしてみました。
近づいてみると、鎮座ましましていたのは、お不動さんでした。が、ざっと見渡したところ、なぜここにお不動さんが祀られているのか、由緒を示すようなものは見当たりませんでした。
すぐ近くを、降りたばかりの常磐線が走っています。
ちょっとだけ寄り道をしましたが、松戸駅から十分で吉祥寺に着きました。健常なら脚であれば何分で着けるのでしょうか。
寺号は吉祥寺ですが、山号は根本山。所在地も松戸市根本。地名と山号の由来は遠く弘法大師に所縁があります。
「千葉縣東葛飾郡誌」には、「當寺は大同二年(807年)僧空海當地に来錫して建立するところ、本尊薬師如来は弘法大師市刀三禮の一夜作」とありますが、実際には創建年代等は不詳とされているようです。
薬師詣でにきたのですが、礼に則ってまず本堂に参拝します。
本堂への参拝を終えて、薬師堂へ……。
小さな隙間からカメラのレンズだけ突っ込んで撮影に及びましたが、残念ながらお厨子の扉は閉ざされていました。左右に日光月光両菩薩と思われる小振りのお厨子があり、十二神将は直接見ることができます。
弘法大師作といわれる薬師如来三体のうち、もう一体は先月薬師詣でを済ませた馬橋の中根寺にあり、残りの一体はやや離れた印西市浦部の歓喜院に蔵められている、といわれています。
今日お参りした吉祥寺の薬師如来が木の根本を用いて彫られたので、地名が根本、寺の山号が根本山、先月の中根寺が木の真ん中を用いたので、地名が中根、寺号が中根寺なのに、もう一体がある歓喜院には、所在地にも寺の名にも木の上部を用いた、という証が何もないというのは一体なにゆえか、と思いますが、三体の薬師如来ということで思い当たるのは、龍の胴体が三つに分けられて落ちたところから薬師如来が祀られたという龍角寺、龍腹寺、龍尾寺の伝説です。これも三つということで、あまり余計なこと、野暮なことは考えずにお参りを済ませればいいことのようです。
帰りに通り抜けた公園では落葉盛んでした。
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