~ストーリーテリング「愛依の風」ainokaze~

絵本・素語り・わらべうた
ストーリーテラーやえはたのりこ(やえちゃん)の徒然便り

「もやい結び」に想う

2011年04月06日 | 日々徒然
命を捨ててまで、街の皆を津波から守ろうと、半鐘を鳴らし続けた消防士さんの話を知りました。

また、がれきの海岸で、震災翌日から毎日、救助に向かったまま行方不明になってしまった消防団だった息子を探し続けている父と母の姿を見ました。

ある避難者から「国道45号に車を止め、ロープを使って低地にいる人を助けていた」と息子さんの目撃情報を得、海岸から50メートルほどの現場付近に行くと、国道のガードレールに消防用ホースが固定され、約10メートル下の低地まで垂れているのを見つけました。
その、ホースの結び目は、10年前猟師になった息子へ一番先に教えた「もやい結び」でした。

「この結び目、息子に間違いない。」

「命捨ててまで、人を助けて・・・。亡くなっても偉かったと思う・・・」と父は泣いていました。

この「もやい結び」を見たからこそ、「見つかるまで、決して諦めない」という気持ちが起こるのだと言っていました。

懸命な息子さんの姿が、その手、その息、浮かび上がってくると思います。

写真で、消防ホースがしっかり「もやい結び」されているのを見ました。
逃げる途中ですれ違ったという、息子さんの乗っていたポンプ車は、ぐちゃっと大きくつぶれていました。
人命救助第一、ただその一心が私にも伝わってきます。

息子さんは、祭りの太鼓を地域の子どもたちに教えることもあり「ここに暮らす子は全員がずっと仲良くしてほしい。地域みんなで育てていかなきゃ」とよく語っていたといいます。

この、尊い命。
この気高い魂は、この地に残ります。
そして、つながって、広がっていきます。

こんなことが頭をよぎりました、
この、「もやい結び」、私も、父から教わりました。
造園屋は、やたらに、重いものをひっぱりあげることが多いです。
造園資材をトラックに積込む作業時、石を持ち上げる時、小さい頃から見ていて、くにゅっとした形が不思議でした。

ある時、「この結び方が一番いいんだ。覚えとけ。びしっと締まったらもうほどけない。でもいざ、ほどくとなるとすごく簡単だ」と、教えてもらったのです。

声まで浮かんできました。

この消防団の息子さんも、きっと、お父さんの声が聞こえていたんじゃないかと思うのです。



今日は、とても暖かで、被災地でも、入学式・始業式が行えたところもありました。
子どもたちは、将来の夢を力強く語っていました。
決して失わない、元気な心があります。

私たちにできることは、見守り。
子どもたちが安心して過ごせるように、明日が楽しく迎えられるように、
温かい眼差しを、地域のみんなで注いでいきたいですね。











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