2024年8月18日、ミカン畑の防風林の整枝をしようと出かけました。
道中、仕掛けてあるくくり罠を見ていくと、小さなシカがかかっていました。
私が免許を取って罠猟を始めた頃は、ニホンジカはかなり保護されていました。高知県の条例で、メスジカを獲ってはダメで、雄鹿も1日1頭までしか獲ってはいけなかったのです。それから数年後、方針の変転は早いものでした。メス鹿の捕獲禁止が取り払われました。1日、オス1頭までしか穫れなかったのがオスでもメスでも取り放題になりました。そして、何となんと、賞金がシカの耳にかかったのでした。
シカはお尋ね者の賞金首になったのです。
あまりの変わりようではありませんか。びっくり仰天とはこういうことをいいます。
以来、それまでは、見つけても撃たずに見逃していた猟師も、それこそ血眼になってドンパチ撃ち殺しだしました。
賞金をもらうために、捕まえて殺した証拠として、最初はシカの両耳を自治体に持っていくことになりました。
少しして、おかしな話が聞こえてきました。耳のないシカが高知県の山中を走り回りゆう。というのです。こういうことです。ニホンジカはジビエとしてそれほど重宝されていませんでした。イノシシなどと比べて格段に下のランクでした。鉄砲での巻狩りなどで、追い出したシカが現れても撃たずに見逃すのが普通でした。罠猟では獲物を選んで獲ることはできないので、私のまわりでも、シカを捕まえると、仕留めてから、背身(ロース)だけを現場で取り出して、あとは捨ててくるという人がけっこういました。つまり、ワナにかかってもロース以外の肉はいらないという人もいたわけです。ところが今度は、賞金首になり、金になる耳だけが必要だと、耳を切り取って放す人があらわれたのです。
耳を疑いましたが、本当のようでした。
狩猟免許は運転免許のように期限があり、延長するには県主催の講習を受けないといけません。その講習会場で講師から、耳なしシカが高知県の山中を走っている。県は耳を購入するため報奨金をだしているのではない。きちんと殺してから持ってくるように。と、文言は違いますが、こういう内容で話をしました。こちらは吹き出しそうになりましたが、こらえました。
現在では、殺した証拠物件は尻尾になっています。
自治体によって報奨金の金額は違いがあるようです。
つづく
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