細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

より良く生きること

2010-09-18 06:10:08 | 人生論

写真は,エチオピア最終日に訪れた,アディスアババ郊外にある湖のリゾート地です。

今回もいろいろと感じましたが,アフリカの大国であり少なくとも数年前には世界の最貧国であったエチオピアで,エチオピア人のマイケルさんと相当に会話し,アベベ教授とも多岐に渡る話をしました。また,エジプトでも先輩のハメドさん,後輩のエルカシフさんとよく話をしました。エチオピアとエジプトは全く国柄も人柄も違い,それもまたいろいろと感じさせる要因でした。

中国のアフリカへの進出ぶりのすさまじさを目の当たりにしました。最終日にアベベ教授とコーヒーを飲みながら話をしましたが,非常に中国のことを嫌がっていました。西洋的な考え方,システムが限界に来ていると感じていることも,アベベ教授と私とで共通でしたし,中国に世界がのっとられる恐怖感,嫌悪感も共通でした。

エジプトは大半がイスラム教,エチオピアではイスラムとキリストが半々。外国,特にアフリカや東南アジアの国々に来ると,宗教のことを意識せざるを得ません。意識するのは日本のことです。武士道や心学に支えられていた日本人の精神性は,まだかすかに息づいてはいるものの,もはや一般の国民からは消えうせました。

結局,「より良く生きること」ということを考えざるを得ません。

アベベ教授と私,マイケルさんと私は,これについて同じような考えを持っているように感じます。日本とエチオピアは国民性に何か共通することがあるように思います。JICAの小幡さんもそのようなことを言ってました。

日本人が本来の誇りと精神性を取り戻し,経済力や技術力が地に堕ちる前に新たな方向性に歩みだすことができれば,世界で毅然としたリーダーシップを取れるものと思います。また,それを期待している国々も少なくないと感じます。誰も中国にリーダーシップを取って欲しいと思っていません。

より良く生きること,とは貧富に関係なく清く美しく生きることであり,自らを律して鍛えて貢献することです。それらはすべて,過去の日本で実践されてきたことです。

西洋化の過程や戦後に失ったものは非常に大きいですが,どうやって大事なものを取り戻し,新たな方向に歩んでいけるでしょうか。それぞれがより良く生きること,が最も近道かと思います。

アディス・アババ大学

2010-09-17 12:17:43 | 教育のこと
昨日,エチオピア滞在の二日目の午前には,アディス・アババ大学を訪問しました。

マイケルさんの母校であり,エチオピアで最も伝統のある大学です。

土木工学科のコンクリート分野の教授が出迎えてくださり,情報交換をしました。このアベベ教授は工学部長にもなった実力者のようで,風格がありました。ACIのエチオピア支部の会長もしているようで,話も盛り上がりました。

写真は,私が日本のこと,横浜国大のこと,JSCEのことなどを少し話した後に,私の研究のことをプレゼンしている様子です。とても興味を持ってもらい,ぜひ学生を送り込みたい,とのことでした。

アディス・アババ大学からは,東大で博士号を取得した私の後輩に当たる研究者もいるし,今度の10月からは我が研究室にも博士課程でやってきます。今後も付き合いが深くなりそうな印象を受けました。

アベベ教授に実験室なども案内してもらいましたが,とても充実していました。彼自身,アメリカの大学の実験室を30以上訪れているらしいですが,もちろん非常に充実したところもあるけれど,自分のところの方が勝っているところも多々ある,と誇りを持って話しておられました。

また,実践教育を非常に重んじているようで,学部生の実験や実習はとても充実しているようです。どこの大学に留学に出しても適応できる,と自信を持っておられました。また,逆に欧米の大学は机上の学問だけで,教授ですら実践できてない,というような指摘もしていました。

日本は,学部生,修士もディープに研究に従事するので,欧米とは違いますよ,と申し上げておきました。

私自身の人柄も気に入ってもらえたようで,最終日の3日目の夕方にコーヒーでも飲みに来い,と誘われました。人とのコミュニケーションが大好きなので,JICAだとか,留学生教育の派遣大使だとか,そういう仕事は実に向いているようでございます。

今回の出張では,日本時間の体で生活しており,早く寝て夜中に起きてゴソゴソ作業しています。ACTの最終原稿(表面含浸材)の投稿期限がちょうどこの出張と重なっており,先ほどようやく完成し,投稿し終わりました。無事に掲載されますように・・・

アディス・アババ初日

2010-09-16 09:29:17 | 教育のこと
カイロからエチオピアに移動しました。

空路で3時間半くらいですが,エチオピアのアディス・アババ空港に到着したのは午前4時。なかなかハードな時間設定でした。

空港では私が指導するマイケルさんがバラの花束を持って出迎えてくれ,3日間確保してあるハイヤーでヒルトンホテルまで連れて行ってくれました。幸い,空港からホテルは非常に近く15分もかかってないように感じました。

午前4時過ぎにホテルに着き,翌朝9時に待ち合わせをしたのでおちおち熟睡もできませんでしたが,待ち合わせ時間には遅れませんでした。

とても寒い。エチオピア自体がかなり高地にあり,アディス・アババも2000m以上の標高。マイケルさんはダウンジャケットを着てますし,私も長袖の上にさらにジャケットが必要。しかも,どうも体の調子がよくないと思ったら,軽い高山病の症状のようです。ほぼ24時間が経過し,大分慣れてきたように思います。

このスケジュールを勘案して,午前は特に予定を入れてなかったので,市内中心の駅に行きました。アディス・アババ近郊は現在は鉄道が機能しておらず,イタリアの会社が入ってメンテナンス中だそうですが,鉄道会社の人にいろいろと説明をしてもらっている途中に,大雨。しかも大雨が大粒の氷に変わりました。東アフリカ(エチオピア,ウガンダ,ケニアなど)は一般のアフリカとは違うとは知ってましたが,かなり衝撃を受けました。

午後は,建設省の道路局を訪れ,橋梁のメインテナンスについてヒアリングを行いました。阪神高速からJICAに出向で来られている小幡さんに歓待していただき,エチオピアの道路事情について概説していただいた後,Bridge Managementの責任者と会い,そのシステムについて説明してもらいました。3000を超える道路橋のデータベースが一通り入力し終わったところのようで,もうすぐ始まる第二回目の大調査で,データベースの精度を上げていくようです。簡易でuser friendlyなシステムで,日本の市町村の構造物の維持管理にも適用できそうなシステムだと感じました。

今回の出張は,インフラ管理学コース(土木が主体ではない)の調査旅行で来させていただいてますが,今回で3回目です。過去,ベトナム(ソンさん),ウガンダ(ポールさん)と来て,今回です。この調査旅行は私は大好きで,やはり百聞は一見に如かず。全く違います。そして,指導学生とも十分に話せるし,お互いを理解できるし,信頼感も増します。母国での留学生はとても頼もしいです。

今日は2日目ですが,午前にアディス・アババ大学を訪問します。教員の一人が東大のコンクリート研で学位を取得した人で,この10月からは1名,横浜国大に留学します。我々の研究室にやってきます。

この仕事をしていると宿命なのでしょうか,いろいろとネットワークが広がっていきます。幸せな環境に置いていただいているので,十分に活用できるよう,自身を磨きたいと思います。

刺激

2010-09-14 20:49:48 | 人生論
今朝は,こちらの時間で3時前に起きて(目が覚めて),仕事。

カイロに到着してから2日間,夜ご飯を食べずに就寝するという生活を送っていたので,一日2食。そのせいか,非常に体が引き締まり,うれしいです。

今日3日目は,イスラムの建築を見学しました。ナイル川を渡って,オールドカイロ(旧市街)のイスラム地区を訪れます。

この見学にはいろいろ目的を持たせているのですが,イスラムの建築物群が世界遺産に登録されているようで,それらを見るだけでも十分に勉強になります。

カイロは非常に大きな街で,ツアーで無い観光の人が公共交通機関で移動するのは結構大変だと感じてます。

今日はあえて自分一人で行動することに決めてました。地下鉄の最寄り駅まで少なくとも2kmはあるようで,炎天下の夏のカイロで大丈夫か,かなり不安でしたが,実行することにしました。

ホテルを8:30に出て,いきなり自分がどこにいるのか分からなくなりました。地図も細かいものが無く,方角も太陽の方向と,昨日までの記憶を頼りに何となく歩いてみて,iPhoneのGoogleマップで現在位置を確認して,ようやく行くべき方向が分かりました。

地下鉄の駅まで40分くらいかかったでしょうか。それだけでうれしかったです。カイロの地下鉄に始めて乗り,アラブ人の中にただ一人東洋人で,じろじろ見られ,何とか目的の駅に到着。写真は,目的物の一つであったツインの塔のズウェーラ門の塔の上からのオールドカイロの眺め。圧巻でした。写真に見えている塔が相方の塔で,私はもう一方にいます。登るのは狭い急階段(らせん)で,登ったときには足がガクガク。落ちたら死ぬのは確実な展望箇所に無理な体勢で出たら関節も痛くなりピンチ。それでも,ここでしか見れないであろう,オールドカイロの眺めを満喫してから下りました。

その後も,イスラム地区の非常に見ごたえのある建築物を見て,カイロの象徴であるカイロタワーにも登って,ホテルに戻ったときには,推定で10数キロ歩きました。炎天下のカイロでかなり体力を消耗しました。

自分の知らない土地で,地図,iPhone,視覚,地下鉄など,使えるものを駆使して動き回ると,普段とちがう感性がビンビンに働き,体に緊張感が走ります。これが求めていたものです。おまけにカイロのいろんな情報が五感に染み込んできます。

旅行しているようですが,行程に余裕があるときは,やりたいことをやる。結局は自身が元気になって,それを周囲に伝達することが仕事であると思ってますので,使えることは何でも使います。今回もいろいろなことを感じ始めており,また文章にまとめます。

ホテルに戻って体調を整え,いよいよ本命のエチオピアに向かいます。




ハメドさん

2010-09-14 11:37:50 | 研究のこと
カイロ大学の土木工学科を訪れ,コンクリートの実験室も見学させてもらいました。技官が10人程度いるようで,非常にたくさんの試験体が作られ,載荷された残骸が残っていました。

コンクリート研究室だけで25人もスタッフがいるようで,なんと18人が教授!ちょっと想像が付きませんが,とても大きな組織のようでした。

ハメドさんは私より3年前に学位を取得し,年もちょうど3歳くらい上で,東大時代に長い時間を一緒に過ごしたのでとても仲がよいです。10年ぶりくらいに会いましたが,当時のままの雰囲気で仲良く過ごしました。後輩のエルカシフさんとは6ヶ月くらいしか一緒に過ごしませんでしたが,私を慕ってずっと同行してくれました。

留学生とは仲が良かったのは自認していますが,やはり人の付き合いといのは一生続くものなのですね。打算的に生きているつもりはありませんが,やはり誠実に,人を大事に,生きていくべきだなと思います。

私も高炉スラグの研究についてプレゼンをし,ハメドさんは構造物の崩壊のシミュレーションのプレゼンをしてくれました。東大の生産技術研究所の目黒教授のところで学位を取得した留学生が開発したプログラムが進化し,商品化され,30ヶ国くらいで使用され,開発者はコンサルティング会社を設立してアメリカで活躍しており,ハメドさんもそのソフトを使用してコンサルティング業務を請け負っているようです。

すごく高性能のソフトで驚きました。

これらも,東大土木が始めた留学生教育システムの賜物です。改めて,教育システムの効果の大きさに感銘を受けました。

カイロ大学から,横浜国立大学の留学生プログラムにも応募してもらえるようで,一応,営業に来た甲斐がありました。

カイロで数日過ごす行程としたために,次の本命の訪問地,エチオピアでの行程がとてもタイトになっています。

エチオピアには万全の体調で臨めるよう,カイロではリラックスした時間を過ごすよう,心がけています。


カイロ大学 工学部長

2010-09-14 11:23:28 | 職場のこと
昨日は,カイロでの滞在二日目で,カイロ大学を訪問しました。

私が東大のコンクリート研で勉強していたころの先輩研究者のハメドさん,後輩研究者のエルカシフさんに歓待していただき,まずは工学部長に表敬訪問。

初代学部長はスイスの方だそうでして,工学部の創設が1905年ですから随分前の話です。その後の工学部長はすべてエジプト人だそうです。

写真は,現工学部長で,土木のコンクリートの教授だそうです。

東大のコンクリート研で学位を取得したエジプト人はほとんど知っているので,それらの話で盛り上がりました。

ピラミッド

2010-09-14 11:13:12 | 趣味のこと
カイロに来ています。写真はギザのピラミッドです。

お馬さんに乗って遊んでいるように見えますが(実際そのとおりですが),来年度から「土木史と技術者倫理」という必修講義を担当しますので,エジプト文明のことも当然に教えます。

教師がピラミッドの前で撮った写真は,学生に興味を持たせるにはよいでしょう?

9/7-9に研究室夏合宿で関西に行きましたが,その最終日に京都で琵琶湖疏水にまつわる様々な箇所を半日かけて見学しました。もちろん,その内容も,上記の講義に反映します。

遊びながら感じて,仕事に生かす!

第二領域の仕事

2010-09-01 17:08:11 | 研究のこと
人間,心からやるべきであると思っていることをきちんとできているときは,気分も良く,充実感もあり,結果すべてがよく回るものです。忙しいかどうかは関係ありません。

今週は少しわがままをさせていただいてます。この場?を借りてお詫びもしながら,以下の記述。

今週は月曜日の3時台に起床。Journal of Advanced Concrete Technology(通称,ACT)の査読に対する修正を開始。修正期間が短いのですが,修正の準備はしていたものの,実際の修正作業は期限ギリギリになってからスタートしました。午前の予定をキャンセルし,修正作業を頑張って,羽田-->関西空港へ。そのフライトで金美齢さんとお話しました。

月曜の午後は,共同研究関連の打ち合わせ。夜も懇親会。最後は学生2人と大阪のヒルトンホテルの最上階のバーで語りました。

火曜の午前は,大阪から加古川市に移動して,共同研究の打ち合わせ。時間が無かったのでやや中途半端になりましたが,この共同研究の枠組み(3年目)も,なかなか面白く,私にとっても大事なものになりつつあります。

火曜の昼過ぎに加古川から関西空港へ移動。12:53に出発して15:00着。その間,電車でACTの修正作業。関西空港 --> 羽田空港。羽田空港で,9月中旬に渡航するエチオピアのビザ申請書類を投函。これもなかなか準備する時間が取れませんでした。一安心。そのまま,羽田空港-->新千歳空港。フライトの間はリラックスすることに努め,竜馬がゆくを読んでました。

新千歳 --> 札幌の電車の中ではACTの修正作業。ホテルには21:00に到着して,修正作業の仕上げ。22:00前に投稿完了。札幌駅近くの居酒屋で一人で夕食。

水曜日の朝は,北海道大学での土木学会へ。私が連名になっている合成短繊維の研究の発表を見ました。いろんな方にお会いするのは当然ですが,いろいろ話しました。

水曜の午後は,こもって作業。今度は他の研究者の論文の査読作業。それが終わったら,ソンさんと私と徳島大学の渡辺先生とで投稿するACTの新しい原稿のチェック作業。ソンさんから原稿をもらってから10日も経ってました。この作業も完了。

やはり,多少はわがままを言って,自分の大事な仕事をする時間を確保しないと,前に進んで行けません。

我々のような仕事は,組織の歯車の一部という見方もありますが,やはり個人で勝負ですし,個人が元気が無くなったり,堕落したりすると,その悪影響を受ける人が身近にかなりいます。

結局は,自分自身が元気で進化していかないと,周囲,社会に貢献することもできません。ときどきわがままを言って,自分のバランスを取るようにさせていただきます。

いつもわがままだって?



金美齢さん

2010-09-01 08:51:24 | 人生論
関西空港に向かう飛行機の中で,金美齢さんが私の隣に座られました。私は最初に気づいたのですが,わざわざ話しかけることもないかと思い,自分の仕事をしたり,居眠りしたりしていました。30分くらい経過して居眠りから目覚め,再び仕事をしていました。英文を読んでいました。

すると,金さんが私に話しかけてこられ,「何のお仕事をされているの?」という会話からスタート。あっという間に意気投合し,私もいろいろと金さんのことは存じ上げているので,共通の話題(政治家,本)も多く,結局着陸するまでずっとおしゃべりしていました。

金さんが主催されているパーティーに今度呼んでいただけるそうで,8/21にあったパーティーには,安部晋三元首相や,中田宏前横浜市長,高市早苗衆議院議員などもおられたようです。そういう方々と直接お話できる機会というのも楽しそうです。

研究能力に見切りを付けたら,政治家に転身?その方が向いてるかも。

何とかなる・・・

2010-09-01 08:45:35 | 研究のこと
過去に何度も修羅場を経験し,まあ現在普通に生活できているということは,無事に解決してきた,ということでしょうか。中にはそのときは解決しきれずに,時が解決してくれたようなものもありますが。いずれにせよ,何とかならないものはない,ということかと。

それらの修羅場に比べると,今回の8月下旬はまあ大したことはなかったのですが,取り組む側の気力,体力が低かったので,それなりに苦労はしました。

で,結局は何とかなるものなのですね。絶対に締切りに遅れてはならないもの(その「絶対」も法律でもないし,破ったところで自分が困るだけで,人様に迷惑がかかるわけでもない。)には間に合わせました。少しくらい遅れても許されそうなものは,無理せずに少し遅れて出すことにしました。で,結局,何とかなるのです。

まだ後手後手の状態ではありますが,気分にゆとりがでてきました。竜馬がゆく,もついに8巻の最終巻に入りました。いよいよ大政奉還が実行に移されようとしています。

今日から土木学会ですが,論文の添削やら,いろいろと自分の仕事もこなしながら,夜は人とのコミュニケーションも楽しみながら,過ごしたいと思います。明日の夜,東京に帰ります。