予想していたことではありましたが、10月に入って生活が激変し、疲労困憊に近い状態で10月末にたどり着きました。
秋学期は講義の負担が大きいのですが、この期に及んで、まだ一つの講義を開始できていません。博士後期課程用の英語での講義を、来週の月曜日に立ち上げて、これでようやく全部の講義が回り始めます。立ち上げに遅れた英語での講義は、5~6名の少人数でディープにコンクリート構造に関する教科書を読みこんでいくものになります。私も一緒に勉強です。
ここまで一か月、やり切れなかった仕事も一つ、二つ、ありますが、それらは人様に迷惑のかかる仕事ではありませんので、許容範囲内でしょうか。
先週の金~日曜日の南三陸の出張も極めて素晴らしい内容で、私も大いに勉強させていただきましたし、いくつかの重要な案件が着実に前進しました。私が行政の品質確保の仕事に関わり始めて7年目になりますが、相当にすそ野も拡がり、必要なエネルギーも増してはいるものの、楽しくやりがいのある状況になってきました。
26日の月曜日には、近畿地方整備局にも営業に行ってきましたが、その会合の地整のリーダーはとても興味を示していただき、会合のメンバーには積極的に連携を考えるように、激励が飛んでいました。近畿の施工者さんや、近畿もテリトリーにもつ別の鉄道事業者もつながっていますので、何らかの展開があることは間違いなさそうです。少しびっくりしましたが、行政の大阪府も、目視評価法等に興味を持っている、という情報も得ました。いよいよもって、全国的な展開になってきているのを感じます。
久しく休みを取れていません。
家族にも迷惑がかかっていますが、最近、少し気にかかっていたのが、次女に絵本の読み聞かせなどをしてあげられていないことでした。
長女はもう塾通いですし、私が本を読み聞かせる年頃ではありません。でも、6歳の次女には、私が長女に対してしてきたような国語の教育をしてあげたいな、と思っていました。
とりあえず、今朝、アクションを起こしました。
私が担当できる日はすべて、次女と一緒に通学しています。20分弱の時間ですが、とても貴重な時間です。
百人一首を覚えることを今朝、始めました。以前にも、フランスに住んでいたころも、次女の通学時間にいくつか覚えたことはあります。今朝から、100個覚えることにしました。
初日の今日は、天智天皇と持統天皇。
これらの天皇も歌っておられた歌を現代でも口ずさむことのできることのすごさを次女にも伝えました。次女も、そのすごさに次女なりに納得しており、すぐに覚えていました。やっぱり、美しい日本語にどっぷりと浸かってほしい、と思います。天智天皇の歌は、私なりの解説をしておきました。
長女のときは、小学校1年生に「声に出して読む論語」を読破。2年生時には百人一首を一緒に覚えました。
次女は、百人一首から始め、2年生時には何か別のチャレンジをしたいと思います。
一生に一度。おそらく、自分の子どもと楽しく百人一首を覚える、という経験も、私の人生で最後のものになると思います。次女との毎朝の通学時間が、これまで以上に大事な、楽しい時間になると思います。
頭脳が疲弊する繁忙期に入りました。ここのところ毎日、もうこれ以上、頭が働かないという状況にまで陥って、眠りに付きます。
23日(金)から、2泊3日で南三陸へ出張です。私の研究室からも私以外に4名が同行します。品質確保の手引きの打ち合わせもあるので、2泊するのは私だけですが、私以外のメンバーも一所懸命準備を進めています。
私たちの研究室の研究の成果や、分析の結果が、実務に役立ちます。私には作業時間が十分に取れないので、スタッフや学生が私と打ち合わせを重ねながら、南三陸での議論に使う資料を頑張って作成しています。
手引きの打ち合わせ以外にも、実物のトンネルでの応力やひずみ等の計測結果の打ち合わせもあり、私の研究室で行っている数値シミュレーションの貴重な検証のデータになります。
産官学の協働も、いよいよ相当に本格的なステージに入ってきたことを実感します。
これまでの出張はすべて充実していましたし、それぞれ事前の準備にも、その最中も全力を尽くしてきたと思います。
それでも、今回の出張はとても重要なものになると私は思っています。私がそう思っていることが伝わるからこそ、研究室のメンバーも必死に頑張っているのだと思います。
これからも物語は続くと思いますが、日々の積重ねしかありません。
「そして、技術者はなくてはならない存在であると改めて感じました。」
横浜国大の教育学部の1年生の女子学生の、昨日の私の土木史の講義のレポートの最後に書いてあった文章です。
昨日は3回目の授業でした。相変わらず300人超えと思われますが、座席に座れない学生も少なくない状況での授業です。昨日のテーマは「橋梁の発達」。
例年、次回4回目の「都市の巨大化と環境問題」で、学生がぐっと引き寄せられるのですが、今年はさらに全力で講義を行っており、今回からレポートの質が相当に上がっています。何百枚のレポートに目を通して採点するのにはかなりの時間がかかりますが、本当に読んでいて楽しいです。
例年は、「橋」の語源についての話から始めます。さらに今年のこの講義の冒頭には、皇后美智子さまの「橋をかける」の中のお言葉も学生に見せました。私もこの講義は、教師としてまさに全力で臨んでいます。私が実際に訪れた国内外の橋や、私の実体験に基づいた話をたくさんするので、学生にとって大きな刺激になるようです。やはり、「現場」のもつ魅力、威力は偉大です。毎回、教えたいと準備した内容を使い切れずに終わってしまいます。話の派生や脱線が多いからなのですが、それでも学生たちに伝えたくて仕方ないことを伝えています。
昨年から、フランスのミヨー橋の写真や、本も見せるようにしていますが、この橋の魅力に取りつかれる学生は少なくありません。
私がこの講義に対して行っている工夫は無数にありますが、その一つに、学生を思考停止から解き放ち、いろいろと考え出す、考えたくなるキーワードを提示し、私の講義全体を通じて当事者意識をもって考え続けてもらう、という工夫があります。
多くのキーワードをすでに提示していますが、今日の講義については、「技術の伝承」「文明の持続可能性」「つなげる」などが学生たちの思考を刺激していたようです。「思考停止」も「当事者意識」も「東京一極集中」なども初回に提示したキーワードです。どんどんキーワードは増えていきますが、解き放たれた学生たちはどんどんと思考を深めていくことになります。
学生のレポートには各自のタイトルを付けさせていますが、「教師力」というタイトルのレポートもありました。教師の役割、影響が極めて大きいことを、学生たちも感じ取ってくれていますし、私も改めて感じています。
現代の若者たちに責任があるのではなく、現代社会を作り上げた大人に責任があります。若者たちは、本物を見せれば響きます。意識が変わり、実践に移す人も出てきます。今こそ、変わるべきときと思います。
10月23~25日、来週の金曜日から2泊で南三陸に出張です。私にしては、久しぶりの復興道路の現場出張になります。仙台での打ち合わせは何度か挟んでいますが、復興道路の現場は2ヵ月ぶりかな。
南三陸国道事務所の佐藤所長をはじめ、ゼネコンの皆様など各方面と調整しながら、私の週末出張のスケジュールを作り上げています。
23日(金)は、現場を活用した共同研究の打ち合わせで予定が固まりました。実構造物(トンネル)に計器等を仕込んでの計測を行っており、結果が出てきているので、その打ち合わせになります。私の研究室からも、私を含めて5名が参加します。メンバーにとっても大変に勉強になるでしょうし、とても楽しみ。
24日(土)は、橋梁の上部工の現場を複数、私の指導する博士課程のママさん留学生とともに視察します。彼女は修士の間はバングラデシュの高層建築の地震時破壊シミュレーションが研究テーマでしたが、再来日して博士課程では橋梁の高耐久化を研究テーマにしようかと話し合っています。現場でプロジェクトを見ながら議論することほど、研究の必要性や背景の理解に役立つものはありません。
24日(土)の午後はトンネルの現場で全く新しいプロジェクトを立ち上げるためのミーティングを産官学で行います。そして遅めの午後からは、トンネル覆工コンクリートの品質確保のための手引きを作成するミーティングです。この一日だけでも極めて充実した内容です。
25日(日)の午前は、一般構造物の品質確保・耐久性確保の手引きのブラッシュアップの議論。
2泊3日の現場出張で、これほど私のスケジュールに合わせて濃密な行程を組んでいただけるのも、本当にありがたいことです。
もちろん、そろそろ行かなくては、というタイミングだったので、週末に東北出張に行くことを自分で思い立ちましたが、それに合わせて国交省や現場の皆様がスケジュールを合わせていただき、クリエイティブなスケジュールが出来上がっていきます。
その数日が有意義なものになるよう、我々も様々な努力をしていますし、根回しもしています。
多くの関係者がそのような段取り、努力をされた結果、皆が集う時間が有意義になっていきます。
復興道路のプロジェクトに関わらせていただいているのは、本当に運がいいと思いますし、23~25日の出張で学ばせていただけるだけでも運がいいと思います。
私たちのチームにも、まだまだ23~25の出張のクオリティを上げるためにできることはたくさんありますので、出張までに研究を進め、成果を持参したいと思います。
以前にも聞いたことがありますが、最近もWebの記事で見たのですが、松下幸之助さんが採用面接の最後に「あなたは自分を運がいいと思うか?」と質問して、「いいえ」と答えた人はどんなに優秀であろうと、それまでの面接結果がどんなに良かろうと不採用にした、とのことでした。その理由はその記事に詳しく書いてありましたので、ご興味があれば読んでみてください。納得したり、思い当たることが多々ありました。
今月の16日(金)に、鞆(とも)中学校で防災授業をするチャンスをいただきました。中学校は以前から避難訓練が予定されていたそうで、私が防災授業の講師で来ることも織り込み済みだったそうです。10月の第一週の時点で、私は全く聞いてませんでした。びっくりしました。
でも、奇跡的に予定が空いていました。福山市の鞆の浦に往復して仕事をするためには終日空いている必要があります。その日は何と、空いていました。
もちろん、行くことにしました。行くとなれば、16日のチャンスを最大限に活かすように考えるのは当然です。16日に私が行く、と決まってからは、それこそありとあらゆる手を打って、その日の防災授業を充実させるよう、また今後につながる大事な一日になるよう、ベストを尽くしています。防災に関する研究をテーマにしている学部4年生の上山君は、本日、鞆に日帰り出張で行ってきました。もちろん、私とのミーティングを重ねて、まだまだよちよち歩きながらも、出来うることをやってもらっています。
この防災授業とは別に、鞆中学校の国語の教諭と、12月ごろを目標に、防災、防災まちづくり、防災くにづくりを含んだ授業を、国語の教科の中で実施するチャレンジを始めています。これはとてもチャレンジングな取組みで、私も全力で国語の先生をバックアップしたいと思っています。
16日の防災授業は、当然に12月の新たな国語授業への布石も打つことになります。
また、急遽、この間の三連休で実施したアンケートで、鞆中学校の生徒たちのご家庭の家具固定率を調査しましたが、非常に固定率が低いという速報が得られました。著しく低いので、原因があるかと思いますが、その分析をすることもさることながら、いくらでも固定率を上げていくチャンスである、と私は捉えました。
12月の国語の授業では、私の戦略では、土砂災害を主テーマにするのがよいと思っています。
というわけで、16日(金)の防災授業は限られた時間で私が一人で行いますが、家具固定と土砂災害の二つのテーマで、今後につながる大事な種まきをするとても大事な時間になりそうです。
タナボタ、的にいただいた大チャンスですが、これこそ、「運がいい」と思う脳天気でしょうか。前述の松下さんの記事を読めば、何事もチャンスであると捉えようとするポジティブ脳が、大事なようです。
今日が二回目の、「土木史と技術者倫理」の講義でした。
20歳前後の若者300人以上を、大の大人、おっさん一人で相手にすることがどれだけ大変なことか、想像が付くでしょうか?
普通の大人であれば、すぐに「萎えて」しまいそうな前提条件をいくつかご披露いたしましょう。
・今の大学生の大半は、「一般教養」の科目に何ら期待などしていないし、いかに楽に単位を取るかを考える学生ばかり。「楽単」などという彼らの言葉があるくらいです。当然、私の講義に群がってきている学生の多くは、この類です。
・そもそも、教員を尊敬する、というような思考回路ゼロ。何だか熱い変な坊主頭のおっさんが講義をしているな、くらいでしょうね。
・300人以上を相手に、どうやって実質的な講義をしますか?毎回テストしますか?期末テストだけですか?期末テストだけ、になったとたんに、現代の大学生、講義で爆睡です。でも、その他大勢など、私にとってはどうでもよい。まず最も大切なのは、私の講義を必修で履修する、土木系の学生たちです。数は少ないですが、彼らは私にとって大切な大切な学生たちです。そして、彼らに私が届けたい内容に付いてきたい方々は、どんな学科であろうと、どんな学部であろうと、同程度のレベルの内容を提供するつもりです。付いてきてくれるのであれば、大切にします。
さて、このような前提条件で講義の場を支配するエネルギーは膨大なものとなります。現在の私は42歳ですが、10年後に同じエネルギーを保持できるかは自信がありません。10年後には別の役割を担っているのかもしれませんが、今はそのエネルギーがあるので、彼らと真剣に対峙しようと思います。
一つ、今日の私に印象的だった出来事がありました。(もちろん、この講義中にも無数に感じたことはありますが、このエントリーに記すべき出来事として選びました)
ある学生が、今日の講義開始直前に私のところに来ました。「前回、出席できなかったのですが、今日からとってもいいですか?」
私は答えました。「取ってもいいけど、条件がある。教科書を買ってもらうことを義務付けている。普通の一般教養の科目は抽選で受講者を選んでいるようであるが、それをしたくない。必修でこの科目を受講する私の教え子たちがいるからである。立ち見もでるような状況であり、本当にやる気のある学生にのみ受講してほしいので、教科書を本当に買って真剣に臨むなら、受講してよい。それでもいいか?」
明らかにその男子学生の顔が「ムッと」しました。
講義が始まりました。その学生は、私が前回、もっと混乱した状況でどのようにこの講義の意義を語り、やる気の無い学生を追い出したかを知りません。
講義中、すべての学生の顔を見ることなどできませんが、私と視線の合う学生の数は少なくありません。
そのムッとした学生は明らかに顔つきが変わっていました。真剣に私の講義を聴いていました。私が真剣に学生たちに対峙する姿勢を目の当たりにしたからであろうし、彼が授業前に質問に来た時の私の言葉の真意も理解したからでしょう。
今日も、すべての学生のレポートを回収し、早速今夜、寝る前から見始めます。
今日の講義中にも、おそらく今日、初めて講義に出席した学生だと思いますが、退室していった学生も複数いました。私も真剣に講義をするので、私と合わない学生は早めに離縁した方がお互いのためです。ぜひぜひ、今後、良い師匠や先輩と出会われることをお祈りします。
ようやく大講義室に全員着席できるぐらいの学生数に落ち着きそうですので、やる気の無い学生を「追い出す」ためのケンカ売りはそろそろやめて、やる気のある学生たちとのポジティブな対話に軸足を移したいと思います。それでもまだまだ半分程度は、風変わりな熱血教師に興味本位で付き合っているだけかと思いますので、ここからが教師の腕の見せ所でございます。
10月も一週間が経過しました。土日も仕事だったので、まさにあっという間に7日に至っています。
昨日、「土木史と技術者倫理」も開講しました。理工学部の中では最大級の教室かと思いますが、溢れかえって、座れない人がたくさんいました。「抽選」というひどいことをしたくなかったので、講義の趣旨説明・運営方法を15分程度説明し、やる気のない人に去ってもらいました。私の説明が上手過ぎたのか、あまり去る人が多くなく、結局立ったまま講義を受けた人も多かったです。レポートを見たところ、最初の15分で惹きつけられてしまった学生が少なくなかったようですので、作戦ミスでした。。。
さっそく昨日から今朝にかけてレポートの半分程度に目を通しました。ありとあらゆる学部、学科から受講に来ておられますが、大学に入って初めて本当に面白いと思う講義を受けた、というような感想が少なくないです。先生方、もっと講義、頑張りましょう。。。
初回の受講生は350~400人くらいかと思います(レポートを数えればわかるけど数えるだけで大変)が、読むことで私も大いに刺激される場合が多いし、学ぶことも感じることも多いです。そして、私は次回にそれらをフィードバックします。レポートも次週に返します。その繰返しが相互コミュニケーションと思っています。最終的には受講人数はもう少し落ち着くはずと願っていますが、それにしても昨年の200名程度をはるかに上回る人数を相手の、エネルギー消費の大きい講義になりそうです。
大学教員、土木技術者、研究者である私にとって、世の中に貢献できることはいろいろあると思いますが、この講義を私の持てる力をすべて注ぎ込んで行うことは、私が想像しているよりも大きな影響を持ちうる、と思っています。とても大事な仕事だと思っています。そのことも受講生たちに伝えています。
9月が終わるまでも決して手を抜いていたわけではありませんが、フルパワーで働いていたわけでもありません。
人間にはリズムが必要で、10月の繁忙期に入るとトップギアに入れざるを得ないので、本能的に9月末までは自衛していた面もあると理解しています。
昨日、ギアがトップギアに入りました。帰りのバス・電車も、寝る前も、 今朝の行きの電車・バスも、土木史のレポートを採点していました。今日は講義や会議以外の空き時間は、滞っている原稿の執筆に専念します。
私に求められている役割は職業以外にももちろんたくさんあります。今朝も次女のお弁当を作り、テレビ体操もしっかりとし、次女と20分の徒歩での通学時間に大切なコミュニケーションを重ねました。後半はお互い、大笑いでした。
忙しいのは当たり前ですが、これが秋の日常です。充実するので、体のキレも良くなり、体重もベスト体重に近づき、ストレスは感じなくなります。
2015年の10月に、42歳として、社会や私の周囲に貢献できることはたくさんあることを幸せに思い、まさに音を立てて壊れていく日本が少しでも良い方向に改善されるよう、日々を大切に過ごしたいと思います。