細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

第5回公開座談会「土木の広報」(10月19日(水)、16:00~17:00です!)

2022-09-30 08:55:59 | 教育のこと

土木学会コンクリート委員会 教育研究小委員会(201委員会) 第5回公開座談会「土木の広報」(10月19日(水)、16:00~17:00です!)のご案内です。

今度の教育公開座談会のテーマは、広報!

ぶっ飛んだ広報にチャレンジ、実践しておられる、クリエイティブ・ラボの岩本さんと、デミー博士が登場です。

第5回公開座談会 2022年10月19日(水)16:00-17:00 (15:50頃より入室可能)
議論テーマ:土木の広報
前半部 話題提供

1) 岩本靖 様(株式会社クリエイティブ・ラボ):建設×エンタメで建設業を若者の人気職業へ(仮)

2) デミー博士 様:みんなHAPPY!になる土木広報

後半部 前半の話題提供を受けた自由討議


【座談会の趣旨】
 土木学会のコンクリート委員会では,「教育研究小委員会」(委員長:細田 暁 横浜国立大学教授)が活動しており,公開での座談会を積み重ねていくことにしました。毎回テーマを設定し,委員のメンバーやゲストを招いての座談会を行います。奮ってご参加ください!

 座談会は録画(録画も公開)し、文字起こし、アーカイブ化していきます。
 ちなみに、第1回「土木工学教育における動機付けや教育法」の動画はこちら。第1回の座談会についてのブログはこちら
      第2回「土木工学教育における新たな試行」の動画はこちら。第2回の座談会についてのブログはこちら
      第3回「企業における人材教育」の動画はこちら。第3回の座談会についてのブログはこちら
      第4回「維持管理のあり方と人材教育」の動画はこちら
 


教育研究小委員会(201委員会)メンバー

細田 暁 横浜国立大学
千々和 伸浩 東京工業大学
宮里 心一 金沢工業大学
玉田 和也 舞鶴工業高等専門学校
林 和彦 香川高等専門学校
渡邉 賢三 鹿島建設
村田 裕志 大成建設
上東 泰 NEXCO中日本
松永 昭吾 インフラ・ラボ
武田 字浦 明石工業高等専門学校
 

「憧れ」

2022-09-22 05:36:25 | 人生論

昨日、第1回の全国土木弁論大会(有馬優杯)、が開催され、私も5人の弁士の一人として出場しました。準備から当日まで、いろいろな貴重な経験ができました。ここにその原稿を記しておきます。最優秀賞に次ぐ、優秀賞をいただくことができました。

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『憧れ』

皆さん,土木の偉人,八田与一をご存じでしょうか?土木分野では有名な,台湾の台南では神様のように尊敬されているエンジニアですが,日本では,一般の方にはほとんど知られていないでしょうね。

八田は,台湾の発展に大きく役立った水道や農業インフラの整備に貢献した超一級のエンジニアでした。それだけでなく,とにかく人のため,特に弱い人たちのため,に行動した人格者でもありました。

私は八田与一に憧れています。本当に近づきたいという憧れを抱くのです。2016年3月に学生たちを引率して,台南の嘉南大圳を見学に行きました。その夜,食堂での夕食時に学生たちと熱い思いを語り合っていたとき,与一が私たちのことを,大きく温かく包んでくれるような気持になったことを今でも強く覚えています。

さて,嘉南大圳とは,烏山頭ダムを天王山プロジェクトとする,与一が陣頭指揮を執った巨大事業です。1930年に完成しました。その20年くらい前に台湾で完成した4000kmもの鉄道ネットワークの,なんと約2倍の工事費。いかに巨大なプロジェクトであるかが想像できるでしょう。

香川県に匹敵する広さの平野を,干ばつ,塩害,洪水の三重苦から,豊かな実りある緑の平野に変えた,人のためのプロジェクトでした。水源から平野を灌漑するために網の目のように造られた水路の総延長はなんと,16000kmにもおよびます。

工事の途中,関東大震災もあり,日本政府は資金難に陥ります。工事で働く人にやめてもらう必要もありました。なんと,リーダーの与一は,有能な人から先にやめてもらったのです。弱い人は他では働けない。有能な人は他でも働ける。もちろん与一は彼らの職探しをサポートしました。そして,また工事が順調に進み始めてからは彼らに戻ってきてもらい,バリバリと働いてもらいました。弱い人のことを大切にする心の優しい真のリーダーであったのです。

その嘉南大圳,完成後は,工事にかかった巨額の費用をたった3年で回収できるほど,平野からは穀物,農作物の収穫が上がるようになりました。土木とは,何も生み出さない土地ですら,適切に人間が働きかけることにより,人間に恵みを与えてくれる国土へと変える尊い事業なのです。このインフラが恵みを生む効果を「ストック効果」と言います。

私は,「ストック効果」を知らない国民が多いことが我が国の抱える諸問題の根幹的な原因の一つであると考えています。ですから,大学の講義で,ストック効果の最良の事例と言える嘉南大圳を,与一の人柄とともに教えるようにしています。

元気が無いと言われる日本人。一方で,若い人たちに活力があり目が輝いている発展途上国。そんな日本が,どうして豊かな生活を送れるのか?私も知識の無い未熟な頃は理由が分かりませんでした。答えは,我々の先人が積み重ねてくださったストック効果に支えられて生活できるから,なのです。

我が国,日本は,かつての輝きを完全に失い,もはや先進国と言えないほど世界の中で凋落を続け,貧困化が進む国になってしまいました。我が国が,「日本にふさわしい姿」を取り戻すためには,決して十分ではないインフラを良質な形で各地域に積み重ね,ストック効果を高めることが絶対に不可欠と確信します。

長持ちするインフラを新たに建設すること,それから,すでにある膨大なインフラを維持管理しながら上手に使いこなしていくこと。私はこれらに,自分の研究者,エンジニアとしての人生を捧げるつもりです。あと半年で,天命を知ると言われる50歳になりますが,一人でなど決して成し遂げることのできないこの大きなミッションに,様々な方々とともにチャレンジしたい,と心から思うようになりました。いつまでも未熟な人間ですが,与一のように広い,温かい人を目指したいと思っています。

私がどれだけ努力したところで,与一たちのような偉大な先輩方に届くことは決してありません。偉大な先輩方は,はるか彼方から広く,温かく,私たちの歩みを見守ってくださっていると思います。私たちは,無限の努力をできるのです。

哲学者の内田樹は,「教育とは,無限のあこがれ」であると言いました。与一も師匠の廣井勇を憧れていました。廣井の背中を追いかける与一の憧れの眼差しを見て,後輩が与一を憧れて追いかける。教育とは,そのような憧れの無限の連鎖,なのです。

私も,その無限の憧れの連鎖の中で学び続け,教育に命を燃やし,素敵なインフラに支えられた豊かな将来の日本に少しでも貢献したいと思います。


秋の国内行脚

2022-09-21 07:31:43 | 研究のこと

始まる前はどうなることやら、と多少の不安も感じた怒涛の一ヶ月が、一応無事に終わりました。

8/22から約一ヶ月、全く休みの無い状況で国内外を動き回りました。ようやく9/20(火)に一息付けました。

9/13以降も研究で動き回りましたので、その足跡をしるしておきます。

9/13(火)は埼玉の桶川からタクシーで20分ちょっと行ったところにある、G&Uという研究所で実験。この研究所にも結構な数で通っています。重錘の落下試験を行うことができ、首都高と共同研究を続けている鉛直PC鋼棒の破断突出対策の研究で、様々な実験を行っています。今回は透明な板で破断突出の対策を検討するための実験でしたが、大変に面白い結果が得られ、今後の研究・実務に活用されていくと思います。午後は、土木学会コンクリート委員会の複数の会議に、研究所の会議室を借りてオンライン参加。夜は、翌日に備えて富山県に移動して泊。

9/14(水)は、今年度から始めた富山県内の自治体の橋梁を対象にした維持管理システムの改善の研究。年度当初は、私の中にぼやっとあった維持管理システムを改善していくための方策群が、新日本コンサルタントとの共同研究での議論を通してかなりクリアになってきました。ビジョンはクリアになってきましたが、それらを現場で実践しないと本当には分かったことになりません。この日は、現実の複数の橋梁を訪れ、それらを実際に点検するとなったら、どのように合理化できるか、を具体的に議論しました。現在の日本のシステムのルールの中で出来得る合理化と、今後、ルールを変更することも含めて、ベストと思う合理化を議論しました。

午後は、実際に橋梁のフィールド提供をしていただくために、自治体の担当者に挨拶に行きました。コンサルが事前に説明はしてもらっていましたが、私の言葉でもしっかりと説明し、担当者は「チャレンジしてみたい」と言ってくれました。市の責任者がどう判断するか、ですが、ぜひチャレンジいたしましょう。

その後、翌日に向けてかなりの長距離移動。新高岡駅から金沢まで新幹線。金沢から特急サンダーバードで新大阪へ。駅で夕食を食べて、今度は特急くろしおで、紀伊田辺まで移動。和歌山の大雨で電車も遅延しましたが、何とか紀伊田辺まで到達して就寝。

9/15(木)は、近畿地方整備局の建設する、和歌山の紀南河川国道事務所発注の、すさみ串本道路のトンネル現場を二つ訪問。段取りしてくださった大阪工業大学の三方先生、元東北地整の佐藤和徳さんとともに訪問。我々が積み重ねてきた、施工状況把握チェックシートと目視評価法を活用した品質確保の試行工事の現場2つでした。大変に優良な品質確保の取組みがなされており、監督官や施工者との議論も大変に活発になされ、時間が足りないくらいの状況で二つの現場の視察を終えました。もはや、試行工事に留めておけない状況になっており、これは土木学会示方書の改訂作業とも関連する話ですが、正式な制度として定着するよう、新たなチャレンジが始まっており、これには私も全力を注ぐつもりです。

視察後、くろしおで新大阪へ移動して、懇親会(私はノンアルコール)をして就寝。

9/16(金)は、京都大学での土木学会の全国大会に参加。久しぶりに私自身も7分の発表をする役割があり、朝一番のセッションへ。何だか人が多いなあ、と思っていましたが、その混和剤のセッションの会場はほぼ満席。立ち見も少しいました。私の知っている顔が結構多かったので、全国大会で細田が発表する、というのを興味本位で見に来られた方々も結構おられてようです。長瀧先生もおられました。

スランプ保持性と適切な凝結遅延性を有する化学混和剤を使いこなして、暑中コンクリートの品質確保をする、特に35℃を超えるコンクリート温度の領域に踏み込む研究ですので、注目度も高いのかと思います。私の7分の発表の中では、示方書の改訂作業の状況も説明しておきました。有意義な情報発信ができたものと思います。

発表を終えて、大学で修了式があったため、急いで京都駅へ移動して、のぞみ号。新横浜駅からタクシーで大学へ向かい、何とか修了式が終わった直後の写真撮影の時間に間に合いました。教え子たちが博士号を取得したり、という大事な修了式で、教え子たちも私の到着を喜んでくれました。生涯に渡っての関係ですので、大事です。

9/17(土)~19(月)はすべて、終日、市ヶ谷の会議室にて、土木学会のコンクリート標準示方書の施工編の改訂作業。改訂原稿の初稿の締切が9月末のため、会議を集中的に重ねています。今回は私は施工編の改訂の幹事長の立場です。今回の改訂の主査の岡山大学の綾野先生の獅子奮迅の働き、ご見識から、私も数多くのことを学ばせていただいています。歴史と伝統のある施工編の改訂は、並大抵の見識や実力では対応できないと思いますが、今の私もまだまだ力不足で、毎回の会議から多くを学ばせていただいています。膨大な時間を取られますが、それに見合う価値があると思い、今後、さらに上の立場で関わる際にも力を十分に発揮できるよう、学びたいと思っています。もちろん、今の私にできる貢献はしっかりといたします。

というわけで、8/22から29日間、怒涛の国内外の行脚が終了いたしました。

9/21(水)は土木学会の弁論大会に弁士として登壇します。準備時間は限られていましたが、私なりにベストを尽くしたつもりです。弁論の内容も、終了後にブログで公表しますが、今の私の偽りのない気持ちです。出し切るつもりで頑張ります。。。


インフラの維持管理のあり方

2022-09-14 07:44:43 | 研究のこと

9月12日に、私の尊敬するエンジニアである、JR東日本の松田芳範さんと、NEXCO中日本の上東泰さんとともに、インフラの維持管理のあり方を議論する公開座談会を開催しました。

土木学会コンクリート委員会の教育研究小委員会(201委員会)の活動の一環として行っています。過去の公開座談会の動画をストックしており、文字に起こして文章としても残していきます。

思いを言葉にし、発信し、責任をもって実践する。記録に残す。

それを積み重ねることで、今回の公開座談会で議論したような方向に、少しずつ進んで行くのだろうと思います。

本日も、富山県で指導学生の卒論生とともに実践です。



教育と積み重ねと

2022-09-10 20:15:00 | 教育のこと

休みなしのノンストップ状態が続いておりまして、本日20日目です。あと8日間くらいはノンストップが続く状況ですが、何とか生きております。。。

ここ1週間くらいもかなりすごい動きでしたが、いろんな方々と再会し、新たに出会い、楽しく刺激的な時間を過ごしています。

9月3日(土)に久しぶりに海外渡航しました。ベトナムのダナンが目的地で、世の中はいまだにコロナ禍なので、「コロナ対策」にも相当に準備をして臨みました。帰国が9/7(水)8:00成田着だったので、日本政府のPCR検査の扱いが変化するタイミング(9/7(水)0:00)と重なっていたのでやきもきしましたが、結局現地で9/4(日)の朝にPCR検査を受け、高い金を払わされ、もちろん陰性で、帰国時には検査結果を見せろとはどの箇所でも言われませんでした。。。。金返せ。。。

コロナは置いといて、9/3(土)にダナンへ。9/4(日)には私の指導で9月に博士号を取得するNgocさんの母国での結婚式。彼の地元(Danangから南へ車で1時間ちょっと行ったところ)で開催された盛大な結婚式に招待され、主賓としてスピーチもし、途中からはカラオケ大会みたいな式でしたが、リクエストされて長渕剛の「乾杯」を熱唱してスター扱いされる、というすごい事態に。日本から参加した方々と楽しく過ごしました。濃過ぎて詳細はここでは割愛。



9/5(月)はダナン大学にて防災・持続可能社会のシンポジウム。YNUの自然災害ミチゲーション研究拠点との共催でした。ハイブリッドで日本からも4名の先生方に講演いただき、良いイベントになったと思います。今後、本気でYNUとダナン大学が共同研究していくことは決して容易ではありませんが、彼らは望んでいるので、私も真剣に模索してみたいと改めて思いました。



ダナンでは大変な歓待を受けました。これは、先鞭をつけてくださった山田均先生や中村文彦先生ら、私の先輩の先生方のご努力なしにはあり得ない状況です。今は、私も最前線で受け継がせていただいているので、何とか発展していくよう、後輩たちが続いてこれるよう、私の役割を果たしたいと思いました。

それにしても、ベトナム、特にダナンには教え子たちがたくさんいて、楽しい時間を過ごすことができます。教育という営みのすごさを心底感じます。

9/6(火)は多少リラックスしながらホテルで日本とのオンライン会議などの仕事など。夜行便で9/7(水)8:00に到着。その後、ほぼ隙間なく、成田の日航ホテルに移動して、9:00以降、オンライン会議がびっしり。16:00過ぎまで。重要な会議が続き、今後の展開にも大きく影響を及ぼすものもあり、ホテルの部屋を借りてまでやった甲斐がありました。疲弊して帰宅。

翌日の、9/8(木)は今度は沖縄へ。土木学会の沖縄の支部の講習会で90分の講演。昨年コロナで開催できなかったものです。コンクリート構造物の品質確保、ひび割れ抑制、生産性向上。という適当なタイトルを付けさせてもらって、中身はしゃべりたいことをいろいろと話しました。もちろん本題の品質確保などもしっかり話しましたが、インフラの維持管理のあるべき姿やそこに向かうための私の考える方策、脱炭素・カーボンニュートラルなる嘘話についての私の見解と付き合い方、生コンの廃棄物の有効活用、化学混和剤の革新的新技術、などなど、聴衆の方々からは大変刺激的だった、衝撃を受けた、など感想をいただきましたが、好評でよかったです。これも、また今後のいろいろな展開につながることでしょう。

9/8(木)の講習会では、長らくお付き合いのある風間さんが60分間、沖縄での耐久性確保についての取組みを順を追って裏話も含めて熱く、濃く話してくれました。私も大変勉強になりました。関係者で楽しく懇親会。私はいつものようにノンアルコール。

9/9(金)は午前に沖縄から羽田に戻り、大学で、留学生のインフラ管理学プログラム(世界銀行出資)の卒業お祝いイベント。私はそのプログラムのディレクターで、お祝いのスピーチをすると見せかけて、スピーチの途中から、Queenの"Don't Stop Me Now"を私がヴォーカル、バックダンサーたち、コーラスたち、うちわ隊の応援たちとともに披露、皆さんびっくりしたようですが、大変喜んでくれました。このイベントも、もちろん教育の一環でのイベントですが、1995年に横浜国大に開設されたインフラ管理学プログラムがいろいろな経緯を経て今も継続しており、私が今はプログラムのディレクターを務めており、そこで育った方々(様々な国からの留学生)やプログラムを内外で支えてこられた方々の努力の蓄積に思いが至りました。





教育とは当然に、最前線の現役の現場だけの話ではなく、特に教わった側にとっては卒業後に何年経とうとも、当時の思い出や、恩師や同級生たちとの関係などが生きていく上での拠り所になったりする、大変に深い取組みです。逆に言えば、その時間軸や空間的な深さを想像できる力がないと、良い教育はできないのではないか、という気もします。

本日、9/10(土)は岡山大学でのコンクリート標準示方書の施工編の改訂の幹部会。日帰りで、11:00~19:00までほぼ休みなしでの会議でしたが、「品質管理」の章に、これまで私が同志たちと実践的に勉強してきた山口システムの「施工状況把握チェックシート」の考え方、発注者の監督職員の品質確保のための役割、をダイレクトに導入しようとする議論ができ、大変に刺激的でした。最終的に上手く導入できるかどうかは、今後の審議次第ですが、全国の試行工事でも使われている実績のあるツール、内容ですので、しっかりと作業、努力したいと思います。

生きる限り、教育、実践、積み重ね、ですね。


頭脳と経験と研究

2022-09-03 06:43:07 | 研究のこと

今年度が始まってから明らかに忙しいことは何度か書いてきましたが、ということは、昨年度まではそうでもなかった、ということになります。

2020年度、2021年度の日々を詳細に振り返ると忙しい日々ももちろんあったのですが、かなりだらけていた日や、無駄に過ごしていた時間も相当にあったと記憶しています。「やることがない」などと思っていた、悶々とした、鬱屈のたまる時間もあったことを記憶しています。そして、そのような時間は大抵、お酒を飲んでいました。

2020年度、2021年度は、ほぼコロナ禍であり、土木工学教室の主任教授を務めていたので、ストレスが溜まりやすかったり、守りの姿勢に入っていたという理由はあろうかと思います。ですが、やはり自分の能力を最大限に発揮している感覚も少なかったし、結果としてあまり成長もしていなかった(調整能力とか、変な能力は付いたかもしれませんが)ように思います。頭脳を全くフルに使っていない感覚。この期間はこの期間なりに何らかの成長をしていた、と今はポジティブに捉えておりますが。

さて、今年度に入って、子供たちの学期期間中は基本的にお弁当作りの担当なので朝4時台には起床。それだけで少なくとも平日は余裕は無くなります。日中はほとんど隙間はありません。

土木学会の示方書の改訂が佳境に入ってきていることが主要因で、土日もほとんど休みがありません。8月~9月の夏休み期間は、出張も比較的しやすいので、国内外の出張も組んでおり、現状で8月22日から9月18日まで全く休みが無い、という状況です。

2021年度と違って、「やることがない」などと思う時間は無くなり、仕事も趣味もリラックスもやりたいことだらけで、なるべく優先順位を付けて時間を当てています。今朝も3時45分に起床で、6時05分に品川を出発する成田エクスプレスに乗りましたが、起床後も体操、シャワー、食事、出張準備を着実にこなし、NEXに乗車後も重要なメールを書いたり、このブログを書いたりしているうちに空港に到着しそうです。

極めて多くの方々と、クリエイティブな議論をする時間が2021年度に比べて増えています。

私にとっての研究は、学生たちと真剣に取り組む研究だけでなく、実務者たちとの研究、自然災害ミチゲーション研究拠点のマネジメント、学会の各種委員会、示方書の改訂、などなどすべての活動を含みます。

熱のこもったポジティブでクリエイティブな議論から、様々なアイディアが生まれてきますし、それは元々私の中にあった知識、経験などがつながった場合もあるし、皆さんとの共創で生まれてくるものもあります。それらの議論では頭脳をフル回転している感覚があります。そして、それらのアイディアを実践し、血肉とし、経験が蓄積され、さらにポジティブなスパイラルにつながっていきます。

やはり、多くの方々と刺激的な議論を積むことが極めて重要で、その中で成長させていただいていると実感します。

今年度、ここまで5ヵ月過ごしてきましたが、例年だと年度の準備期間、種まき的な期間という印象が強いのですが、今年度は中身の濃い5ヵ月だったように感じます。新しい研究も4月以降だけですでに3つはスタートしていますし、9月以降もさらに活発に動き回ると思いますので、どのような展開になるかとても楽しみです。

今日は久しぶりの海外出張で、ベトナムのダナンに向かいます。教え子たちを中心に多くの方々に出迎えていただくと思いますが、海外との連携、協働を強力に展開する私の中でのリスタートにしたいと思います。9月5日に国際シンポジウムを開催しますが、私の講演でも魅力的な情報を発信できるよう、これから機内で準備したいと思います。。。


我慢、ではない

2022-09-01 16:10:37 | 人生論

お酒をやめてそろそろ5ヵ月になろうとしております。懇親会、飲み会の場にはちょこちょこ参加しておりますが、飲むように勧める方がまだおりますし、「さすが細田先生。意思が強い」などとおっしゃる方が多いので、決して「我慢」しているわけではない、ということを書いておこうと思います。これ、結構本質的なところです。

現在の私は(2022年4月以降は)、基本的に体に悪いことや、自分で後ろめたく感じるようなことをほとんどしておらず、極めて健康的な生活を送っていますし、まだ若干の余裕はありはしますが、ほぼ全力で仕事にも取り組んでいる状況です。

もっともっと高いレベルで仕事や生活をしている方ももちろんおられるでしょうが、私としてはほぼベストを尽くしている状況にあります。それが「意思」の強さによるものかどうか。

例えば、毎朝、体操しています。4月以降、一日だけ体操しない日がありましたが、真夜中のコンクリート打設に立ち会った夜勤明けの日でした。まあ仕方ないかと。

この体操一つとってみても、私にとっては完全な習慣であり、習慣ということはまさに生活の一部なので、「意思」の強さで継続しているという感覚では全くありません。ブログでも公開している私のミッション・ステートメントに従うと、毎日の習慣として自然に行われることになります。

逆の言い方をすると、体操しない方が違和感があり、習慣が崩れるので、結局すべての活動の土台が崩れていくことになり、そんなことをしたくない、という気持ちになります。

習慣に従っている方が楽、なのです。ここが最も本質的な部分と思います。意思の強さで継続しているのではない、苦しいのを我慢しているのでもない、その方が楽、なのです。

お酒も一緒。アルコール依存症、もしくはそれに近い人は数えきれずいると思いますが、私も軽度の依存症を自覚していた状況でした。その状況から脱するにはいろいろな方法があり得るかと思います。入院したり、お酒を飲めなくする薬を飲んだり、断酒会に入会したり。。。

私の場合は、お酒をやめよう、と決意した後、いろいろと勉強しました。そして、頭で(知識で)理解し、お酒にはメリットが無いと心の底から認識しました。というわけで、お酒を楽しんでいる方には申し訳ないですが、「酒を飲むのがバカらしい」と私の頭が認識した、ということです。いろいろ勉強しましたが、やはり決定打はアレン・カーの「禁酒セラピー」でした。

33歳のころにタバコも止めましたが、同じ止め方でした。タバコを吸う吸わないはそれぞれの自由と思いますが、私は吸う気がさらさら無くなり、今は我慢も何もしていません。

お酒に対しても一緒で、わざわざそんなもの飲む必要がないし、飲みたくもない、という状況です。一度飲むと、元の木阿弥で、またずるずると酒浸りになることも容易に想像がつくので、わざわざそんな習慣に戻る必要は全くありませんので、このまま止め続けたいと心の底から思っています。

というわけで、我慢しているわけでは全くありません。

そんな生活しているとストレス溜まりませんか?という質問が来そうですが、スーパー銭湯行きまくってますし、サウナにもしょっちゅう入っているし、カイロプラクティクやマッサージなど健康と快適さを兼ね備えた趣味にもどんどん投資していますし、心身ともに快調です。時季に応じて様々なスポーツもバリバリやってます。スカッとお酒を止めた人がよく言うように「酒なんか飲まなくても楽しいことなどいくらでもある」のです。

9/3からは久しぶりの海外出張で、ベトナムに行ってきます。海外渡航の飛行機の中など、これまでは間違いなくお酒を飲んでましたが、今回のビジネスクラスではどんな時間を過ごすでしょうか。9/21に開催される弁論大会の原稿がまだ全く着手できていないので、その原稿の書き出しと、9/5の国際シンポジウムでの講演の準備であっという間、でしょうかね。