「謝罪と、再生の誓い」
コンクリート研究分野の新入生(B4、M1など)、メンバーの皆様へ
細田です。昨日、4月9日の1限の初回のゼミでは、衝撃を受けた方もおられたかもしれません。そのことへの謝罪と、私自身の再生の誓いをお伝えします。
ご存じ?の通り、私は嘘を付けない人間ですので、これから皆さんと研究室での大切な時間を共有していくためにも、以下をお伝えします。
2024年度の1年間、私は心身の病に侵されていました。理由は異常なほどの過労です。2023年の1年間は、盆と正月を含めても、全く仕事をしなかった日は2日しかない、という異常な忙しさでした。普通の大学教授の職務に加え、2023年4月に立ち上がったばかりの豊穣な社会研究センターのセンター長、そして土木の留学生プログラムのディレクターも兼務でした。一部の大学教員の異様な忙しさも知っておいてください。
2024年3月末ごろに、さすがに心身に異変が生じ始めました。3月30~31日は能登の被災地に出張しており、豊穣センターの松永所長(元気なインフラ研究所)らと調査しましたが、被災状況に衝撃を受けたのか、頭がボーっとするような感覚を覚えました。
2024年4月に入り、心身が壊れていきます。1年生用の国土学の講義でも、ろれつが少し回らなくなるような状況でした。
2024年度は豊穣センターの2年目で、学長からの特別の重点支援(年間1100万円)の最終年度でもありました。心身が壊れていく中、豊穣センターを何とか形にしていかなくてはならない、というプレッシャーもあったのでしょう。家族はもとより、行動にストップをかけようとする周囲の思いやりとは無縁に、私は松永所長らと全国のフィールドを過密スケジュールで飛び回った5~7月でした。
おまけに引越しが3件も重なりました。家族の引越しに伴う川崎での一人暮らし、鞆の浦の家の購入(30万円)、そして教授室の移動。極限的な状態で何とか9月の初旬にたどり着きました。
2024年10月からの秋学期は不安な状態でスタートしました。講義もアップアップ。研究は学生たちの自主性で何とか前に進みましたが、もっと100%の力で彼らと格闘したかったです。
何とか12月の年末までこぎつけ、年末の数日間を鞆の浦で過ごし(ひたすらだらけて)、正月を浦和の実家で過ごした後、私の精神状態は極限まで低下します。深刻な鬱病でした。国家的な?入試行事の主任試験監督もできなくなるほどの状況でした。
皆さんも不安になったり、不調になることもあるかもしれません。
鬱病の状況だと、「あなたはこれまで頑張ってきた人だから大丈夫!」などの励ましをしてもらっても、「過去の自分」と「今の自分」は全くの別人なので、本当に苦しみます。
私は、もちろん誠実で、努力を重ねる人間ですが、エネルギーやパワーもすさまじく、その分、鬱状態では「全く中身の無い自分」という感覚に苦しめれます。
何度も自殺しようと思ったのはもちろん(消えた方が楽ですからね)、休職やその先の退職は毎日のように考えて、もだえ苦しみました。
実は、20年くらい止めていたタバコを2024年6月に一本吸いました。精神の高揚や暴走を抑えた方がよいという気持ちからです。その後、本数は徐々に増えました。
地獄のような2ヵ月、一人暮らしの私の家には母親、それから独身で働いている妹が入れ替わりで泊まって面倒を見るような状況でした。3月中旬に復活の兆しを感じ、下旬に一気に良くなり、奇跡的に新年度を良い状態で迎えることができました。
4月からは都市基盤学科の学科長を務める予定でしたが、周囲の温かいご配慮で、藤山先生に交代していただきました。
さて、前置きが長くなりましたが、昨日の4月9日は私の誕生日でした。もう回復したけどまだ心配な母親が家にいて、昼食はそごうのうなぎ屋で私がごちそうしました。
昨日のゼミでは、教員からの研究活動紹介と私が思い込んでいましてフライングしましたが、精神が高揚していたのでしょうね、何と席に戻った私は、タバコに火をつけて吸い始めました。衝撃を受けた人もいたかと思います。藤山先生が近づいてきて、小声で「やめてください」と言われ、消して捨てたのは当然です。
51年の人生を昨日終えました。あと何年生きるかはわかりませんが、生まれ変わって、何とか日本の再生に貢献すべき、死力を尽くします。良くない習慣のタバコはもちろん止めるつもりでしたが、昨日、ケリを付けたく、「不良ぶって」吸いました。鬱から復活してやる気に満ち溢れると、生来のいたずらっ子は、いたずらをしたくなるものなのです。冗談にもほどがありますよね。
51年の人生の終了とともに、タバコの習慣にもさよならをしました。昨夜は、母親とゆっくり、質素な夕食を食べ、就寝前には二人でマンションのベランダから下の桜を見て、私は日本の復活、豊穣な社会を夢見ながら、そして、みなさんへの謝罪と、私自身の再生を誓いながら寝ました。
コンクリート研究室へようこそ。藤山先生、小松先生は誠実な、素晴らしい先生です。
皆さんの大切な一年間、素晴らしい日々になりますように。私も一緒に努力をします。
細田 暁