細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

情報

2009-09-30 07:11:42 | 研究のこと
研究者にとって「情報」は命です。研究者にとってだけでなく、良質の情報をどれだけ持っているかが、鍵を握る場合が多いかと思います。

もちろん、人から聞いて得た情報だけでは物足りなく、自分で文献などを勉強して獲得した情報の方が自身の血肉になるという意味ではより重要です。

この一週間を振返ると「情報」という意味ではとても充実していました。

23日(祝日):ソンさんとの打ち合わせ(高炉スラグについて新しいデータがたくさん)、午後は京葉線の調査で自らの目でたくさん勉強しました。
24日:JCIの混和材の委員会で自らの話題提供に貴重な意見をたくさんいただき、その後オブザーバーで参加し、たくさん勉強いたしました。
25日:共同研究の打ち合わせで気心の知れた最前線の研究者たちとディスカッションし、夜も懇親しストレス発散とともに情報交換。

28日:土木学会の混和材・混和剤の合宿委員会で、「収縮理論」を中心に多くの勉強をしました。
29日:午前は合宿委員会の続き。東京へ戻る道中で丸山先生といろいろ情報交換。JCI自己治癒委員会に出席し、話題提供+ディスカッション。
30日:午前はJCI膨張コン委員会WG、午後は群馬県に行って「ひび割れ」について講演しますが、群馬県の発注者や生コンの方々とよい情報交換ができるかと思います。

こうやって見ると、この一週間、ほとんど研究ばっかりしているように思います。道理で元気になるわけです。やっぱり研究が好きなんですね。

冒頭の議論に戻ると、聞いて得る情報だけでなく、自分達でも情報を作り出しているし、交換もしている。それらのバランスが大事です。

自制心、若手

2009-09-24 21:02:26 | 人生論
今日は研究室の学生を2名、JCIの委員会にオブザーバーとして同行させ(私自身もオブザーバー)、5時間の濃厚な議論の後、学生2名と少しお酒も飲みながら復習し、人生論も説きましたので、その延長で若手へのメッセージとして記します。

「自制心」「自己制御」「自己管理」。これらはとても難しいものであり、過去の日本人は自然に身に付けていたものかもしれませんが、現代の日本では大人でも十分に身に付けている人は稀かと思います。私の目で見てすごいな、と思う人たちも多くはなく、身近な例で言うとイチローです。大多数の日本人はこれらについて悩み、最善を尽くそうともがいていると想像します。私のいう「自己制御」とは、自己のことを深く分析できて理解しており、自分のやるべきことがミッションステートメントに基づいて明確であり、自分のやるべきことを着実に実行できるためのマネジメント全体、を意味します。

私も自己確立を模索する中で、自己制御できるように少しずつ成長してきましたが、9月の中盤は自己管理能力の欠如に悩まされました。やはり、どのように高いモチベーションを持つか、保つかというのは人生を通じての課題であると再認識しました。

見かけ上自己制御できているようにするための簡単な方法は「忙しい日常とする」ことです。自己制御云々を論じる前に、そんなことを考える余裕をなくしてしまうことが一番簡単な方法です。普段の私はそういう状況で、やるべきことが一応明確で適度に忙しいと悩む時間もないので、それはそれで充実します。しかし、多くの人は自身の行動と自分の本当にやりたいことが一致していない、もしくは一致しているかどうかも分からない状態なので、忙しいことのみに飲み込まれて別の悩みに遭遇します。

この9月に私が悩んだのは忙しいのとは反対で暇になったからです。追い立てられるような切迫した状況からほんの一時的にせよ解放されたということがあります。ここ数年で初めてに近い経験です。奥さんが育児休暇をとっていることも一因です。ふっと予期せぬ暇な時間ができて、「悩む」時間を与えてもらったと理解しています。(本当は暇でも何でもなく、その時間をクリエイティブな作業に投資すべきなのですが、エアポケットのように気が抜けてしまいました)

ほんとに忙しい人であれば、そんな暇も与えてもらえないでしょうから、まだまだそんな暇を享受できる「若手」なんだと思いました。自分のことに時間を使える若手であり、だからこそ自身に時間を投資すべきである、と認識しました。

普段は共働きの奥さんと家庭を回すのに必死なので、悠長なことは言ってられませんが、たまたま今はそういう時期だったのだと理解しています。

9月も終盤に入り、結局いつもの自転車操業に戻りつつあるので、ほんとに束の間の「バカンス」であったように思いますが、「自制心」を持って日々を全力で生きたいと思います。

学生たちへアドバイスするとすれば、学生の間は所詮は暇人であって、悩む時間があることをありがたく思うべきです。大いに悩んで、自己と向き合い、将来に社会に貢献できる人材となるべく、自己に投資をしなさい。すぐにそんな時間を確保するのが困難な社会人になりますから。


広いマインド

2009-09-24 07:19:14 | 職場のこと
研究室の学生たちの教育にはいろいろと工夫をするのは当然のことです。

私の工夫の一つに、現場を見せる、教員が仕事をしている現場を見せる、というものがあります。私も多くの共同研究をしていたり、あちこちで講演したり、と外部に露出する機会も多々あります。それらに同行することは学生にとってはとても貴重な機会であると認識しており、なるべく同行を許可するようにしています。もちろん、学会などへの参加も奨励しています。

現場で教員がどのように振舞っているか、考え方を述べているか、技術者とディスカッションしているか、どのようなジャッジをしているか、をよく観察してもらうことが、若手にとっては一番の勉強です。逆に言えば、そのような機会にいろいろと観察して「盗もう」としない人は伸びません。どの世界でも同じでしょう。

今日は、JCIの委員会で高炉スラグの研究について請われて講演してきます。高炉スラグの研究を始めてたかが数年、地道にやることで、一応講演をお願いされるような研究に進展してきたわけです。ここで私がどのような話をし、ディスカッションをするか、を見ることは研究室の学生の勉強にならないわけがない。

こういう機会にはぜひ多く参加してもらいたいのだけど、同行するのは学生2名。1名はスラグの研究をする高橋君でこれは当然でしょう。もう1名はデルフト工科大学の留学から帰ってきた小松君。やはり意識が切り替わっているのでしょうか。

昨日、京葉線の実構造物を調査しましたが、休日であったにせよ、これに同行したのも研究に携わる重野君と、これまた小松君。鉄道構造物の劣化・メインテナンスを私と一緒に2駅分歩きながら議論する機会など、そうそうありません。私がこれまで培ってきた技術情報に基づいて調査、議論するのですから、もったいないといえばもったいない。

前述の「師匠から盗む」、もそうですが、どれだけ広い視野をもって興味を持てるか、は個人の資質でもあります。私は決してスーパーマンではありませんが、研究室のすべての学生と同レベルの「凡人」でも決してありません。私が学生のころを思い出せば、自分の研究以外のことにも興味を強く持ち、先生たちや技術者たちの行動をつぶさに観察し、吸収しようと努力していました。

研究室のゼミが充実しないのも、広いマインドをもった参加者が少ないからでしょう。発表内容の質もあるだろうけど、聴衆のレベルの低さも大きな原因です。

自分の研究のことだけやったってどうにもなりません。すべてを貫く本質はすべてに共通しており、それは広く視野を持つことによって初めて獲得できるのではないかとも思います。本質的な考え方をすることができるようになれば、自分の研究に対しても違った行動ができるようになるはずです。

私の日記を読んでいれば私の考え方が理解できる、などと思うのは早とちりで、やはり現場で実物の行動をよく観察してもらいたい、と強く思います。遠慮は無用なのに、横国の学生はおしとやかで何よりです。

一つ一つ

2009-09-21 06:58:48 | 人生論
研究室の夏合宿の学生の感想にもありましたが、「充実した生活」を味わうとか、達成感を味わうというのは、そう簡単なことではありません。が、どうすればそのようになるかはほぼ自明で、自分がやるべきと心から思うことをきちんと実行し達成する、ことであろうと思います。

現在、私も少しリズムを崩しており、充実感を味わえずにいます。いずれいつもの調子に戻ると思うのであまり気にしないようにしています。ある意味では「リハビリ」であろうし、くすぶることも爆発的なエネルギーのために必要です。

学生がよく思い通りの生活をできずに悩みます。私も学生の時は同じでした。そのような場合、まずチェックすべきは、自分が心からやるべきであると思うこと(目標)がきちんとあるか、です。それが無い人がかなりいるかと思います。日常の行為にきちんと目的意識を持っているか、ということです。無いのであれば、なぜ無いのかを考えてみましょう。それが自己発見の最初のステップです。

心からやるべきであることが明確な場合、なぜそれを実行しないのか考えてみること、それが次です。実行すれば確実に充実感が得られるし、達成感も得られます。なぜやろうとしないのか。それにも理由があるはずです。

実行できるようになれば、今度は達成しないといけません。成果の質も問われます。質が悪ければ反省してどうすれば向上できるかを人とも議論しながら考える。そしてまた新たな行動目標を立てる。

私も日常はほぼ上記の「実行および実行後」のステップで格闘しているのですが、ときどき「実行できない」ことで悩むことがあります。今はその状態で悩んでいますが、少しずつ打破しています。

最初に戻るのですが、結局は「自分がやるべきと心から思うことをきちんと実行し達成する」ことでしか、自身の充実感も得られないし、周囲に貢献することもできません。一つ一つ、小さなことを誠実に積み重ねるしかないのです。




チェンジ

2009-09-05 08:46:38 | 研究のこと
携帯電話で博多の地下鉄から記事投稿です。

最近日記の更新がまめでないけどどうしたの?と声をかけられます。

少し活動が停滞しているのが主な理由でしょうか。自身の行動を見直すいい機会ではあります。

中期的に行動計画、戦略を練ってますので、近いうちに活動が活発化すると思います。ご心配なく!