細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

2013年度、見学会情報をアップ

2013-04-30 09:11:21 | 教育のこと

YNU土木の見学会ファンの皆様へ

5月20日(月)午後の首都高ウォッチング(護国寺-北池袋)と、5月27日(月)午後の相鉄・JR直通工事の羽沢駅・シールドトンネルの現場見学の参加募集をアップしました。

希望者はお早めに! 


最前線

2013-04-29 09:12:18 | 人生論

鞆の浦から帰ってきた。今回で8回目の訪問でした。今回は,太子殿のさらに上まで山道を上がって行って後山公園まで行きましたし,走島にも行って漁師のおっさんたちともたくさん話をしたので,またいろいろと感じました。

我々は都会という地獄に住んで,やはり無理をしている。個人も無理をしているけど,都会というシステムも相当に無理を抱えている。

私も40歳になったけれど,まさしく社会の最前線に立って,闘っている。闘い始めた。毎朝,きちんと起きなきゃいけないし,身だしなみだってだらしなくするわけにはいかない。

毎朝,毎朝,本当の自分ではないのかもしれないけれど,今の自分をつくりあげて,社会へと闘いに出て行きます。

いずれは,本当の自分に戻れる,という安心感に包まれて,私は楽しく闘っています。

いざ,本当の自分に戻ったときは,闘っていた日を懐かしく思い出すのだと思います。

でも,こうやって闘っている日々の私も,本当の私だし,地獄のような都会も日本そのものなのだ,と分かっています。

今日は3連休の最終日ですが,たまりにたまった仕事をこなしつつ,散髪にも行って,お昼はお弁当を作って子供たちと川原でピクニック。 


出張

2013-04-26 07:36:31 | 研究のこと

今日は,始発の新幹線で鞆の浦に出張中。

せっかく鞆の浦に行く(8回目)のだから,土曜日も活用できるように,金曜日の出張にしました。家族への迷惑も最小化できるように。

今回は,昨年の赤間君の後を継いで,防災の研究をする学生2名(4年生,男1,女1)を連れて鞆の浦を訪れます。私も昨年,赤間君と一緒に防災の勉強をスタートさせてもらいましたが,もちろんまだまだ素人です。素人だからいくらでも勉強することができるし,逆に専門家でない柔軟性を活かして,徹底的にやってみたいと思っています。しがらみもないし,固定観念もない。

学生たちも全くの素人と言ってよいと思うので,いろいろ考えてアクションを起こすと思いますが,大学の研究として行う以上,「作法」が必要と思っています。私はやはりキーになるのは「防災教育」だと思っています。

防災のための活動は無数にあると思います。ですが,昨年の我々の研究でも,一番のコアは小学校での防災授業でした。なぜ,これがコアなのか。これを学生たちがしっかりと心の底から納得できるようになれば,後は研究は勝手に進んでいくと思います。私がこれだけ言うのだから,「心の底から納得」してもらうことはそう簡単なことではないのです。

今日は,学生たちと鞆の浦を調査探索しますし,鞆中学校,鞆小学校も訪れますので,いろんな人にもお会いすると思います。また,昼食も夕食も,その後の時間も一緒に過ごすでしょうから,彼らといろいろな対話がなされるでしょう。私のフィロソフィーはそのような対話を通じて伝わっていくことになります。

昨年,5月に横須賀高校で防災にも絡む特別授業を行いました。それが好評だったようで,今年も連続して行うようにオファーを受け,6月5日(水)に行ってきます。昨年の横須賀高校での授業は,赤間君も同行して聴いていましたが,その帰りのグリーン車の中での打上げで,「鞆小学校で防災授業をやろう」と私が言いだし,それを赤間君は実行してしまいました。

なぜ私がそう言いだしたか,ですが,いかに小学校での防災授業が難しいか,を私が感覚的に理解していたからであり,またいかにその意義が大きいかも,直観で感じていたからです。難しくて,意義の大きいことにチャレンジするのが大学の研究だと思っています。

「防災授業をすること」が目的ではありません。そこから生まれてくるさまざまなダイナミックな動きを,「実践」につなげていくのです。「実践」を重ねた結果が何につながるのか,その過程で何が得られるのか,それが目的です。

さて,5月8日(水)の朝には,川崎市の小学校の校長先生を訪問します。何と,私の長女の通う小学校で,防災授業をすることになりそうで,その打ち合わせです。

鞆小学校と同じコンテンツでできるわけがありません。横須賀高校と同じコンテンツでできるはずもありません。その小学校のオリジナルのコンテンツを創る必要があります。早速,私も勉強を開始しているし,2名の学生たちにも本日指令を出して,コンテンツ創成のための研究を開始してもらいます。

私は出張が大好きです。出張に出ると,研究のことを考えることができるからです。今回も,移動中に雑務もこなしますが,せっかく鞆の浦を訪れるのですから,鞆の浦の研究や,防災の研究のことをたくさん考え,学生たちとも議論したいと思います。

23日の秋田出張では,フライアッシュ有効利用や東北復興道路の品質確保について大いに議論できました。

今年度はあまり出張しないで研究室での時間が増えるかなと思っていましたが,フタを開けてみると例年よりさらに駆け回っている感じです。


フライアッシュ

2013-04-25 06:40:17 | 研究のこと

昨日は,フライアッシュの有効利用について勉強するために秋田の能代に行ってきました。

岩城先生が企画した勉強会でしたが,非常に多くの方々が集まり,その分,濃密な議論ができ,石炭火力発電所の見学と,その発電所から出てくる高品質のフライアッシュ(JISのⅡ種)を生コンクリートで普通に出荷しているプラントの見学,そのコンクリートを打ち込んでいる製品工場の見学を行いました。

秋田県が頑張って標準に持っていったようですが,とても感銘を受けました。かなり多くの情報をいただいたので,よく勉強をしたいと思います。また,私はこれまでフライアッシュのことを全く研究したことがなかったのですが,表層品質やひび割れ抵抗性の観点からも,私にしかできない観点で研究をしてみたいと強く思いました。早速,フライアッシュのサンプルをいただく段取りに入っています。

このような,真摯な,熱血な取組みを見るたびに感激し,勇気づけられます。

やっぱり,みんなで励まし合いながら,やるべきチャレンジを重ねていくしかありませんな。

明日は始発の新幹線で鞆の浦です。今回もいろんな人に会えそうで,楽しみです。 


課題と日本の底力について

2013-04-21 10:13:39 | 研究のこと

20代の学生の頃,東大のコンクリート研にたくさんいた留学生たちを見て,すごい人たちだなと思っていました。

まさに国を代表するようなエリートたちだったと思いますが,とてもかなわないな,と正直に思っていました。一方で,将来は大学の研究者,教育者を目指すつもりで博士課程に進学した私は,そのままではいけないことも自覚していました。どうすれば,彼らと闘っていけるのか,無意識のうちに考え,実践してきたのだと思います。若いときに本物のエリートたちを身近に見れたことは貴重な経験でした。

今や,研究室は異なりますが,私も同様の,文部科学省に支援された特別プログラムの留学生を指導する立場にありますので,15年くらい前の私とは実力も全く異なりますが,その経緯について。

ある特定の課題をやらされれば,いまだに私は彼らには到底かなわないのかもしれません。数値シミュレーションによる構造解析など。

しかし,総合力では劣るとは思ってません。最近,とても仲の良い,カイロ大学教授のハメド先生は,私の3つ上の先輩ですが,今はお互いの実力を認め合って,共同研究も行っています。ハメド先生とは津波による橋梁の被害の数値シミュレーションの研究を行っています。

JR東日本で数年間鍛えていただき,研究そのものが大切なのではなく,実際の構造物が良くなることが大事である,と骨の髄にまで叩きこまれてきました。数えきれないほど酒を酌み交わしながら。

そして,その後も山口県のひび割れ抑制システムや,東日本大震災,東北の復興道路の品質確保,などを経験させていただいて,実社会のための基礎研究,という意識も自分の中で強く,常に思いながら,日常業務を行なえるようになってきました。

また,多くの研究委員会にも所属させていただき,勉強させていただき,自分の中の「無知」コンプレックスも「無知の知」の喜びへと昇華できるようになってきました。

すべての「課題」「問題」がチャンスであると捉え,問題解決のプロセスで実力が磨かれていく。毎日が刺激的で,日を重ねるごとに様々なことが統合されていく。

やはり日本の技術力はすごいと思うし,個々の日本人の能力も高いと思う。日本は課題だらけであるけれど,それをチャンスと捉えれば,これほど鍛えられる環境もそうはありません。

プラグマティズムを発揮すれば,これだけの課題社会であるからこそ,問題解決が日常的に要求されるので,人財が育つ。

15年前は太刀打ちできなかった途上国のエリートたちにも,私のような現代の日本人も決して負けないように,もしくははるかに凌駕できるようになる。

私はこれからも徹底してチャレンジを続けますが,とにかく現実の課題にアタックしていくチャレンジ精神と,個々人がバラバラに格闘するのではなく,プラグマティックに統合を常に意識すること,それが我が国にとって非常に重要でありましょう。 


新体制,2週間終了

2013-04-20 23:47:44 | 職場のこと

4月8日(月)から実質的に今年度の研究室の研究・教育活動がスタートしました。2週間が終了しました。

私はまずは講義をしっかりと回すことが課題でしたが,何とかうまく回り始めたように思います。講義自体はとても楽しく,楽しいと思っているようではまだまだ甘いのかもしれません。講義を通じて最も勉強するのは教師ですから,自分の勉強のために講義を活用する,というのが本来のあるべき姿でしょうね。北大名誉教授の角田先生もそのようにされていた(自分が本当に勉強したい学問を,講義科目に選んでいた)とお聞きしました。 その意味では,私は土木史を本当に勉強したいと思っているので,土木史の講義に立候補して正解でした。自分の信念通りです。

また,「材料と複合」という科目を教え始めて4~5年経過しましたが,そろそろ教科書の執筆を真剣に狙ってみたいと思います。学生たちからの質問をベースに行う講義もかなり板に付いてきており,学生たちの質問のストックはかなりの数になっています。質問とは興味,ですから,私らしい,学生が興味を持ちやすく,かつ本質的な情報をふんだんに含む教科書を執筆してみたいと思います。海外滞在期間中がチャンスです。

研究室の研究活動も,例年の同時期よりは活発に動いているように思います。5月末の東北の構造物の調査が確定し,その準備作業も開始しています。鞆の浦の研究や首都圏防災イベントのミーティングへの参加など,私も外を飛び回って研究活動を展開しています。SWAT研究会の立ち上げ作業も,順調に進んでいます。

今日は土曜日でしたが,ウィークデーの疲れを癒し,家族とのコミュニケーションも十分に取り,かつJCIデータベース委員会のJCI年次論文集用の報告書の原稿を完成させました。やはりこうして取りまとめてみると,巨大戦艦的な研究委員会で,しかし機動力が非常に高く,非常にやりがいのある委員会で,将来につながるいい活動ができたな,と感じ入りました。私が幹事長を務める委員会として2つ目の委員会でしたが,田村委員長を大将に,自律的に活動が展開される,私の理想とするような委員会活動であったと思います。

明日は,家にいると思いますが,家族とのコミュニケーションを大事にしつつ,仕事をもりもりこなしたいと思います。執筆が滞っている国際会議の英語論文,連名で執筆する教科書の原稿の執筆を織り交ぜながら,講義の小テスト・レポートの採点,示方書維持管理編の担当箇所の修正作業,JSCE221津波委員会の委員会報告書の目次構成案の作成などを行います。

22日の火曜日の1限の研究室ゼミでは,私が今年度の研究プロジェクトについて簡単に説明します。これを受けて,今年度の研究活動が本格的にスタートを切ることになるでしょう。

来週は楽しみな国内出張が二件。水曜日は秋田にフライアッシュの勉強に行きます。私の研究室でもフライアッシュの研究を始めます。(混和材料の研究委員会を立ち上げてほしい,という声がちらほらと聞こえてきますが,そろそろですかね。タイミングを見計らって,しかるべき方々と適切に連携して行ないたいと思います)。

金曜日は今年度初めての鞆の浦への出張。昨年度から始めた防災の研究を,今年も継続,展開しますが,金曜日は2名の学生を帯同します。私のフィロソフィーをしっかりと伝えます。手段は学生たちにお任せしますが,何を成し遂げるべきなのか,はやはり私がしっかりと教えるべきと思っています。昨年の赤間君の研究も,後で振りかえってみればそのような構図になっていました。

あっと言う間にGWになってしまいますが,日々を大切に生きていきます。


4連続講義

2013-04-19 08:50:44 | 教育のこと

過去に記憶が無く,今後もめったにないと思われますので,4/18(木)の4連続講義の様子を記録しておこうと思います。

まず,秘書の小林さんに御礼申し上げます。講義資料の準備をしていただいており,バックアップが無いと今学期の講義はとても回せません。

1限:都市基盤演習(学部1年),私は空間把握課題という演習(2回)を担当しますが,簡単に言うと橋の実物のスケッチ,簡易設計図の作製です。もうこの演習を担当して10年目です。昨日,過去の学生たちの優秀作品を1年生に紹介していて,感慨に浸りました。これら優秀作品を,ぜひ土木教室のHPで紹介したいと思います。実行します。

この都市基盤演習は,2限の講義なのですが,私は2限に別の講義があるため,この回だけ1限に変更にしてもらいました。「土木工学」って何なのかほとんど分かっておらず,入学はしたものの建築に何となく憧れる学生が少なからずいる状況ですので,ドカンドカンとたくさん雑談をしておきました。

2限:材料と複合(学部2年),この講義は火曜と木曜で週に2回行う,という新しい試みを中村研究院長とタッグを組んで行っています。ですので,この日が早くも4回目。学生たちが考え方や知識を吸収する効率も高いように見えます。この日は混和材料のフライアッシュや高炉スラグ,膨張材などが主役でしたので,社会背景とともにドカンと情報提供しておきました。

昼休み前半:1限が時間変更だったため,他の授業と重なって出席できなかった4名の1年生のために20分程度補講。みんな意欲の高そうな良い学生たちでしたので,適度にドカンと雑談。

昼休み後半:本来は16:00ごろからの予定であったSWAT研究ミーティングでしたが,大学院の講義と重なって出れないので,昼休みにしてくれ,という学生のリクエストに応えて,昼休みに研究ミーティング。お昼ご飯も半分くらいしか食べられず,3限の講義へ。研究は楽しいです。

3限:構造系力学演習Ⅱ(学部3年),今年は春学期に開講するということで,学生実験のブリッジコンテストと連携を図ることにしました。ですので,例年はこの演習の後半に配置しているコンクリート構造の演習を,前半にシフト。早速,曲げ耐力の計算に入りました。もちろん,実務と関連した様々な雑談もしながら。この演習はTAに手伝ってもらっているので,少し休憩させてもらいました。

4限:耐震耐久設計学(大学院1年など),IMP(インフラ管理学)コースの留学生2名が隔週で受講する,という不思議な状況。どうしても私の講義を聴きたいそうなのですが,IMPコースの必修科目が隔週であり,その隙間に私の講義を聴くそうです。この日はこれらの学生もいたので,9割以上の説明を英語で,残りを日本人学生のための補足説明,というやり方。大地震を想定した実験の動画や,阪神大震災の地震の真っ最中のCGなども使いながら,地震の怖さ,住宅や構造物の耐震設計の変遷の概要,この講義の目的などを説明しました。

16:00~17:00:SWAT研究ミーティングの続き。まだ研究テーマの決まっていない学生もたくさんいるので,研究ミーティングを公開し,興味のある人は誰でも参加してよい,という試みをしています。一対一の指導というのをやめて,集団でのコミュニケーションをもっと増やし,私の頭の中にある様々な情報を,学生たちに活用してもらえるよう,研究指導方法も工夫してみたいと思っています。

疲労しきって,子供たちのお迎えへ。蕎麦屋でおいしい料理とヘギ蕎麦,おいしい日本酒を堪能して,子供たちと散策しながら帰宅。

人生発の4連発講義でしたが,充実した一日でした。


マネジメント

2013-04-17 06:10:48 | 職場のこと

私は企業経営はしたことがありませんので,ドラッカーのマネジメントの本当の真髄は分かっていないかもしれません。が,一事は万事。私の日常である研究室のマネジメントやプロジェクトマネジメントも,本質は経営者のマネジメントと同じでしょう。

人と話していると(特にその方の悩みを聞いていると),この人はマネジメントが上手だな,とか下手だなとかすぐに分かります。

マネジメントができる人は,同じ組織の他の人のことをよく考えている。他の人の役割のことをよく考えている。

マネジメントできない人は,自分のことばかり考えていて,同じ目的に向かって集まっているはずの他の人の役割(毎日,それらの人にだって仕事はあるし,学生にも様々な役割がある)にまでイマジネーションが至らない。自分からの目線ばかりで物事を見ている。

マネジメントできる人は,自分のこと(能力も含めて)を相対的に見ることができる。例えば部下が言うことを聞かないのも,結局は自分のせいです。なぜ部下が言うことを聞かないのか,学生たちがなぜ教員の思うように行動してくれないのか,すべて上司のせいです。自分にどんな問題があるのか,逆に自分の長所は何なのか,自身を相対的に見ることというのは結構難しいものなのでしょうね。

マネジメントする立場にある人ほど,自分の実力と,自分自身に対する評価が一致していないといけない。実力の方が低いと,周囲の方々や部下たちは簡単に見抜いてしまいます。バカにします。そうなるとマネジメントはできない。

私は自分の優れているところも分かっているし,全然ダメなところも分かっています。だから,全部自分でやろうとしません。徹底して人に任せるようにします。 権限を委譲して任せます。

今年度からは週に3日,小林さんに秘書として研究室の活動を支えていただきます。私は私の活動のうちの事務的なもの(部屋や書類の整理も含めて)をほぼすべて,小林さんに行っていただくよう,マネジメントを開始して,実践し始めています。私の仕事だけでなく,研究室全体の活動の中でも小林さんにやっていただくべきものを選択し,また創りだしています。

その結果,昨年度までよりも,私の事務的な業務量は減っています。もしくは,昨年度までできなかった事務的な仕事(居室や書類,回覧雑誌などの整理も含めて)が回るようになってきています。

今年度,研究室が新体制になって「ピンチ!」と思っている人がほとんどだと思うのですが,上記のように私にとっては「チャンス!」です。実際に,私自身はさらに事務的な仕事から解放されるようになり,かつ事務的な仕事をこなす総力はアップし,私は自分の時間を研究,教育に投資することができます。結果,皆がハッピーになればよい。

これが,40歳になったばかりの私のマネジメントです。 


世界トップの研究者

2013-04-17 05:56:13 | 研究のこと

昨日は,16:30から1時間半ほど東大の前川宏一先生とミーティングをさせていただきました。

私の指導している小松君の研究についてのご相談なので,収縮,クリープ,実構造物の時間依存変形,ひび割れの経時変化辺りがキーワードです。

前川先生は私の師匠でももちろんあります。修士論文の指導教員です。非常に恥ずかしいレベルの論文ですが,昨日気づいたのですが,実はこの修士論文でやろうとしていたようなことを,小松君と一緒に格闘しているのだな,と思いました。そういう意味で,かなりレベルの高い議論が飛び交ったと思いますが,私にはとても幸せな時間でした。

前川先生に指導していただいていたころは,全く使い物にならない学生でした。最近は,JR東日本-東大の技術交流会や,先日の4/6(土)には高知で新たに立ち上がったSSMS研究会(岡村甫先生主催)でも,私が自分の研究について発表することが多く,その後の懇親会等で前川先生とじっくりお話しすることも多いです。最近はほめていただくことばかりです。いろんなことを教えていただくたびに,またほめていただくたびに,やる気になるし,パワーアップしていきます。

昨日は,たくさんのことを手帳にメモしましたが,すさまじいレクチャーでした。岡村,コリンズ,レオンハルト,バジャンなどのビッグプロフェッサーの様々な裏話も聞かせていただき,研究の真髄を見せていただいたように思います。すごすぎてあっけにとられました。

さて,小松君の研究はゴールにたどり着くまでにはもうひと頑張り必要でしょうが,方向は合っているようです。前川先生の感覚と,私の感覚もほとんど一致していましたので,後は頑張って作業を進めること。小松君にとっては,その感覚をしっかりと自分のものにしてもらうこと。誰にでも分かるように自由自在に説明できるようになってもらうこと,です。

私の卒業論文(これも駄作)が,「建設工事システムがコンクリート構造物の品質に及ぼす影響」で,指導教員が小澤一雅先生(当時30代前半)でした。これを,私は山口システムや,東北の復興道路でチャレンジしていることになるでしょうか。

不思議なもので,結局原点に戻ってくるのでしょうか。

私は淡白なようで,いいかげんなように見えて,実はしつこくて,徹底的にやる一面も持っていると思っています。時間はかかるかもしれないけれど,「できることをやる(バジャン)」のではなく,「やるべきことをやる(岡村)」でいきたいと思います。

研究の作法とは少しずつ身に付けて行くものです。私のテーマの中にも,まだまだ「できることをやる」的なものが残ってはいます。これは未熟な研究者だから仕方ない。でも,少しずつで良いので,すべてを「やるべきこと」に変えて行きたいと思います。10年近く前の横浜国大に赴任したばかりのころに比べると,かなりテーマも良くなってきたとは思います。 


体重

2013-04-16 18:32:32 | 人生論

現在,体重が62キロ台の後半です。身長は175cm。

ベスト体重は62~63キロと思っております。

4月のこの時期に62キロ台になることはここ数年ではあまりありません。それくらい,講義等の負荷が大きいのだと思います。私の講演をお聞きになったことのある方は想像できると思いますが,あの調子でほとんどすべての講義を行います。

今学期は火曜日に2コマ,木曜日に3or4コマ,というペースで4月,5月を過ごしていきますので,講義だけで相当なエネルギーを消費しているものと思います。

まだこれから体重が落ちて行くかと思いますので,しっかり飲み食いしたいと思います。

体重もそうですが,4月のこの時点で,これほど気合いの入っている状態も,初めてに近いかもしれません。

自分の体から火花が飛び散るような感覚もときどき感じますので,相当な気合いが入っており,周囲に何かを発散しているのでしょう。

小林秘書を初め,研究室のいろんな方々に支えられて,私の刺激的な日常が回っていきます。

さあ,いよいよ,今年度の体制での研究活動が本格開始になります。今年度は,ロケットスタートです。 


現場

2013-04-14 18:24:28 | 研究のこと

不惑にも到達し,だんだんと世の中のことが分かってきたような気もします。

私は「現場」の人間である,と周囲にも言われるようになりましたし,私もそう思い始めています。

「てこの原理」で物事を動かす人間である,とも言われますし,そう思います。

私は頭があまり良くないので,数字や数学を使った方法論は使いません。「勘」で行きます。

以上のようになってくると,私は物事を動かせるし,世の中も変わってくるんだけど,いわゆる「大学の研究」ぽくないので,予算獲得などで苦労するようになってきました。

「あんたは勝手にできそうだから,勝手にやれ」というようになるわけです。まあ,確かに,私の本当にやりたいことは,そんなに金がかからない。旅費と消耗品費くらいあれば,後は世の中のネットワークでも何でも活用して,成し遂げてしまいます。

大型予算をばらまいて,その中からいくつか良い研究が育ってきます,という従来のトップダウンのやり方もよろしいですが,これからはそういう時代ではない。いろんなヒントが現場に転がっているし,現場で格闘する人たちの知恵が連携,連鎖することが大事。私はそっちで行きます。

すべてはバランスですので,私も何でもかんでも現場,ではありません。基礎研究と実践研究の両輪が重要であることも心底納得しておりますので,基礎研究もやります。SWAT研究会も立ち上げるし,高炉スラグの研究は企業からサポートを持続的に受けて細々と継続するし,自己治癒はここにきてサポートも手厚くなってきました。

最終手段?としては,私財を投入して研究するつもりですので,これ以上の開き直りはないかもしれません。

さすがに今年は当たるだろうと思っていた科研に外れて,開き直りました。

大型予算を獲得される方々は,ぜひ世の中に役立つ研究をなさってください。 


怒涛の25年度,講義スタート

2013-04-11 10:07:49 | 教育のこと

しばらくブログをご無沙汰しておりました。その間もいろいろな出来事がありました。昨日の東北出張はまたまた濃厚でしたが,いよいよ,復興道路の品質確保プロジェクトが,実構造物の調査とともにスタートしました。歴史が動くところをずっとど真ん中で見ている感覚で,これはpracticalな研究者としてはたまりません。詳細はまた別の記事で,余裕のあるときに。

さて,今週から講義が始まりました。5月の末ごろまでは,火曜日に2つ(2限「材料と複合」,3限「土木史と技術者倫理」),木曜日に3つ(2限「材料と複合」,3限「構造力学演習Ⅱ」,4限「耐震耐久設計学」(英語)),という状態が続きます。

今日は木曜日なので,2~4限,すべて講義。効率がいいと言えばいいですが,かなり体力を消耗しそうです。

また,火曜と木曜の2限で「材料と複合」を回していく,という新しい試みを,中村先生と連携してチャレンジしますので,これまた大変。毎回小テストをして次回に返す,というシステムなので,火曜日の第一回目の講義のときの小テストを,昨日の東北新幹線の中なども使って採点してました。何とか今日の準備は整いました。

秘書の小林さんにもがっちりサポートしてもらって,これらの講義を回していきます。オムニバスの講義の担当もときどき回ってくるので,スクランブル状態になりますが,全力で頑張ります。

もちろん,意図的に講義を火曜日と木曜日に集中させています。月,水,金を空けることで,研究の出張や外部での講演などにも柔軟に対応できるようにしました。ですので,忙しいのは事実ですが,フットワークも落とすつもりはありません。徹底的にやります。

いろいろと滞っている業務があり,ご迷惑がかかっている場合もあろうかと思いますが,足元が崩れると総沈没ですので,少し猶予をくださいませ。大分固まってきました。9月末までは,土日の休みも無いものと思って,馬車馬のように働きます。 


取捨選択(特に捨てる)と,時間効率の向上

2013-04-01 12:31:30 | 人生論

4月1日の月曜日になった途端,無数のメールを受領するようになりました。

私自身の体はベトナムのダナンにありますが,全く関係なく仕事できるIT環境に感謝です。海外に長期赴任しても,昔よりは悪影響は圧倒的に少ないでしょうね。むしろ,日本にいて忙殺されない方が研究や研究室の学生への教育の面ではプラスの方が大きいかなと思ったりもします。

さて,新年度の外部での講演や原稿執筆などの予定も次々と入ってきておりますが,世の中から必要としていただけることに感謝の気持ちを持ち,自分にしかできない情報発信を心がけたいと思います。

とは言え,9月末までは,これまでの延長戦上にありますので,業務量は増える一方でしょう。取捨選択をこれまでよりももっとはっきりと,特に捨てることをためらわないように。「徹底的に手を抜け」という3年前の岡村甫先生の教えも今こそ大切にしたいものです。

取捨選択を徹底した上で,毎年のことではありますが,今年度前半,さらに求められるのが,時間効率の向上です。3日早朝に帰国した後は,無駄にする時間はほとんど無いと言ってもよい状況になります。体,精神,心のすべての健康を満たしつつ,仕事に対してはとにかく集中して短時間でこなす努力を心がけます。また,私以外の人がやるべき仕事は,私はやらない。とにかく人に任せ,かつ自分のやるべきことには全力を尽くす。

今日は,終日をゆっくり過ごせる家族休暇の最後の日ですが,私は仕事に少し軸足を動かしつつ,家族との休暇を楽しんでいます。

私の周囲の方々が円滑に仕事できるよう, 真っ先に行わなければならない段取りは済ませましたので,少しずつ急ぎでない仕事にシフトし,今日もジムでの長女との運動,プールでのリラックス,読書などを楽しみたいと思います。

JCIデータベース委員会の成果報告(JCI年次論文集),コンクリートテクノ5月号への寄稿(表面吸水試験)の原稿作成も,今日のリラックスした状態で一気に始めたいと思います。 


平成25年度スタート

2013-04-01 07:09:11 | 職場のこと

人間もしくは人間の生活には変化が付きものですが,多くの変化が伴うであろう25年度がスタートしました。

25年度の初日,4月1日は月曜日ですが,ベトナムのダナンで家族で迎えることになりました。4時台に目覚ましで起きましたが,家族はまだ寝ています。日本と時差が2時間あり,日本の月曜日がスタートする前に片づけるべき仕事があるため,4時台に起床しました。

林さんが香川高専に転出になり,スタッフが一名減りました。これは非常に大きな変化ですが,何か月も前から分かっていたことなので,研究室としてはでき得る事前準備はしてきました。一方で,これまで週1日の勤務ということになっていた秘書の小林さんに週3日,フルで我々の研究室をサポートしてもらえることになりました。小林さんにいかに研究室業務をしっかりと支えていただくか,その「活用法」は今日の時点ではほぼ私にかかっていると言って間違いありません。そのために今朝,4時台に起床しました。

研究室の活動は,もちろんメンバー全員が主役であり,それぞれが本分を適切に果たすことで,研究室の総力はある意味でどこまでも向上していく青天井であると思っています。しかし当然ながら,その中で教員の役割は非常に大きく,特に私の役割は研究室のパフォーマンスを支配しかねない影響力があることを,自覚してきたつもりですが,今日のこの瞬間は,改めてかみしめています。

昨年度までの体制は,100点とはもちろんいきませんが,9年半近く同じ3人の教員でやってきましたので,阿吽の呼吸といった面も多く,私も多くの局面で支えられてきました。

今年度の体制は,私の双肩にのしかかる負担がかなり大きいのですが,それをすべて背負いこまず,研究室のみんなが責任感を持って楽しく分担し,その結果彼らも大きく成長する,というようにマネジメントするつもりです。そうすることで,私もこれまで通り,チャレンジを続けることができ,それが研究室の総力のアップに最も重要で不可欠なdriving forceになります。

10月からの件のため,今学期は講義も従来の2倍程度を負担します。講義のすべてを火曜日と木曜日に集約したので,その両日は死闘に近い日になろうかと思います。私の講義は恐ろしく体力を消耗するので。しかも,夏だし。この過程で私も鍛えられるでしょう。

9月末で私も横浜国大での勤務が10年になります。一つの区切りとしてあまりにも見事なタイミングかと思います。

この10年は,仕事面でも,家族の面でも,絶対に生涯で忘れられない,充実した10年であったと思います。その仕上げの半年のつもりで,本日,ダナンにおりますが,スタートを切ります。

次の10年,どうなるか分かりませんが,楽ではないことだけは間違いないと思いますので,心身の健康が第一であることは認識していますので,今日も早朝の仕事を終えた後は,健康的な食事,水泳,ジムでの運動(ジョギング含む)を楽しみたいと思います。

この10年間が私の30代とほぼぴったり重なっていたことも奇遇でしょうが,自分にとっては感慨深いです。

あと一週間ちょっとでいよいよ不惑を迎えます。もう迷ってないけどね。