シンポジウムの内容
タイトル:「迫りくる大地震,日本をどう守るか?」
日時:2013年9月7日(土)13:00~16:00
場所:横網町講演・東京都慰霊堂 (300名程度収容可能。参加費無料。問い合わせは細田まで。)
コーディネータ:細田 暁(横浜国立大学)
13:00~15:00 講演4件 (藤井聡、細田暁、岩城一郎、赤間遼太ほか)
15:00~16:00 パネルディスカッション
シンポジウムの趣旨
防災は我が国にとって根幹的に重要です。ですが,我が国にとって最も大切なことは,日本人が「本来の日本人の生き方・考え方」を取り戻すことです。日本人が本来の『意識』を取り戻すことです。そういう意味では,すでに変化は生じています。もちろん,3.11の大震災に続いて,これから悲劇的になるかもしれない大地震,津波,火山の噴火などが起こるでしょうが,それでも,日本人はこの国で生きていきます。
防災は「手段」と思っていますが,非常に重要な手段です。かけがえのない命を守り,我々日本人がどのような国土に住んでいるのかを良く知るきっかけとなる手段です。しかも,我が国のレジリエンス(しなやかな強靭性)を高めつつ,デフレ・雇用の問題も解消する,我が国が力強く歩み続けていくために,必要不可欠な手段です。
このシンポジウムでは,土木分野での防災・インフラの高耐久化の取組みについて,最先端で実践的に活躍する技術者,研究者,市民に話題提供いただきます。その上で,パネルディスカッションも行い,聴衆の皆様と日本の進むべき方向について考えます。
講演者紹介
(1) 藤井 聡 教授(京都大学,内閣官房参与)による,「国土強靭化とデフレ脱却」
我が国の置かれている危機的状況を近現代史の流れとともに分かりやすく説明し,National Resilience(国土強靭化,国家強靭化)の具体的なビジョンについて,防災,防災教育の重要性とともに熱く,面白く語ります。
(2) 岩城 一郎 教授(日本大学,熱血ドボ研2030のリーダー)による,「我が国の膨大な既存インフラの性能確保,市民と協働のシステム作り」
今すぐにでも大地震が来る可能性も指摘されていますが,防災とは,我が国が続く限り取り組まなければならない宿命です。そして,これまでに整備されてきた国民の活動を支えるインフラには,すでに深刻な劣化に至っているものもあります。財政,人財不足の問題にも真正面から向き合い,市民と協働してインフラの性能を確保するビジョンを熱く語ります。
(3) 細田 暁 准教授(横浜国立大学,熱血ドボ研2030メンバー)
「防災授業を通した日本再生」
「驚嘆する,鉄道構造物の耐震補強の実績」
防災は目的ではなく,手段である。何が目的であるか。我々日本人が,住ませていただいている日本という国土について興味を持ち,勉強し,郷土愛を持つこと。そうなるためのきっかけが防災である,と考えています。小中高の授業で新たな防災授業を展開する徹底実践主義の研究者が熱く語ります。
また,鉄道構造物の地震に対する安全性は年々高まっており,真のエンジニアたちの責任感と地道な努力が無ければ,3.11の東日本大震災では,新幹線構造物は,想像を絶するとてつも無い被害をこうむっていました。驚嘆する耐震補強の実績について分かりやすく説明します。
(4) 赤間遼太君(横浜国立大学卒業生),渡辺啓太君,伊藤愛梨さん(横浜国立大学4年生)による研究発表,「鞆の浦の防災力向上と地域活性化のための実践的研究」「命を守る家具固定の実践と普及」
皆さん,「鞆の浦」って知ってますか?日本の歴史,文化,街並み,国宝級の人情が詰まった広島県福山市の港町です。「崖の上のポニョ」の舞台としても知られています。鞆の浦の地域で支える介護は日本の最高レベルのものです。
この鞆の浦も,過疎高齢化,家屋の老朽化などに直面しており,防災力向上と地域の活性化が強く求められています。この難題に,大学4年生が果敢にチャレンジしました。日本中がこれから活性化していく必要がありますが,その大きなヒントになるかと思います。我が国の若者のアイディアの斬新さ,エネルギー,可能性を感じてください。
赤間君の後を引き継いだ渡辺君,伊藤さんに鞆の浦の防災研究の最新情報と首都圏での展開についても紹介してもらいます。