私もコアメンバーを務める私的勉強会「土木アカデメイア」で出版企画が持ち上がっている。その中で私も執筆したり、座談会に登壇したりするわけであるが、私の執筆部分を書き始めた。この後、メンバーで議論し、内容もブラッシュアップされていくと思うが、現時点での私の執筆担当箇所の1.はじめに、を以下に掲載しておきます。。。
担当箇所のタイトル案:「豊穣な社会とつながり」(仮題)
1. はじめに
私は,2023年4月に横浜国立大学に設立された「豊穣な社会研究センター」のセンター長を務めている。元々は,土木工学の研究者・エンジニアであり,コンクリート工学を専門としている。豊穣な社会とは何か,どうしてコンクリート工学の研究者が豊穣な社会研究センター長を務める必要があるのか,それを「つながり」という観点で論じ,私たちの目指すべき方向性を探ってみたい。
上記,豊穣な社会研究センターのHPのプロモーションビデオなどで,私は「すべての人々が与えられた資質と能力を充分に活かし、将来世代のために夢と希望を抱いて耕し続ける社会。それが、私の考える豊穣な社会です。」と説明している。これは私の考えであり,豊穣な社会とは何かを各自が考え,議論すること自体に意義があると思っている。私の考えは,宇沢弘文の「社会的共通資本」の冒頭部にある「ゆたかな社会とは」についての結論的な考えを参考にしている。最初にこの本を読んだときは,冒頭部のこの結論に度肝を抜かれた。その後,大学の講義や各所での講演で宇沢の「ゆたかな社会」を引用している。
豊穣な社会研究センターの目指すところは何ですか?と聞かれることがよくあるが,「目指すのは豊穣な社会です」と答える。簡単である。理由は?と聞かれるとこれまた簡単で,「どんどんと豊穣な社会からかけ離れて行っているからです」と答えます。なぜ,我が国が豊穣な社会からどんどんとかけ離れ,転落しようとしているのか,まず私はそこに興味がある。すなわち,どのように現状を把握し,分析するのか,ということである。なるべく正しく現状を把握し,分析し,改善のために必要な適切な対策を講じる。工学の研究者としても当たり前の作法である。
豊穣な社会に近付くためには,質の高い投資が不可欠であり,教育への投資,社会活動を支えるインフラへの適切な投資などが不可欠である,というのが私の考えだ。ここで,豊穣な社会と現代インフラの大半に使われているコンクリートとのつながりが出てきた。この後,豊穣な社会からかけ離れていく我が国の現状分析,コンクリートの研究で私が学んできたつながりの重要性,つながるという根源的な現象についての考察,そして私たちの社会が豊穣な社会へ近づいていくための方策,について論じてみたい。
2. 豊穣な社会からかけ離れていく我が国の現状分析
3. コンクリートの研究で私が学んだつながりの重要性
4. つながるという根源的な現象
5. 豊穣な社会へ近づいていくために
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この後の原稿も書き進めます。
早く出版されないかな~。