社会心理学に興味を持ち,山岸俊男先生の本を4冊購入し,最初に「日本の「安心」はなぜ,消えたのか」を読みました。
「武士道」「品格」が日本をダメにする,とサブタイトルであったので,どんな内容なのだろうと興味を持って読みましたが,よく出来た本で,違和感とともに興味をひきつけられ,最終的には大部分納得しました。
我が国は「安心社会」から「信頼社会」へと移行すべき時期に入って久しい。「安心社会」での行動原理に縛られている日本人が大多数であり,信頼社会で力強く生きていく術を身につけていない。身につけるために,「武士道」「品格」は最悪の教育である。(なぜか,は本をお読みください)
私自身は,信頼社会で生きていくのに長けた,本書で書かれている「高信頼」の人間であると思います。「高信頼」の人は,他人を信頼できる。しかし,人が信頼に足るか,見極める能力にも長けている。その能力は,経験に裏付けられている。他者と協力関係を築こうとする中で,多少は失敗することもあるが,築くことでの多大なメリットを知っているので,失敗を気にしない。なので,経験が豊富になり,人を見る目が養われる。
「高信頼」な人間となるきっかけは,東大コンクリート研で与えられたと認識しています。そこの文化で生き残っていける人は,「独立」している。特定の価値観の中で権威に縛られる世界とは無縁。どんな個性でもよいが,自己主張の無いものは認められない。特に岡村先生が教授のころは,そういう「独立」を尊ぶ雰囲気に溢れていたと思います。
また,「高信頼」の「独立」たる人間となるための知恵として,「7つの習慣」が非常に役立ちました。他人がどう思うかが大事なのではなく,自身の原則をきちんと持ち,原則に従った生き方をすることが「独立」とほぼ同義であると思います。原理ではありません。原則です。
そして,山岸先生の本を読んでいて,ほとんど納得できましたが,唯一に近い,しかし非常に大切な違和感は,私は欧米の「信頼社会」に憧れない,という感覚でした。欧米の「信頼社会」のさらに上に行くために,武士道,品格,が必要なのではないか,と感じています。上でも,下でもどっちでもいいのですが,そのどっちでもいい,というのが武士道かなと。欧米と争う必要など無いし,争いなどから無縁にもっと高貴でありたい。
山岸先生曰く,武士道は「統治者」のための教養である。私もそう思います。信頼社会ですいすいと高信頼で生きていける人間たちが,そういう方々は,Win-Winなど当たり前,という方々ですが,武士道,品格も身につけておいて損はない。信頼社会も,安心社会も,どちらでもやっていける教養を,リーダーは身につけておくべきであろう。経済発展を続けてきた我が国が,もう一度焼け野原になっても,力強く生きていくために,そのような教養が必要であろう。我が国は焼け野原になるリスクも非常に高い。
我が国の表舞台で「ご活躍」されている方々の多くは,信頼社会で生き残っていくスキルを持っておられるように思えません。 旧来の安心社会での行動原理ばかり目に付きます。ある意味,論外。
信頼社会でバリバリと生きていける人たちが今の日本を引張り,そして単なる欧米の模倣でなく,さらにその先に行くために,武士道のたたずまいも奥に秘めた高信頼の日本人たちが多く出てくることが望ましいと思います。
今日はシンガポール休暇の実質的な最終日で,家族で満喫しています。
ゆったりと朝食した後,15:00前までプールで遊んでました。長女は初めて25mを泳ぎ切り,それで自信を得たのか,その後1000m以上泳いだようです。最初の25mは現時点でのベストフォームで。その後,1000m以上は彼女のリラックスフォームで。Lifeguardの人が,「Is that your daughter ? Can she swim ?」と心配そうに寄ってきましたので,おぼれているように見えたのかもしれませんが。
私は今日のプールサイドでは,本当に自分のしたいことをやってました。
水泳(クロール,平泳ぎ),子どもたちとプールでじゃれ合う,土木学会論文集の執筆,iPhoneで音楽を聴く,「海辺のカフカ」を読む,マンゴーマルガリータを飲む。それらのコンビネーション。
今日はJCIの年次論文集の査読修正の締切りですが,最後のブラッシュアップの指導も,プールサイドでできました。すごい時代ですね。
「海辺のカフカ」の上巻が終ろうとしています。すごい小説です。小説とは,作家の世界観,人生観の凝縮された作品だと思いますが,今の私が読むと,「海辺のカフカ」に近代日本の問題点,戦争の本質などがえぐり出されており,人間としてのあるべき姿が高らかに述べられているのもキャッチできます。すごく面白い。そして,そのあるべき姿は,私の感性ともよくマッチします。だから面白いと感じるのでしょうが。
宮本輝の世界観,人生観もとても好きです。一言で言うならば,「まともな日本人の大人の」人生観,世界観,でしょうか。
今回の休暇では,本当に読みたい本を読みたいときに読んでいます。読書の趣味も,この数年で毎年変化していっています。自身が変化していることの一つの証拠かな,と感じます。
土木学会論文集の原稿の2章が「山口県のひび割れ抑制システム」であり,システムの仕組みと,それによるひび割れ抑制効果を論じる章で,もうすぐ書き終わります。連名者に見ていただいて添削を受けます。3章,4章が表層品質についての章で,今年度の研究成果を反映させます。5章が,ひび割れを抑制することの意義,で私がこれまで山口県のシステムで勉強させていただいたことを思い切り述べます。
帰国後,週末ですが,この論文の執筆と,台湾の国際会議の論文の執筆で過ごすことになりそうです。
休暇の過ごし方や,休暇中に考えること,休暇中の精神状態なども,以前とは変わってきています。
以前の30代の前半は,日常を生きることが精一杯。仕事も大変だし,育児も家庭も一所懸命やっていたので,アップアップ。家族での休暇が大事なのは今と変わりませんが,当時は休暇が心待ちで,全力の日常から解放される非日常という時間でした。結果,リラックスしすぎてバランスを崩すこともありました。
今回の休暇はもちろん楽しみでしたが,非日常という意識もあまりしません。朝食後に子どもたちとプールに行って泳いで遊び,プールサイドでジンジャーとコショウのきいた(初めて!)bloody maryを飲みながら,海辺のカフカにのめりこむ,というのも冷静に考えれば非日常かもしれないけれど,自分に与えられた環境でやりたいことをやっているだけ。別にこの状況を普段から追い求めているわけでもなく,その状況に二度と戻れないとなっても後悔も何もない。
昨夜はシンガポールで奥さんの親友家族とディナーをして,大いに笑って,悩みも聞いて,子どもたちも触れ合って,とても良い時間でした。同年代の子どもと触れ合う次女の様子にびっくりしました。家族の中で甘えた様子を見せている理由も分かった気がしました。新発見。
多少,急ぎの仕事は適宜片付けながら,土木学会論文集の原稿も昨日から書いています。山口県のひび割れ抑制システムについて。なかなか書くのに苦労する箇所もあるけれど,この論文を田村先生や二宮さんらと連名で出すことで,私と山口県の出会いの第一ステージが完結すると思っています。やはり書いていて楽しい。
今夜は家族でナイトサファリへ。子どもたちが大はしゃぎするのが目に浮かぶようで,それもまたたのし。
明後日には帰国しますが,帰ることも残念ではない。飛行機の中の時間も楽しむだろうし(機内食をベジタリアンに変えてもらった),戻ったらまたいつもの刺激的な日常が待っているでしょう。新年度は教務委員なのでエネルギー全開で行かないとね。研究室にも新入生たちが期待を膨らませて入ってくることでしょう。今年は,私も全力で行きますよ。
悠々自適というのが合っているのか分かりませんが,昨年5月に読んだ「老子の無言」の影響が大きいように感じます。
それでは,これから少し集中して,論文の原稿執筆の時間。 家族はプールから帰ってきてシャワーを浴びています。
家族休暇でシンガポールに来ています。先々週に近くのインドネシアに全く別件で来ていたので少し不思議な気分ですが,家族でくつろいでいます。フルーツがおいしい,Mandarin OrientalのSu○○eルームで非常に快適,書斎机が抜群でインターネット環境も良いので仕事も進む,花粉が無い,など快適な環境です。
今回は特に娘たちがはしゃいでいます。奥さんも日常の激務から解放されて楽しそうです。私は仕事と日常の区別が無いような人間なので,私のことはどうでもいいですが,家族ですべての食事をともにして,たくさん会話することは,我が家にとってとても大事な時間です。
プールや,部屋で,相当にまとわりついてくる長女に,その場では茶化すような言葉を言ってしまいましたが,彼女たちの気持ちもよく受け止めて,普段の十分でないかもしれないスキンシップを大事にしたいと改めて思いました。
今夜は,奥さんの親友の家族がシンガポールに駐在しているので,ディナーをご一緒。
私も急ぎの仕事が片付きつつあるので,論文執筆,読書,と一番やりたいことに,自分の時間を費やします。山口県のひび割れ抑制システムの論文は,帰国するまでにdraftのver.1を固めたいと思います。
昨日は,JCIデータベース委員会のWG2でした。この委員会では私は幹事長を務めています。私が本当にやりたいことをやる委員会ですので,私にできるすべてのことをやります。
普通の研究委員会だと,WGを開催すると,WGのメンバーだけが集まって議論するのですが,この委員会は自分の所属していないWGへのオブザーバとしての参加も歓迎しています。
昨日のWG2もオブザーバだらけ。山口県の職員の方も2名,来られていました。懇親会で皆様口を揃えて言っておられましたが,「この委員会は本当に勉強になる」。私はそのようにマネジメントします。先ほど,委員会の全員にお送りしたメールが以下です。
「細田 暁です。昨日はありがとうございました。
非常に充実した議論,勉強ができて幸せな時間でした。山口,長崎の取組みもそうですが,本物の取組みからはいつも多くを学ばせていただいております。太田先生の香川での取組みには心から感銘を受けました。
青森での阿波先生らによるネットワークの設立,岩城先生の福島の市町村における取組みの進展,にも感嘆し,今後への期待が大きく膨らみました。横浜市の取組みもご紹介がありましたが,私も横浜市と連携して展開していきたいと改めて思いました。
世の中,足の引っ張り合いや,虚事,空事ばかりですが,本当にいいものをいい,と認め合い,学び合う姿勢が大切だと思っております。相互に依存するのではなく,独立した人たちが認め合って学び合うポジティブスパイラルシステムの構築に,私も全力を注ぎたいと思っております。
夜遅くまでポジティブな夢の広がる話ができて楽しかったです。
委員会は2年目に入っていきますが,どうぞよろしくお願いいたします。」
この委員会の中心メンバー(たくさんいるし,どんどん増殖中)や,招待講演でお招きする方々(最初は招待ですが,そのまま仲間になっていただきます)は,本当に素晴らしい活動を展開されています。心から素晴らしいと感嘆しております。
そういう,これまで必ずしもスポットライトを正当に浴びていなかった本物の方々,取組みが大連携していく,というのがこの委員会です。
昨日のWGでも申し上げましたが,その目的は「人材育成」です。人がすべてです。ひび割れ抑制,品質確保,維持管理システムの構築,などは私から見ればすべて「手段」。
本物の方々と一緒に仕事をさせていただける,というのは本当にありがたい。感謝の気持ちで一杯です。何一つネガティブな議論が出ない。私自身も育てていただいています。
私も,本物にならないと。本当の本物になるつもりで,研鑽いたします。
コンクリート工学の分野の専門用語です。"bleeding"です。
コンクリートの構成材料の密度の違いなどにより,固まる前のフレッシュコンクリートで構成材料の分離が生じ,特に水が上部へと移動する現象です。"blood"の動詞から来ていますね。
これが構造物を造るときに生じるわけですが,供用中の劣化現象に大きく影響をします。
実構造物で,しかも全国各地の構造物で,ブリーディングが適切な範囲に収まるようにすることは,かなり難しいことです。全国各地で使われている材料が異なり,施工される環境条件も異なり,構造物の形状・寸法も異なり,施工する人も異なるからです。
この問題に真正面から切り込んでいる人はいないように思いますが,山口県のひび割れ抑制システムの研究の延長上に,この問題の解決策があるように,私は思っています。
みんなできない,難しい,と言う。であれば,やった方がよい。やってやろう,というゼネコンの同志もいます。
以前,私は合成短繊維の研究をやっていました。ブリーディングが抑えられるというのが私の好きな短繊維の特長の一つでした。ブリーディングについては,自分たちでも実験したり,マニアックな研究ものめりこんでやってきました。それらの経験も生かされることになるでしょうか。
これは,ゼネコンの方とやった方がいい研究かと思います。学位論文になる研究と認識していますので,焦らず,世の中が変わるように,次回の示方書の改訂に反映できるように,研究を進めたいと思います。
これも,技術だけでなく,マネジメントが大事なテーマだ。
来年度は,久しぶりに教務委員を務めます。
今日の午前は,旧教務委員の鈴木先生からの引継ぎでした。
私は2003年の10月に赴任して,2004年4月から教室の仕事を担当するようになり,その後2012年度までの9年間で,入試委員を3回,教務委員を2回務めることになります。
教務委員は学部生たちの勉強関係の面倒を一手に引き受けるので,作業量が多く,教室の業務の中でも1, 2を争うような重労働です。2005年度に初めて教務委員を務めたときは,分からないことだらけで,結構ストレスを感じていたように思います。
今回は,ほとんど知っていることでした。初めてやる作業もちょっとありますが,耳学問で聞いていたことなので,ポイントがすぐ分かり,引継ぎ時にこちらから質問して,大体の要領を得ました。
経験する,ということは仕事が楽になる,ということでしょうか。
4月の冒頭から教務関係の仕事が多々詰まっておりますが,早め早めのアクションで,私自身も新年度のスタートをスムーズに切りたいです。
昨日は胃腸の調子がよくなく,食欲もなく,気分も優れませんでした。
娘二人を大学に連れてきて,急ぎの仕事を少し処理しようとしましたが,オフィスで遊びまわってどうにも集中できず,完了せずに退散しました。オフィスに置いてあるホワイトボードにマジックで落書きをしていたのですが,次女は自分の手や顔にも書き始めて,その時点で強制終了・・・
おまけに帰宅途中の電車で寝てしまい,結局家まで担いで帰ることになりました。かなり重いので,私も疲れました。帰宅後,私と次女は昼寝。
次女はそのまま朝まで13-4時間寝て,夕食は私と長女で。どうにも食欲が湧かないので,長女にのみ食べさせて,お風呂にも入らずに二人で本を読んで就寝。こういう日もあります。
今朝は,5時過ぎに起きて,長女のお弁当作り。給食が終わっているので,お弁当が必要です。材料の買い物をしてなかったので,冷凍庫にある食材なども駆使して,それなりのお弁当を作成。明日もお弁当なので,今日はお買い物をして帰りましょう。
昨夜はお風呂に入れなかったので,6時過ぎから三人で朝風呂。「朝風呂は久しぶりだよ」などと長女がのたまわっておりました。
明らかに激務時とは異なる時間の流れ方となっておりますが,こういうときには,また自分自身を冷静に見つめることができます。
宮本輝の「慈雨の音」を読み始めました。「流転の海」シリーズの最新作で第6巻です。このシリーズや宮本輝の作品は私はとても好きです。
人間とはこういうものだ,人生とはこういうものだ,という教訓が主人公の松坂熊吾の言葉として語られます。納得できるものばかりです。
4月に私も39歳となります。 不惑,にはすでに精神的には到達しているように思っていますが,来年度を元気に展開していくために,まずは自分自身の「幅」を広げていくことが必要と思っています。「度量」と言い換えてもいいかと思います。ますます時代が転換していくでしょうから,どーんと構えておく必要を感じるからです。
読書は相変わらず興味の赴くままにたくさん読みますが,上記「慈雨の音」などもそうだし,村上春樹もたくさん読みそう。古典にもようやく本当の興味を持ち始めたので,どんどんとチャレンジしたいです。
そして,23年度は,自身の専門分野に関する勉強が少しおろそかになったように感じているので,24年度は新しく入ってくる学生たちも巻き込んで,専門分野に関する勉強をしっかりとやりたいと思います。途中で止まっているT.C.Powersの"The Properties of Fresh Concrete"の勉強も再開したい。 「幅」も大切だけど,「深く」とか「地に足のついた」とかもとても大切。
昨日,インドネシアから帰国し,長女を11:30にお迎えに行きました。長女の小学校の卒業式の日で,1年生の出番はすぐに終ってしまったからでした。
二人で「デートだね」と言いながら手をつないで,よく行くフランス式のクレップ屋さんへ。楽しくランチをしました。
疲れが溜まっていたので昼寝をして,夕食の準備。野菜たっぷりのスープと,特製チャーハンを作りました。次女も保育園から帰ってきて,一緒に夕食。子どもたちは長期出張が連続した父親とのスキンシップを大切にしてくれました。絵本を数冊読んで,仲良く就寝。
奥さんは,我々が寝る直前に帰宅。今朝から2泊で香港へ出張に出かけていきました。このような家庭で子どもたちもよく健全に育ってくれているとありがたく思います。
今日は休日なので,娘二人を連れて大学へ。2時間くらい仕事をする予定で,娘たちは大学でランチを食べたり,遊んだりする予定。
秋学期の激務は終了しました。肩痛を除いて,心身の調子を一度も崩すことなく駆け抜けてきたイメージです。肩痛も,良い整体と出会って完治しました。
普段がいろんな方々と交流しながら疾走している感じなので,立ち止まると妙な気分になります。でも,この時間も大切。また来年度,全力で疾走できるように,心身をリラックスすることと,研究・教育について自由にビジョンを描くことをやりたいと思います。もちろん,論文の執筆も。
23日は卒業式。めでたい日なので,夜遅くまでお祝いが続きますが,私も楽しませていただきます。
26日からは家族で旅行。家族水入らずのとても大切な時間です。今年は,シンガポール。
私は,日本が素晴らしい国だと思っています。国土も素晴らしいけれど,日本人が素晴らしいと思っています。
現状は危機的かもしれないけれど,必ずや日本は復活すると信じています。大きな自然災害を受けるほど,人災を受けるほど,日本人は本来の強靭さ,しなやかさを発揮して,復活すると信じています。
藤井先生に影響されて,村上春樹さんの本を読んでいますが,次の次に読むのが「海辺のカフカ」。この中で,世界一タフになる,少年が描かれるとのこと。読んでなくてすいません。
イチローは世界一タフでしょう。藤井先生も世界一タフたる人物になりそうです。いよいよ,バブルを社会人として知らない世代が,本領を発揮し始めました。彼らは手を抜くことをしりません。上司に盲目的に従う,という考えを全くしません。組織が守ってくれないことも前提条件。とにかく,自分が独立すること,独立した人間の連携で,世の中がよくなっていくことを知っています。もちろん私もその一人。
今朝,インドネシアの見学会から帰ってきました。今,NEXに乗っています。
見学会で学生たちとたくさん話をしました。改めて,今の私は学生たちにかなりの影響を与えていることを認識しました。5年くらい前と比べると,その影響の度合いがかなり大きくなっているようです。一つは,私の実力の向上。もう一つは,時代の変化で学生たちの迷いがさらに大きくなっていること,と見ました。
今の大学生たちは,素直なので,覚醒した我々の世代の強烈な教育を素直に受け止めています。おそらく,たくさん勉強して活躍するでしょう。
でも,申し訳ないけれど,本当に日本を復活させるのは,その世代ではなく,今の小学生前後くらいの世代かなと思います。覚醒した我々の教育を幼少から受けている世代。彼らは,素直,というか,破天荒に育っていってもらいたいです。三つ子の魂何とやら。幼少教育は本当に大事。その頃から,覚醒した世界一タフを目指す我々の教育を受けた世代は,本物の世界トップを目指す集団になるでしょう。
我が家でも,長女は論語を一緒に読みました。次の四月から小学校の二年生ですが,私と一緒に勉強を継続します。
彼女らの世代が,我が国が近代化の過程で失った,日本人の美徳,武士道など,すべてを取り戻す世代になってほしいと心から思います。すべてを取り戻すのはもう少し時間がかかるかな。
彼ら,世界一タフたる世代へ,バトンタッチしていくことが我々の,私のミッションなのかな,と思います。
3/14早朝成田発~3/19の早朝成田着で,インドネシアの見学会を実施しました。今回のは見学会というよりは,学生もいましたが出張と言ってよいでしょう。素晴らしく充実した「見学会」となりました。もちろん,いろんなものを見て学びましたが,大学とのワークショップを二つ,1つの大学とはMoUも締結しましたので。
上の写真は,見学会の最終版,バンダ・アチェの津波避難ビルの屋上での写真です。バンダ・アチェは2004年12月26日の地震,津波で17万人が亡くなったエリアです。津波の悲惨な状況,日本では決してオープンにされないであろう死体の写真なども学生たちも見ました。それでも,力強く復興しているアチェを見て,多くを感じたと思います。アチェ県は,内戦のひどいエリアで,信じがたいような残虐行為を受けてきたエリアでもありますが,津波が内戦を洗い流して,Open Upし,今や観光地として多くの人が訪れるまでに至っています。戦争は「おろか」かもしれないけど,自然には逆らえない。人間のおろかな戦争を,自然が怒ったのでしょう,と私が言うと,現地のいろんな方が全く同意していました。
東北の被災地も,復興へは長い道のりですが,バンダ・アチェにもあるような津波Museumもできるでしょうし,世界に津波の教訓を伝えていく発信地になるはずです。そして,東北の豊かな自然,素晴らしい海産物に世界から訪れる人々が魅了されるでしょう。そのように復興していただきたいです。不謹慎かもしれませんが,原発のエリアも,50年とかもっと長い年月が経てば,広島や長崎と同じように,世界への強烈なメッセージの発信地になるはずです。バンダ・アチェにはぜひ訪れてほしいと思います。Civil Engineeringのワークショップを小規模で開催することを計画しようと思いますので,私の仲間の方々もぜひ一緒に行きましょう。日本で留学した研究者がインドネシアには非常に多くいて楽しいですよ。
バンダ・アチェの前には,バンドンを訪れ,バンドン工科大学(ITB)とワークショップを実施しました。これまた非常に充実しており,我々を含む研究者の発表も良かったですが,双方の学生たちも発表をして,ITBの女子学生たちの素晴らしいパフォーマンスに我がYNUの学生たちは圧倒されておりましたが,良い刺激を受けたでしょう。YNUの学生たちも積極的に交流しており,ほほえましかったです。ITBは施設も素晴らしく,研究もしっかりやっている様子が伝わりました。どんどんと日本に留学してもらいたいです。日本に留学したいという希望を持っている学生がかなりいました。国策として,アジア,アフリカの優秀な学生たちを日本に呼びましょう。文科省,しっかり我々の活動をサポートしてくだされよ。
今回は,私,佐々木先生(バンドン),鈴木先生(アチェ)が引率しました。教員も発表したし,アチェのTDMRC(津波防災マネジメント研究センター)との交流協定の締結では,クリエイティブなディスカッションを英語でしている状況など,教員が英語で自在にコミュニケーションしている姿を長時間見て,学生たちは刺激を受けたようです。学部生だと,普段教員が英語を使っている姿を見ないそうなので。
いろんな方々に支えられて,今回の見学会も非常に充実し,楽しいものとなりました。感謝申し上げます。
やっぱり,いいですな。見学会。H24年度,研究プロジェクトでさらに忙しくなりそうですが,見学会の担当としても頑張りたいと思います。
成田空港にいます。学生10名を引率して,インドネシアに行ってきます。
ジャワ島のジャカルタ,バンドンと,スマトラ島のバンダアチェです。いろいろとサポートいただきながら,見学会の段取りをしてきましたが,一応,何とか形になりました。私自身もインドネシアにまともに行くのは初めてなので,楽しみです。(ビンタン島には行ったことあります)
一番若い学生だと20才近く離れているかと思いますが,楽しくやってきます。感性の豊かさでは負けないつもりですので,私もいろいろと感じ,学生たちとたくさん話して,有意義な見学会にしたいと思います。
ただ,今朝のNEXでiPhoneを忘れる,というハプニング。非常に寝不足,しかも2時に起床して突貫でいくつかの仕事を終えて出発したので,NEXではボケッとしていました。窓際の手すりに置いていて,忘れるだろうなーとうたた寝しながら思っていたのですが,その通り忘れました。
幸いに,空港駅に行くと忘れ物として届けられていて,すぐに回収できました。とてもありがたかったです。
大切な学生たちを引率する教員として,しっかりしなさいよ,という出発前のお告げだったのかな,と思います。
現地ではミニバスにも乗るし,分乗してタクシーにも乗るし,国内線(Lion Air,バスのような飛行機という噂)にも乗ります。バンドン工科大学,バンダアチェのシャクアラ大学も訪れてワークショップをやったり,シャクアラでは部局間交流の協定も結んできます。私は両方の大学で東日本大震災などについてプレゼンをすることになっています。
まずは,無事に学生たちを日本に連れて帰ってくること。それが目的です。トラブルはあるかもしれないけど。
先週の国内出張,5泊6日はすごく刺激的な旅でした。
9日に長崎で熱い夜を過ごした後,かなり疲れも残った状態で,早朝に長崎を出発し,かもめ,のぞみと乗り継いで新山口に10:05に到着。山大の中村先生にお迎えに来ていただいて,会議の会場へ。10:30から,JCI中国支部の委員会で,山口県のひび割れ抑制システムの高度化の議論でした。
2012年8月に,新たに,コンクリート構造物の品質確保指針,というものが制定されます。ひび割れ抑制システムが高度化されるわけです。
その議論でした。私もクリエイティブな議論のためにいろいろと発言しましたが,よい議論ができました。皆が生き生きとしていました。
これが本当の最後の仕事でしたが,クリエイティブな議論は楽しい。もはや,山口はホームグラウンドの気分です。みんな知ってるし。
今回の出張ではいろんな方に出会いました。最初が岡村甫先生で,改めていろんなインプットをいただきました。金曜日には藤井聡先生と初面会で,かなり影響を受けました。私と5歳違いですが,さすがにこれは(現時点では)かなわないな,と感じました。
私もそれなりには勉強してきました。それを藤井先生も分かっていただいたので,さっそくやりとりが始まって,技術的な質問も受けているし,藤井先生のレジリエンス研究ユニットの学外協力者になってほしい,と依頼を受けました。こうやってまた広がっていくのでしょうか。
藤井先生のインプットは強烈で,私ももっともっと勉強したくなりました。さっそく村上春樹を読み始めました。私の歴史観も,少し修正が入りそうです。
それでようやく本題ですが,でもやっぱり私は自分のやり方を変えない,と改めて思いました。自分のやり方でよい。藤井先生がすごくても,真似をしても仕方ない。自分の血肉になる情報,てこ入れのための情報はどんどんと取り入れて,勉強の仕方を「改善」はしていくでしょうが,「改革」はしません。
ほんの一時華々しくやることが目的ではありません。確かに今は,我が国は真の危機に立っていると思います。ここで前面に出て行く人をバックアップすることは私にもできるので全力でいたします。でも,これまで通り,日常をしっかりと生き抜くこと,感動しながら生きること。何が起こっても対応できるように実力をつけておくこと。それが大事です。そうやって,「影響の輪」を広げていくことが,これまでの私のやり方だし,だからこそ,このタイミングで藤井先生ともお会いできたのだと思います。
というわけで,今日,明日と後期入試ですが,明後日からはインドネシアに学生を引率して行ってきます。ほぼ段取りが整いました。
3月6日は一日高知にいたのですが,昼前から安芸に向いました。目的は一つ。
小松又十郎さんというおじいさんに会いに行きました。今回でお会いするのが2回目です。
1回目は,私が27才だった11年前の3月,イタリアへの一人旅の帰り,ローマから成田への飛行機の中で隣になり,とても楽しくおしゃべりしました。
小松さんが高知の方,ということで,私の師匠が土佐高出身,東大野球部最多勝ピッチャーの岡村甫先生,ということを話すと,もちろん小松さんは岡村先生のことを知ってました。そこから話が弾んでいきました。小松さんは絵を描くのがお上手で,絵を描く仲間たちとイタリアを訪れた,という話でした。
おそらく住所など連絡先の交換もしていたのでしょう。その後,年賀状のやり取りが始まりました。毎年,とても素敵な絵(出漁,などの絵が多い)が付いた年賀状を送ってくださり,私も家族の写真が付いた年賀状をお送りし,ほんの一言ですが添えて,交流が細々と続いていました。
高知には時々出張に行きますが,なかなか安芸にまで足を伸ばす時間が取れず,一度お会いしたきりでした。
今回はチャンス!と思い,年賀状でも安芸に行けるかもしれません,と書いてお送りしましたが,直前までそれ以上のやり取りはありませんでした。
出張に出かける前日の4日,小松さんのお宅に電話しました。奥様と思われる方が出てお話しましたが,小松さんは入院されているとのこと。6日には退院できるか微妙だ,というお話でした。そのまま,出張に出発しました。
5日に,高知工科大学で岡村先生とお話している途中に電話がかかってきました。小松さんからでした。まだ退院できるか分からない,とのこと。私がぜひお会いしたい,安芸まで行きますよ,といって電話を切りました。
翌朝,6日の朝,小松さんから電話がかかってきました。退院できた,安芸でお会いしましょう,とのことでした。
桂浜へ行った後,レンタカーで安芸へ向いました。奥様も一緒に出てこられて,安芸で一番眺めのよい,ホテル「タマイ」の眺望レストランで,昼食をご一緒しました。
無理に退院されたようです。お元気そうでしたが,2回目の対面で非常に楽しいおしゃべりができました。
小松さんは,中学校の教師を全うされ,数学の教師,野球部の監督,美術の先生もされていたのでした。絵も本当にお上手で,小さい画集をプレゼントしていただきました。長女に見せたらすごく喜んでおりました。
話は弾みましたが,お体も心配なので,1時間半ちょっとで終わりにし,またお会いしましょう,ということで別れました。
なぜ,ローマからの飛行機の中であれほど話が弾んだのか,分かりました。教員という仕事に本当にやりがいを感じられる,その性分が引き寄せあったのでしょう。
長期出張から帰宅後,長女に画集をプレゼントしました。すごく喜んで,小松さんに二人でお手紙を書きました。長女と,私と一通ずつ。長女が折り紙で作った小さな封筒にそれらを入れて,昨日,お送りしました。
長女も,「いいなあ,私にはそんなお友達,いないよ。欲しい。」と言ってましたが,「これでもう小松さんとお友達だよ」と言うとうれしそうにしていました。家族で四国に旅行に行き,その際にお会いできるといいです。
またお会いできるかもしれないし,もうできないかもしれない。でも,永遠に私の中で生き続ける会話であり,お友達です。小松さん,元気になってください。安芸の浜を一緒に散歩したいです。
昨日は,長崎大学でシンポジウムがあり,そのタイトルが,「日本を元気に!熱血土木談義」というものでした。
このタイトルは,実は私が考えたものです。日本中が元気を失っている。元気にならなければならない。
招待講演が2つあり,一つが藤井聡先生でした。私はパネルディスカッションのパネラーで,話題提供として25分のプレゼンをしました。山口県の取組みも紹介し,私の後に,田村先生が山口の取組みをしっかりと発信されました。
世の中は,「改革」という言葉ばかりがもてはやされ,最近は「改革」がすべてをダメにしていくこともようやく国民が気付き始めたという状態かと思います。求められているのは「改革」ではなく「改善」です。もちろん,どうしようもない場合は仕組み,システムを少しいじることは必要ですが,国の仕組みを根底から変える,というような乱暴な議論がまかり通ってはならないように私も思います。
言葉ばかりの改革,を叫ぶ前に,目の前で本当に困っている人たちを助けよう。東日本大震災の被災者もそうだし,デフレで本当に食うこともできなくなって自殺している人がどれだけいるか。藤井先生は,まずはその人たちを救おう,と言われます。平成関東大震災が今起これば,いまだに平和ボケしている首都圏の方々も今度は自分たちが死ぬかもしれない。当事者にならないと分からない,が今の日本人のかなしい現状です。
今のシステムでも,改善すればできるわけです。やる気がないから改善しない。「熱血」であればできるわけです。山口県もやった。長崎県だってやった。維持管理の問題は難しく,特に小規模の自治体の社会基盤の維持管理は難題です。これはさすがに今の仕組みだと厳しいと思っており,藤井先生にそう言いましたが,その点は納得していただきました。そういう場合は,仕組みを変えていけばよい。
結局,藤井先生も,田村先生も,私も,根本は同じでした。その一つが,「愛」です。人に対する愛情。それが行動の根底にある。困っている人を助けよう。仲良くしよう。協力しよう。楽しくやろう。いい仕事をしよう。そして日本を良くしよう。
もう一つは,「独立」です。福沢諭吉の言う「独立」です。今の日本人に足らないことは,「学問のすすめ」に書いてあります。この点は,100%,藤井先生と一致しました。音読をお薦めします。お風呂での音読が最高です。
山口県のひび割れ抑制システムも,「独立」であり,「愛」が根底にある,ということに気付きました。この点は,これだけだと伝わらないと思うので,また別の記事でおいおい伝えてまいります。