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■ どうなる? 温泉地への避難

〔ご案内〕
このデータは、平成23年3月に発生した東日本大震災に関連する情報です。
令和元年6月18日夜に発生した山形県沖を震源とする地震に係る情報ではありません。
ご注意願います。


■ 東日本大震災:群馬から 県外避難者、受け入れ自治体で待遇差(→ 4/3 毎日jp
 ◇温泉旅館の個室、無料で2食--草津
 ◇公共施設の広間、3食自費も--前橋
 福島県を中心に約3400人の避難者を受け入れている群馬県では、自治体によって避難者の待遇に差が生まれている。大震災で観光地の予約キャンセルが相次いだ自治体は、温泉旅館などに無料で被災者を受け入れる一方、都市部の公共施設に避難した場合、3食とも自費の場合も。収入の途絶えた避難者にとって、避難中の出費は重くのしかかる。
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 ◇滞在1カ月だけ
 一方、温泉観光地として名高い草津町にも南相馬市から約250人が避難している。町と草津温泉旅館協同組合が話し合い、温泉街のホテルや旅館の宿泊費は朝夕2食付きで無料。宿泊費は国から補填(ほてん)される見通しだ。
 同市原町区の主婦、上林輝子さん(78)が夫進さん(78)と草津町に到着したのは3月25日。同市が用意した観光バスでたどり着いた。体育館のような場所を想像していたが、温泉旅館の個室をあてがわれ驚いたという。温泉につかり、若手落語家が高座に上がる草津名物「温泉らくご」にも出掛けて、久しぶりに腹の底から笑った。夫婦は一時期、福島市内の温泉旅館に逃れたが、そこでの宿泊費は全て自腹だった。

 草津町によると、ホテルや旅館の宿泊予約のキャンセルが相次ぎ、収容能力に余裕があった時に南相馬市から受け入れ要請があった。温泉街の飲食店は、被災者向けに2~5割引きのサービスも実施している。「生活が落ち着いた時に、リピーターとして足を運んでくれるかもしれない」(旅館経営者)との期待感もある。
 ただし、無料の滞在期間は1カ月だけ。ゴールデンウイークを控え「経営を維持するためには、一般客を増やさなければならない。客が戻れば、避難者には出て行ってもらうしかない」(同)。

 尾瀬の玄関口として有名な人口約5200人の片品村。約900人の被災者を村の財源を使って無償で受け入れている。滞在先はホテル、旅館、ペンションで食事付き。千明(ちぎら)金造村長は「1カ月たったから出て行ってくださいということにはならない」と明言する。
 全国から支援物資や義援金が送られてきており、国費の補填も見込みながらやりくりする方針だ。千明村長は「福島とは尾瀬でつながっている。困った時はお互い様だ」と話す。

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予想されたことですが、各地で被災者の待遇差がみられます。
概して公共系の避難所よりは宿泊施設、とくに温泉地のそれの居住性がよさそうです。
温泉地のなかでも温度差があって、多くの有力温泉地は草津の状況に近いかもしれません。
いちはやく受入を表明、実施した群馬・片品村の対応はここでも異彩を放っています。

ここで、各地の温泉施設の受入状況を整理してみると、
1.温泉宿が独自で無料宿泊提供や被災者向け割安プランを設定。
2.行政が予算を計上し、これを利用して無料宿泊提供や被災者向け割安プランを設定。
3.行政温泉施設と温泉宿が連携して無料宿泊提供や被災者向け割安プランを設定。
4.企業や行政などが所有、または提携する施設を無償で提供。
5.県が旅館、ホテル借り上げ災害救助法の制度を活用し、被災者に実質無料*で提供。

*) 宿泊費用@1泊3食付5,000円以内、宿泊費用は受入県、施設への移動費用は被災県が負担し、災害救助法の適用によって、受入県が負担した費用は被災県に求償、最終的には国が被災県に対して必要な財政措置を講ずることを予定。
このため、受入県の費用負担はなく、被災者自身の費用負担もなし。

1~4はこれまでに各地で実施されているもの。とくに3.4は被災者費用負担なしのものも目立ちます。
5は、切り札的な施策で、観光庁が3/24に公表、全旅連が受入施設リストを作成することになっていますが、1週間以上経過した現在でも、報道やWeb上でリスト公表は確認されていません。
(宮城県のこの動きは5を前提としたものだと思う。)

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■ 手順等について (3/24観光庁公表資料原文のまま)
(1)全旅連において、受入可能な旅館・ホテル等の情報(以下「施設リスト」という。)を集約の上、観光庁に情報提供を行う。
(2)観光庁は、施設リストを被災県に提供する。被災県は、当該施設リストを管下の被災市町村に提供する。
(3)被災県は、管下の被災市町村内の被災者のうち県外の旅館・ホテル等への避難が必要と判断した被災者の情報(以下「避難者リスト」という。)を集約の上、観光庁に情報提供を行う。
(4)観光庁は、避難者リストを全旅連に提供し、基本的なマッチングを実施する。
(5)マッチングが調った場合は、被災県と受入県の旅館組合との間で、具体的な受入スケジュール等の調整を行うとともに、並行して、被災県が受入県に対して要請を行うなど両県の間で避難受入について必要な調整を行う。
(6)観光庁は、被災県の求めに応じて、被災者が現在居所としている避難所から、当該避難先の旅館・ホテル等への移動のためのバス等について、旅行業者を通じて手配する。
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この非常時に、なかなかにお役所的な手順ですな。
いま、どのステップまで進んでいるかは情報公開がされていないので不明ですが、一刻も早く具体的な動きとなることを期待したいところ。
(ちなみに、受入施設のとりまとめ窓口となる全旅連の公式HPは現時点(4/3 14:20)で、この施策についての情報提供はおろか、被災地へのお悔やみのことばさえ掲載されていません。)

また、その時、すでに受入している施設で、
1.全旅連のリストに載っていない場合どうなるか?
2.それまでの費用をどうするか?
などの問題がでてくると思いますが、観光庁の公表資料には「リストは、都道府県旅館組合が作成していますが、組合員以外の旅館・ホテル等であっても、当該施設が希望すれば、リストに掲載されることとなっています。」という注記があるので、幅広い施設で5の適用がされ、費用についても遡及的な適用がされるといいですね。

いずれにしても、学校の体育館や公共ホールで何週間も避難生活をつづけるというのは、どうみても被災者の方々の負担が大きいように思います。移動先がふたたびこういう避難所ではなおさらでしょう。
また、公営住宅に移動するとしても当座はかなりの労力が要るでしょう。(引っ越しするとやたら疲れるのは誰でも経験があるかと・・・。)
プライバシーのある部屋も、あたたかな布団も食事ももてなしも、温泉さえもすぐに提供できる温泉宿は、こういうときに最適な2次避難所となるように思えるのですが・・・。
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