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昨日、用事があってある町を訪れた。
今の、私の住んでいる市からそれほど離れていない。
しかし、あまり訪れる機会がない町だ。
私はこの町に、 1歳から3歳までの二年間を過ごした。
当然、記憶などほとんど無い。
しかし、断片的に当時の光景が甦る時がある。
古い病院があった。 私は風邪をひくと、よくそこに連れていかれた。
その先には、長い垣根があって、 垣根越しによく焚き火の煙が見えた。
「垣根の垣根の曲がりかど・・」の、 童謡そのままの光景だった。
そして・・ バラの花が咲く、「お姉さん」の家。
近所に住んでいた、当時小学生だったと思う女の子。
私はよくその子の家に遊びに行き、お菓子を食べたりした。
ピアノがあったらしく、いつも練習しているピアノの音が聞こえていた。
それは私が、生まれて初めて触れた「音楽」だったように思う。
私は、子供の頃の記憶力が良いほうなので、
もしかしたら、その町を歩けば 何か記憶が甦るかもしれない・・。
そんな思いで昨日、育った地域を歩いてみた。
私の住んでいた家は、道路の拡張で何も面影はなかった。
近所の銭湯はとっくに無くなったようだが、 跡地は、スポーツジムに変わっていた。
コロッケを買った店を覚えていたが、 当然、もうその店もなかった。
あの古くさい病院の位置は、 やはり思い出すことさえ出来なかった。
お姉さんの家は、カンでその方向に歩いてみた。
しかし、 新しい家やワンルームマンションが立ち並び、
バラの花の庭は、とっくに過去のものとなっていた。
しばらく歩いたが、 虚しさばかりが残った。
42年も経った場所を歩くなんて、 私は、何をやってるんだろう・・。
昔の思い出を辿っても仕方ない。 今日、そして明日のことで精一杯の毎日だ。
駅への道を戻ろうとした時だ。
2~3歳くらいの男の子が、 お母さんに手をつながれて歩いている。
その子は、私を見ると、 まんまるな目を残してすれ違った。
私も、子供の頃は大きなまんまるな目だった。
今のあの子のように、 この町を、母に連れられて歩いていたのだ。
見ず知らずのその子に、 幸せな人生を送ってほしいと願う。
自分を、瞬時に重ねていた。 そこに、42年前の私がいたからだ。
そして、 私を可愛がってくれた、お姉さんの人生をも想う。
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