東大阪でそろばん教室を運営しているの先生のブログ 関西珠算瓢箪山教場・石切教場

子供たちから教えられたこと、感じたことを想いのままに綴ります。

私がそろばんで教育をしているわけ③

2019-03-16 18:58:12 | そろばんに関する中身
 出会いは彼が小学校1年生の6月。開校初年度、12月までの新入生はたったの3名。そのうちの1人だった。

 2+3を指で計算しようとした彼は、その指をどう数えていいのか分からないレベルだった。大師匠から教室を引き継ぎ(生徒は9名)、その生徒たちは夜のクラスなので、実質マンツーマンの時期があった。つきっきりは良くないと思ったから、手取り足取りとはいかなかったが、それでも自然とよく手をかけた。

 彼は翌年の2月の授業参観には100マス計算をクラストップで満点を出せるようになっていた。その様子を見た保護者の皆様のお子様が入会されて、あれよあれよと2ヶ月で22名にご入学いただいた。

 その彼は3年生で伸び悩んでいた。ちょうど「読み・書き・計算」にこだわろうと思っていたので、試しに製作した漢字の本をやらせてみた。2年生までの配当漢字で作った例文を、彼は30分で読むことができなかった。2年生から入会したライバルは、初見で見事に読んで見せた。そこから彼の死闘は始まった。

 できるまでやる。言葉にすれば簡単だが彼はやり通した。中学生からは進学塾を勧めた。彼はそこでもたゆまぬ努力を続け、大阪トップ10のうちの一つの高校に無事進学した。そして関西大学理系へと進むのである。

 この彼に言わせれば「読み・書き・計算と先生がした学習イベント。これが僕を作ってくれました」と。

 そろばん学習で鍛えられる計算力と、そろばん式暗算を習得することで身につく集中力と暗記力。そして情報処理の速さ。このそろばん学習の特性を生かした学習イベントを作る。

 この学習イベントが教え子たちの壁になり、合格の際の達成感を生む。さらに、そろばんでの進級、検定試験での合格。小さいと言えば小さいが、決して子供たちにとって簡単ではない課題をクリアしていく中で、成功体験は子供たちの学習意欲を正の好循環へと導く。

 入会した当初は偏差値と言う物差しで言えば30に満たないだろうという生徒をたくさん見てきた。そうした生徒に必要なことは、とにかく褒められ認められること。成功体験をたくさん積むこと。自己肯定感をしっかりと持つこと。そのために必要な学習習慣を正しいものにすること。これが基礎的リテラシーを積み上げるための前の段階の基礎工事。ここをしっかりと積み上げないと、そもそも基礎的リテラシーの学習にすら入れないのだ。

 だから私はその入り口のそろばんにこだわる。ツイッターで仲良くさせていただいている牛島先生のブログにに触発されて、このシリーズを書くことにした。→牛島先生のブログはこちら ホームページはこちら

 牛島先生は、基礎的リテラシーを身に付けるための努力に耐えうる基礎工事をしていない生徒さんを相手に、日々努力されている先生。日常のツイートは淡々としているが、基礎工事の大切さを身にしみて理解している私には、どうしてここまで頑張ることができるのかと不思議に思うくらい日夜子供たちのために努力をしておられる。このブログは牛島先生へのメッセージでもあるのだ。

 簡単に言えば「プログラミングであろうが、英語4技能であろうが、基礎的な学びが出来ない状態で積み上げても絶対にうまくいくわけがない。だから私はそろばん学習を通して、基礎的リテラシーを身に付ける手前の基礎工事の充実に拘りたい」。これが私の中での絶対的結論。
 そろばん学習が持つ意味も、そろばん式暗算が持つ意味も全部説明できる。脳科学の見地からそろばん学習が右脳の活性化に大いに役立つこと。右脳が活性化すればどういうメリットがあるのか。発達障害の傾向を示していてもそろばん学習で伸びる能力があることも、すべて説明できる。そしてそうした意味合いを理解したうえで、そろばんの授業を組み立てている。

 そろばん学習を、そろばん学習の持つ特性を十分に理解して指導している指導者はまだまだ少ないのかもしれない。私はそろばん学習を通して身についた基礎力を伸ばしていくお手伝いをしているに過ぎない。次のステージでさらに自分の能力を伸ばすのか、伸びたことに甘んじてしまうのかは本人が決めること。そのための情報提供をできる先生であり続けたい。
 だからツイッターも本気でするし、まだまだ子供たちを伸ばすためのしかけを発展させたい。

 でも、子供たちの時間を奪ってまでやらせる気持ちはない。あくまで習い事。習い事を頑張ったら、基礎的リテラシーが充実していつの間にか学力も伸びている。素敵じゃないですか?
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私がそろばんで教育をしているわけ②

2019-03-16 15:09:23 | そろばんに関する中身
 さて、お話の続きですね

そろばん式暗算を身に付ける


 これはどんなに素晴らしい学習塾でも身につきません。ただし近い力は「お稽古事」で身につくと思います。たとえばお習字。出来上がりをイメージして書くはずです。楽器の演奏。楽譜は「暗譜」すると思います。こうしたことがそろばん式暗算と似ているのです。

①そろばん式暗算とはなんぞや?
 そろばん式暗算とは「そろばんを脳内にイメージし、そのイメージを動かして計算する方法」です。これができるようになるためには、もちろんそろばんができなくてはいけません。いわゆる日商3級ができれば個人的には十分そろばん式暗算が上達するレベルだと思います。
 たとえば、教室に通う小学3年生で一番進んでいる生徒は2桁×3桁を暗算でします(日本珠算連盟暗算1級レベル)。ちなみに、塾指導でお預かりする生徒は必ずしもここまでできる生徒とは限りませんが、学力と暗算の級位には経験上強い相関関係があります。

②で、学力とどうつながるの?
 脳内にそろばんを浮かべる(写像を作る)ことこそがそろばん式暗算で学力が上がる最大の肝です。これができるようになってくると、まず単純計算ではほぼ間違わなくなります。そして脳内イメージを容易に作ることができるので、単純暗記(漢字や英単語)はもちろんのこと、イメージと名前をくっつけての暗記(地形名や実験器具の名前など)も処理速度が上がります。
 そして「脳内で勝手にユーチューブ再生」ができるようになる生徒もいるんです。授業の中身を思い出しながらお勉強する。こんなこともできるようになります。

 そして、そろばん式暗算の特性を生かした学習イベントをそろばんの授業に取り入れているんです。
①夏休みチャレンジ
 古文・銘文の暗誦を行う学習イベントです。詳しくは当ブログ内に詳しく意義を説明したページがありますので、ご参照ください。
 5年生で「枕草子」、6年生で「日本国憲法前文」の暗誦をします。

②都道府県チャレンジ
 ちょうど今の時期ですね。3年生の年明けの授業から4年生になるまでに、都道府県名をすべて漢字で覚えてもらいます。もちろん日本地図における位置も同時に覚えてもらいます。合格すれば次は都道府県庁所在地を漢字で覚えてもらいます。

③その他の暗誦
 ②の課題をクリアすれば、自由課題として精選した暗誦課題を渡しています。さすがにここからは自由です(笑)

 さて、これだけで基礎的な学力を涵養することは難しいのです。こうして書いていることは、そろばん指導を初めておよそ10年でたどり着いたひとまずの形です。私はそろばん指導を初めて2年目に「学力の壁」にぶち当たりました。そろばん学習を通して子供たちの学力を伸ばすためには「読み・書き・そろばん(計算)」の基礎的リテラシーの土台をしっかりと作ることが必要だと考えるにいたりました。そこでそろばん教室でありながら、自作の漢字教材を作り上げました。1年生~6年生まで全33分冊。1年半かかりました。こうして、そろばん教室で基礎的リテラシーの涵養と、基礎学力を鍛え上げる形がひとまずの完成を見たわけです。

あ、長くなってきた。そして指導者の想いはその③へ続けます。
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私がそろばんで教育をしているわけ①

2019-03-16 14:38:06 | そろばんに関する中身
 去年の11月からツイッターを始めました。たくさんの先生方と交流をさせていただいています。

 先日は中学3年生の卒塾遠足に行きました。で、ツイッターで呟いたんです。そしたら「同じところに卒業旅行です」と、岡山の塾の先生とお会いして4時間お話しました。こんな奇跡をもたらしてくれるツイッターはすごいわけです。
 で、岡山の塾の先生に一番不思議だったと思っていただいていたこと。それは「どうしてそろばんなんですか?」。その先生にはおこがましくも色々と語りましたが(私がお聞きしたかったのにー)、ツイッターで交流させていただいている塾の先生方に「どうしてそろばん?」と不思議に思われているようなので、改めて、私がそろばん指導をしているわけを整理してみたいと思います。長文ですが覚悟してくださいね。

 まず、私は小学生のときにそろばんの先生か学校の先生になりたいと思いました。そして奈良教育大学に進学し、最終学歴は奈良教育大学教育学研究科生命・地球科学専攻・地学専修修了の教育学修士です。修了後公立中学校で非常勤を1年弱しています。また母校の野外実習のお手伝いを5年間しました。

 大学のお手伝いでは、進学校出身者ほど目の前の自然から考えようとせず結果だけを丸暗記使用とする生徒が多く、偏差値的にはよく受かったねと思う高校の出身者ほど、めちゃくちゃでも自分で考えるということを目の当たりにしました。

 中学校の非常勤では、成績が低迷している生徒が高校にいきたいと言ってからの頑張りを見て「もっと早くに出会っていれば」と忸怩たる想いに打ちひしがれました。

 こうした現状を見て考えたこと。それは「小さいうちからきちんと学習習慣を確立すれば、子供たちって無茶苦茶伸びるのかな?」

 私は小さいうちから子供たちを教育することを微塵も考えていなかったので、免許は中学・高校の理科しか持っていません。ではどうすればいいのか? 小学生から塾は違うようなあ(今から20年前のお話です)。じゃあ…。と考えたときに

そうか!そろばんがあるじゃないか!


となったわけなんですね。

 そろばんは「習い事」です。比較的低学年から「学ぶ」ということに対する敷居は低いと思うんですね。そろばんの利点をまず。

①結果は努力に正直である。
 そろばんはその計算を人力に頼って行います。その過程で一度でもミスをすると答えは間違いとなります(2回以上のミスが打ち消しあって正解となることがありますが、確率的に1%をはるかに下回ります)

②努力の過程を検定試験で明確に数的根拠をもって判定できる
 検定試験の合格基準は明確で、「制限時間内にあるレベルの問題を何割以上正答すること」です。したがって、恣意的な要素の入り込む余地がないのです。努力に対する評価基準が明確です。

③子供たちと接する頻度・時間が他の習い事と比べて多い
 子供たちの小さな変化にも気付くことも多いんです。ごあいさつの声ひとつで分かるときもあります。高学年になればだんだんと隠し事もうまくなりますが、それでも低学年のときから見ていると些末な変化でも気付くことがあります。些末なことだと思っていても大事に発展することもありますから、常に把握しておくことは子供たちの成長を見守る上で大切です。

 さらに、そろばんの指導を低学年から行うことで、学習習慣を正しいものにしたいのです。

④姿勢や態度を良いものに矯正しやすい
 まっすぐ座る・鉛筆は削る・書くときは下敷きを入れる・鉛筆の持ち方・ごあいさつなどなど。学習習慣として確立しておきたいことを比較的長期間にわたって指導できます。

 そして、そろばん指導における究極の目標が

そろばん式暗算を身に付ける


なんですね。ちょっと長くなってきたのでここでいったん切りましょう。その②へ続く!
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8年

2019-03-11 14:46:00 | 日記
 あの日から8年が経ちました。

 たくさんの命が失われました。

 何を言っても帰ってこない方々の無念を思うと

 悔しくてなりません。

 地震が予知できるのだろうか?

 という研究を大学・大学院時代にした身としては

 自分の無力さを感じる日です。

 では今の自分に何ができるのか?

 伝え続けること。そして地震というものの恐ろしさと

 正確な知識を伝え続けることです。

 日本列島の地下には太平洋とフィリピン海

 2つのプレートがもぐりこんでいます。

 だからプレート境界型といわれる大きな地震が起こることは

 避けては通れません。

 だからこそ、いざというときのための正しい知識を

 日本人はきちんと身につけねばなりません。

 私はそろばんの、そして学習指導の先生として

 これまでもこれからも

 伝え続けようと思います。
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緊急連絡です

2019-03-11 11:52:38 | そろばんに関する中身
 瓢箪山教場の前の道沿いにあるアパートの壁が、折からの強風と雨のために夜中に崩れ落ちました。

 現在警察によって通行止めとされております。

 お昼には業者の方が応急措置をするそうなのですが、15時までに通行止めを解除できるかは分からないそうです。

 授業がある旨を伝えたところ、もちろん歩行者は大丈夫ですし、われわれがきちんと誘導しますよとお言葉をいただきました。

 お車での送迎は手前の角までしかできません。そこからは迂回になりますのでご注意ください。

 授業は実施します。自転車での通行も警察の方が誘導してくださるそうです。

 ご不明な点がありましたら直接ご連絡くださいね。
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