超人日記・俳句

俳句を中心に、短歌や随筆も登場します。

#俳句・川柳ブログ 

福住焙煎とプルースト

2019-12-17 17:14:43 | 無題
時間が空いたので、前から気になっていた珈琲店に行こうと思い立った。
幸い、雪も降っていなかったので、キタキツネは見られなかったが、
無事、福住焙煎珈琲店に着いた。
店の傍まで来ると、もういい薫りが漂っていた。
店内は広く、八角形のような造りで窓が大きく、焦げ茶の店内に
光がきれいに差し込んでいる。
店長が一人で切り盛りしている。「悪魔と深くて青い海」という
ジャズのスタンダードが流れていた。この題は英語の慣用句で、
絶体絶命という意味。ジョージ・ハリスンがカヴァーしていたので
歌詞もよく知っている。聞き慣れた曲に迎えられた気がした。
ざっと見たところ、珈琲は全品500円で、大きなマグカップに
濃い珈琲がたっぷり注がれている。私は、マンデリン。古本が多く置いてある。
店内もきれいで、雰囲気がよく、焙煎珈琲もおいしかった。
帰るとプルーストの縮約版「失われた時を求めて・全一冊」が届く。
「ぼくはふさいだ気分で、マドレーヌを紅茶に浸し、口に運んだ。
その瞬間、ぼくは震えはじめた。何かとんでもないことが、
ぼくの内側で起こっていた。(中略)そのときだ、とつぜん記憶が
はっきりと姿をあらわした。紅茶とマドレーヌ。この味をぼくは
コンブレーで味わったことがあった。毎週日曜日の朝に(以下略)」
冬の楽しみがまた一つ届いた。クリスマス前後に手に取る至福の一冊。

冬の日に焙煎珈琲すすり終え帰ると記憶の花束が来る
コメント
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