久しぶりに、本日は将棋をテーマにいたします。
第79期名人戦の闘いは続いておりますが、すでに第80期に向けて各順位戦の闘いがスタートしております。特に注目されているのは、藤井聡太二冠が属しているB級1組。昔から『鬼の棲み処』と呼ばれるくらい、何が起こるか分からない、恐ろしいと言われているリーグ戦です。
B級1組には13名の棋士がいて、タイトルホルダーはもちろん、A級とB級1組を行き来しているトップクラスのプロ棋士の中に、佐々木勇気七段のように、登り竜と呼ばれて若くして勢いのある存在が混じり合う躍動的なリーグであります。13名全員による総当たりですから全部で12戦。これを11勝1敗あるいは10勝2敗くらいの成績でないとA級への昇格は無理。
早速、5月13日にB級1組の第1戦がスタートしました。藤井聡太二冠は、前A級棋士で、元タイトルホルダーでもある三浦九段との対戦でした。藤井二冠の参戦で注目されているB級1組ですが、彼と対戦する棋士はすべて、藤井聡太対策を練りに練って、この勝負に臨んでいることが、13日の対局でも明らかになりました。
三浦九段は、何と藤井二冠の過去の対局にあった棋譜どおりの手順に誘導したのです。しかも、それはその時の藤井二冠側の手が自分に渡るような手順。もちろん、それに気づいた藤井二冠は、途中で別の方向へ向かいましたが、それも三浦九段の計算どおり。なかなか藤井二冠に優位な型になりません。むしろ、ジリジリ三浦九段が優勢を広げる展開に。
結果としては、最後の最後で、三浦九段が勝ちを決め切れずに、藤井聡太二冠のウッチャリ逆転勝ちとなりましたが、もう米俵ギリギリまで追い込まれる一戦でした。このあと11戦もありますが、今までの順位戦と同じように、残りを着実に勝つ、なんて、簡単には言えない闘いの場であることがハッキリしました。
ところで、藤井聡太二冠は、5月6日の王座戦挑戦者決定トーナメント1回戦で、深浦康市九段に完敗。昨年10月から続いていた公式戦19連勝がここでストップ。まぁ、トッププロが半年も負けないなんて、それ自体が大変なことだったのですが、さすがに深浦九段にしても、13日の三浦九段にしても、この一戦だけは簡単に負ける訳にはいかない!と、元タイトルホルダーとしての意地を賭けた闘いだったのだと思います。
これからの藤井聡太二冠の対局は、常にそういう闘いになるということ。天才棋士にとっても、厳しい1年になりそうですね。