ウクライナの紛争は、2月24日のロシア軍侵攻開始から既に12日間が過ぎようとしています。当初、プーチンが目論んでいたと思われる72時間以内のキエフ制圧が実現できておらず、ロシア側の焦りも感じられる状況ではありますが、引き続き、ウクライナの現政権は風前の灯状態であることに変わりはありません。
もし、首都キエフが制圧される際には、ポーランド国境近くの地域へ首都を移転した上で、政権本部を移動させるのだと思います。各地のウクライナ軍を、その地から直接指揮が出来る通信手段が存在することがポイントになりますが、アメリカなどのインフラ支援を受けながら、暫くは移動式政権本部から抵抗を続けることになるのでしょう。
対するロシア側は、ウクライナ国内の重要インフラである、電力設備、水道設備、通信設備などを次々抑えてしまい、現政権が抵抗勢力の指揮ができないように追い込んでいく戦術になると思います。
そして、ロシアには、もう一つ、内戦化したウクライナ紛争における重大なミッションがあります。早期にウクライナ全土の制圧に失敗したプーチンは、『プランB』を発動させている可能性があります。長期化したウクライナ紛争では、ウクライナ各地において悲惨で凄惨な破壊行為を繰り返し、旧ソ連から独立した国が今後、NATO側へ移りたいなどと企てた場合は、ウクライナと同じ状況に追い込むぞ、という脅しをかけること。いわば、ウクライナを『見せしめ』にするというプランBです。
ウクライナ以外でも、NATOへ参加したいと考えているモルドバやジョージアなどは、この状況を見て、ロシアの恐さを、プーチンの恐さをあらためて認識することになります。
『見せしめ』作戦というのは、戦国時代の織田信長や伊達政宗がよく取った戦術の一つです。残酷ですし、為政者は狂ってるとしか思えない所業でありますが、それを見た抵抗勢力が、無抵抗に従うようになるという効果を狙う作戦。
いずれにしても、ウクライナ国民にとっては最悪の展開になります。神も仏もないものでしょうか。国連も、NATOもアメリカも、ここに至っては、ほとんど役に立ちません。