注意されなくても自然にする心遣いや守るべき規則というものがある。万国共通とは限らないが、日本ならまあ常識で考えて分かるものが殆どと思う。
医院の中待ちには、待つのに痺れが切れた患者さんに後三四人ですよと知らせてイライラを緩和させる効果と、呼ばれたら診察室に直ぐ入れる時間短縮効果がある。今は昔と違いカーテン一枚ではなくきちんとしたドアがあるから、前の患者さんと医師の会話が漏れる心配はない。
看護師が呼ばれたらお入りくださいと説明したはずなのだが、聞こえなかったのか忘れたのか、診察を終わった患者さんが出てゆくと、呼ばれてもいないのに、閉まりそうなドアに手を掛けて間髪を容れず猪突猛進してくる患者さんが居る。看護師が居ればちょっとお持ちくださいと押し返して呉れるのだが、席をはずしていると「悪いけど、ちょっと待って」と私が立ち上がらねばならない。
スムースな流れの時は良いが大抵は診察終了後もカルテを少し書くことが多いし、冷えたコーヒーを一口飲んで一息入れることもある。中待ちまで来たから、次は自分だと突進されても困る。そういう患者さんの中には次の次だったりする人も多い。中高年の女性が多く時にお爺さんのこともある。若い患者さんはいない。遠い昔並んでものを買った記憶があるせいか、忘れられてはならんという不安があるのか、失礼ながら紳士淑女ではないようだ。
問題発言かもしれないが、これには地方色もあるかなと思う。他の地で開業したことはないので、類推に過ぎないがN市辺りの人はあまりきちんと順番を守らないようだ。電車を待っているとそれを感じる。当地はN市からかなり離れてはいるが、そうした影響があるのだろうか。もっとも国際的には順番などというものはなく、窓から入って席を取る国もあると聞く。そうした国の隣の国は大変だろうな。